NIMBY

　大学時代からの知人で政治家のOさんのメルマガに面白い指摘がありました。迷走を続ける普天間基地問題がNIMBY化しているという指摘です。NIMBYとはNot In My Back Yard（自分の裏庭にはあって欲しくない）の略で、ある施設に対して必要性は認識するものの自分たちの地域には建設して欲しくないとする住民感情、転じてそういった住民感情を引き起こす施設そのものを指す言葉です（出典WIKI）。高レベル放射性廃棄物処分場とか原発とか、いろいろな事例があります。迷惑施設とも呼ばれます。
　でも米軍基地とはNIMBY＝迷惑施設なのでしょうか？そもそもなぜ米海兵隊基地は沖縄になければならないのでしょうか？大局としては日米同盟保持のためでしょうが、もっと具体的にミリオタ関係者の解説を拝見すると、軍事組織としての一体運用の都合とか、台湾防衛のための対中国けん制のためとか、その延長でシーレーン防衛のためとかいろいろな理由があるようです。
　しかしここしばらくの日本の世論を見るとどうでしょう。是非とも米海兵隊基地を受け入れたいと自発的に手を挙げた自治体は大阪の橋下知事だけです。大阪の関西国際空港は上記の駐留目的に適さないということで見送られたようですが。日本には人口減少で税収不足に悩む自治体、財政赤字で倒産寸前の自治体はたくさんあります。それらの自治体が手を挙げても不思議ではありません。基地を誘致すれば莫大な補助金や、基地設営の公共事業・雇用・移転してくる米軍関係者の市場を入手できるにも関わらずです。でも大阪以外誰も手を挙げていない。沖縄最西端の与那国島は昨年自衛隊駐屯地を誘致しようとしていましたが、その与那国島も米軍基地を誘致したいとは発言していません。莫大なメリットがあっても米軍基地はいやなのです。つまり在日米軍を友好国の同盟軍だとは大半の日本人は思っていないということです。米国そのものは友好国だと思っていても、その軍隊が近くにいるのはいやだということです。
　こうなると鳩山総理のすべきことは、オバマ大統領に対して日本の民意はこうであり、自分は主権者たる日本国民の付託を受けた指導者だから普天間の海兵隊は国外に移転して下さいと言うしかありません。一応日本は主権国家なので米国も無理強いはできません。いろいろ凝ったいやがらせはされるでしょうが露骨過ぎても国際社会の反感を買います。その上で総理を辞任すれば現政権の支持率も上がるでしょう。鳩山総理の功績は日本人にとって在日米軍基地がNIMBYであるということをいやというほど実証して見せた空前にして稀有の政治家として歴史に残るでしょう。それなのに鳩山総理は何を怖がっているのでしょう。CIAに個人的なスキャンダルでも握られているのでしょうか。仮にそうだとしてもそれを承知でぶちまけてしまえば逆に人気が上がるでしょうに・・・