都内、某私鉄線沿いにおいしいと噂のラーメン店があった。
不愛想で頑固な主人が一人で切り盛りしていた店だった。
接客態度はお世辞にも良いとは言えない主人。
でも、味は客を満足させるものだったため、席は常に埋まっていた。
ある日のこと。
主人が病いに倒れてしまった。
病いは、快方に向かうことなく、主人は息絶えてしまった。
ラーメン屋は、一人息子が受け継いだ。
息子は、ラーメンの修行を必死にしたのだが、父のようなセンスはなく、店の人気は下降線。
「あの店は、味が落ちた。」
「先代が美味すぎたからな。」
という良くない評判と共に、日に日に客足は減る一方。
だが、突然に、店の味が昔と同じ(先代の味)に戻ったのだった。
すると、客は増加し出し、以前ような活気ある店内の雰囲気に戻っていった。
同時に、店にはおかしな噂も流れた。
先代の主人が死ぬ間際、息子や弟子達の前で、こう言ったというのだ。
「俺が亡くなったら、俺の骨を使って出汁をとれ!」