![]() | 海のふたよしもと ばななロッキング・オンこのアイテムの詳細を見る |
主人公の「まり」は、自分の生まれ育った町に戻り、夢だった「カキ氷屋」を始めます。
そこへ突然やって来た、母の親友の娘「はじめちゃん」とのひと夏の心の交流を描いた小説です。
内容は、他の作品に比べると地味な印象ですが、読み終えた後には、地に足を着けて、自分を信じて生きていこうという力が湧いてきます。
自分の夢、大切にしたい気持ち、譲れないものを、周りに流されることなく守っていく主人公の生き方に勇気をもらえます。
そのためには、毎日の地味な努力が必要で、
本文の中の「しかし、その地味さの向こうにあるものを、私は見つめ続けた。」という言葉には、ばななさん自身の仕事に対する姿勢が表れていると思いました。
本の装丁や、話の元になっている「海のふた」という詩や、名嘉睦捻さんの版画も素敵で、この本に不思議なパワーを与えています。