絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

進みました

2009-09-09 | 絵画指導
自己流からの脱出

今日はここまで描いて持ってきました。



かなり、空気が感じられるようになってきました。
前回の反省を生かして、いろいろ直して来ました。良くなったと思います。
しかし、まだいろいろ気になるところがあるので、今日は、私の前で描いてもらいました。
そして、このようになりました。




山と空との境目が強すぎて、ちょっときつ過ぎます。そらも赤過ぎて少しいやみです。もうすこし霞ませて、自然な空気を感じさせたいところです。また、そらのタッチが横ばかりでワンパターンです。
それで、空と山の頂上のあたりに空気を被せるということをやってみました。

次に気になることは、建物の後ろの木々が同じ木で同じ色になりすぎています。
もっといえば、茶色いごつごつした岩の壁のようです。もっといろいろな木々を感じさせたり、奥行きを感じさせたいところです。

右の草原は、すこし三角形の繰り返しが単調なので、その形を壊した方が良いと言って、直させました。

左下の草も平面的で詰らないので、もっと空間を感じさせてから、手前のススキを描いた方が良いとアドバイスしました。

このような指示でいろいろ直してもらいました。

その結果が、このようになりました。

描いている最中気になったのは、どの部分を描いても、筆のタッチが同じになる
ことです。描くものによって、形が違うので筆の先でコントロールしなければいけないのですが、それができません。
また、水彩画は必ず水をつけなければならないと考えているようで、水を付けて、ぼてっと、膨らんだタッチばかりになることです。必要に応じて、水をつけないで、絵具をそのままつけるような部分も必要です。

色については、どうも派手な色をつけすぎる傾向があって、必要以上にいろいろな色をいれてしまします。賑やかになりすぎます。それを我慢するように話しました。全体の調和を整えるには、グレーを混ぜた色で世界を統一することが必要だと思います。そして、見せ場だと思うところを少し派手に見せるとかの方法を考えるのが良いと思います。
ただ、この絵は、夕暮れなので、そういうわけにもいかないかなと思います。だから、ある程度色が抑えられた明暗で見せる絵になるのかなと考えました。

また、素人によくありがちなことですが、同じ形の繰り返しが目立ちます。そうならないように、何度もリズムリズムと繰り返しいいました。

今は、漫画的な表現から卒業させて、自然な空気を感じさせることを目的にやっているので、そのようなアドバイスをしています。目的があって、そのようにしているということです。
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シュールレアリズムの続き

2009-09-09 | 美術
少し、詳しい説明をします。

ピカソによって、キュービズムが行なわれ、マチスがフォービズムを行ない、絵画は自由になりました。
しかし、その後で、マルセルデュシャンが出て、芸術破壊運動が興ります。
このことを、ダダイズムと言います。
簡単に言うと、今までの芸術と言われている物に対する反発です。
どうも芸術というものが、お高くとまっていて、人々からかけ離れていると感じて、反発したくなったのです。

本来、芸術というものは、そんなに高尚なものではないはずだと思ったのか、もっと親しみやすく、身近なものであっていいということなのか、とにかく、いままで良いと言われていたものに対して、アッカンベーという運動が起こったのです。

だから、分かりやすい行動は、モナリザの絵に髭を描いて展覧会に出したことでした。マルセルデュシャンの一番有名な行動です。

美の頂点にあるもの、美の象徴として人々が考えるものの代表として、モナリザが選ばれた訳です。もちろん本物をそのようにする訳にはいきませんから、複製画に髭を描いたのです。

よく、ポスターなんかにそのような落書きをする人がいますよね。

まったく、それに近い感覚です。ただ、それを私がやったと世間に発表する点が、卑怯者とは違って、一つの芸術運動なのですが。

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とにかく、既成の価値観に対する反発でした。

このダダイズムは、新しい芸術を生み出すための一つの必要なパフォーマンスだったということが言えます。
芸術は、破壊と創造です。その破壊の部分だったでしょう。

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そのダダイズムの名前の由来も、スイスだったと思いますが、誰かが国語辞典を持ってきて、適当に開いて、指を当てたら、そこにダダという言葉があった。だからこの運動をダダイズムと名付けたと言われています。

この話は、本当かどうか、私はそのように聞いた気がします。それは運動そのものと照らしても、面白いエピソードですよね。

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ダダイズムの後、出て来たのが、シュールレアリズムなのです。

ただ、破壊しただけではなく、その後に、それ以前とは違った芸術が現れたのです。それは、無意識を扱った芸術でした。
フロイトの深層心理を扱ったものです。
フロイトは、人間の意識というものは、氷山の一角で、水面に出ているものだけが意識だと思っているが、実は、もっと深い部分、すなわち水面下の部分の方がはるかに大きいのだと言って、無意識の部分を扱った心理学を展開しました。

難しく言うと、形而下というのだそうです。アリストテレスの形而上学という言葉は聞いたことがあると思います。その形而上とは、意識されたということで、形而下とは、無意識ということだと聞きました。

そこで、今までの絵画を考えてみると、キュービズムにしてもフォービズムにしてもどちらにしても、形而上の絵画であるが、形而下を扱った絵画はない。だから、まだ、人間は、氷山の一角の絵画を描いていただけで、その水面下に沈む部分を扱っていないと考えたのが、シュールレアリズムの画家たちでした。

そういう背景があって、シュールレアリズムの絵画が出て来たのです。

絵具をぶつけるとか、垂らすのは、意識された形や大きさからはみ出します。
常識的には、ありえないものが置かれることの違和感や、そんなことはあり得ないとされる想像物も夢の世界以外にはありえないというものです。

だから、いままでの絵画で行なっていないものでした。

それが、シュールレアリズムでした。

この運動は、実は、絵画だけのものではありません。文学でも映画でも、音楽でも出てきました。

文学などでは、頭にくるほど、訳のわからない文章が続いていて、頭に来てしまうような感じですよ。音楽では、雑音や不協和音のようなものがあって、やはり頭が痛くなることがあります。

だから、シュールはわからないとか、嫌だという人が多いのだと思います。

私も同感してしまうことが多いです。その点、絵はいくらか楽ですね。

以上、シュールレアリズムについて、書いてみました。
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シュールレアリズムってなあに

2009-09-09 | 美術
シュールレアリズムと聞くと、難しそうだなと思って、敬遠したがる人が多いと思います。それを、簡単にわかりやすくお話します。

日本一分かりやすいシュールレアリズムの話です。

シュールレアリズムとは、日本語では超現実主義といいます。
現実を飛び越えたと考えてください。

そうは言っても、分かりにくいですよね。

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これは、ダリという人が行なった絵画です。

20世紀最大の画家をあげなさいと言うとき、ピカソとダリをあげる人が多いと思います。そのダリです。

そのダリが描いた絵画をシュールレアリズムと言います。

具体的には、違和感の芸術と言われます。

どういうことかというと、

現実にはありえないことを絵にするのです。

有名なのは、時計がグニャっとゴムみたいに垂れ下がっている絵です。
固い時計が洗濯物みたいに枝に垂れさがっている絵を見たことがありませんか。
まるで、柔らかいゴムでできているかのようになっているのです。


日常では、絶対にあり得ない状態ですね。
違和感を感じます。

また、砂漠のオアシスに電話があり、その電話線が切れている絵です。
こんなところにそんなものがある訳がないというような状態を描きました。

また、象の足が異常に長くて、10メートルくらいあるような巨大な象を描きました。


そうだ、これは夢ならありそうな状況ですね。

そうなんです。

夢の世界を扱った絵画と考えれば、簡単に掴めますね。
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実は、フロイトという人の影響を受けています。

難しく言うと、深層心理を扱っているのです。

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実際は、シュールレアリズムには、二つの方法があります。

1、違和感を扱った。(深層心理、夢の世界)」

2、自動詳記(簡単に言うと、絵具を垂らす、ぶつけるなどの行為で描く)

この二つです。

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どちらも、普通に見える通りの絵画ではありません。

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1、これは、アンドレブルドンのシュールレアリズム宣言にあるように、

  手術台の上で、蝙蝠傘とミシンが出会った。

  このように、関係がないものが、関係のない所に置かれることにより、出てくるイメージ、それが違和感です。これをデペイズマンと言います。
そういうものを扱った絵画です。

2、絵具をぶつける、垂らす、振りかけるなどの行為によって、自分の意思には関係ない位置に絵具が着くということから現れる形を扱う絵画です。

どちらも思わぬ効果が得られるというものです。

それが、シュールレアリズムと言われる絵画です。

お分かりいただけましたか。

その考えのもとに、展開した絵画と考えてください。

ダリ以外には、エルンスト、マグリッド、などが有名です。

エルンストは、フロッタージュという方法を使いました。
ガタガタした机の上に、紙を置き、鉛筆で擦ると下の机の模様が取れた経験があるでしょうか。そういうものを絵で扱いました。

マグリッドは、暖炉の中から蒸気機関車が出てくる絵を描きました。

そんな絵がシュールレアリズムです。

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絵をお見せしたいですが、いま、外出中なので、帰ったら探してみます。



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