
(昨日の続きです)
日本の「研究力」の低下の原因は何でしょうか?この問題が政府筋でも深刻に受け止められている理由として、科学研究に投入されている費用が、この20年で別に減っている訳ではないということです。上のグラフは経済協力開発機構(OECD)の統計で主要国の研究開発費の2022年のランキングです(注)。これを見ると日本の研究開発費は米中に次いで世界でも第三位なので、別に研究予算が足らなくて昨日ご紹介したTop10補正論文数の国際順位が低迷している訳ではないということです。Top10補正論文数で日本を追い抜いたイランは、上位30位にすら入っていないのにです。これはなぜなのでしょうか?
日本は30年前の1995年に科学技術基本法(現 科学技術・イノベーション基本法)を制定し、翌年の1996年から5年ごとに更新する「科学技術・イノベーション基本計画」により、毎年5兆円規模の公的な研究開発投資を行っています。にも関わらずTop10補正論文数が、この20年で毎年右肩下がりで低下しているのです。ブログ主自身は、この「科学技術・イノベーション基本計画」にこそ問題があるのではないかと思っているですが、そのことは別の機会にご紹介したいと思います。今回の第12回STI政策シンポジウムでは、大きな世界の流れとして、2010年代以降、中国を筆頭にG7以外の地域の存在感が大きくなってきているということが報告されました。2010年以降、中国がGDPで日本を追い抜いたことは大きかったのですが、中国以外のいわゆるグローバルサウスの国々(インド、ASEAN各国、中近東、南米、アフリカなどの国々)の科学研究分野での存在感もまた大きくなっているということです。イランはその象徴かもしれません。
(注 資料出所)https://www.globalnote.jp/post-10315.html