お客様に教えていただいた森茉莉さんの本です。
森鴎外さんの娘さんだということも知らなかったのですが、「贅沢貧乏」という題名に惹かれて、この本を買ってみました。
エッセイ集ではあるのですが、魔利(マリア)という主人公の物語のような内容です。
そして、アリアさんは、森茉莉さん自身のことなんじゃないかなと思いました。
決して読み易い文章ではないのですが、読んでいくうちに独特の世界観に引き込まれていって、貧乏ではあるけれど、自分だけの贅沢で濃厚な空気感に陶酔している感じが、懐かしい気がしました。
この感じ…私の祖母に似ているかもしれません。
祖母も裕福な家で育ったのですが、祖父と結婚してからは苦労続き。
でも、美しいものが好きで、好きな布で服を作ったり、絵を描いたりして、自分の世界を生きていました。
プライドが高くて、ひとりが好きなところも似ている気がします。
主人公のアリアさんほどの拘りではありませんけど、自分の絵に囲まれて、好きな食器でお茶を飲んでいた姿は、同じ空気を感じます。
本に話を戻すと、ひとつひとつの物の描写が独特で、空想が入っていて、話が突然飛んでいたりするのですが、客観的で冷めた視点の文章もいいタイミングで混ざっています。
そのバランスが、私にはちょうど良かったのと、本当は好きなことだけしていたいのに、生きていくためにはやらなければならいことがあるという現実と戦っていて、疲れると空想の世界に逃げたくなる感じにも共感できました。
好きか苦手かに分かれる本かもしれませんが、私は好きでした。
もっと読み易いエッセイもお客様からお借りしたので、読んでみたいと思います。