「風」 金子みすゞ
空の山羊追い 眼にみえぬ。
空の山羊追い 眼に見えぬ。
空の山羊追い 眼にみえぬ。
空の山羊追い 眼に見えぬ。
山羊は追われてゆうぐれの、
広野のはてを群れてゆく。
山羊が夕日に染まるころ、
とおくで笛をならしてる。
月と飛行機
お日様とビオラ
沈みゆく太陽
落日
右の首元がぴりぴりするのは扁桃腺が腫れるとき、
食べ物をのみ込むと痛いからすぐ分かる。(嚥下痛)
子供のころから扁桃腺がよわかった。
ひらけた谷の底に住んでいた幼少期は母に手を引かれ
神奈中のボンネットバスに40分揺られて医者に通った。
車掌さんが腰に下げているガマグチ型のバッグは
色褪せた黒の革製で、バチンとあけると丸見えで、
釣り銭と回数券の束が入っていた。
車掌さんは妙齢の娘さんのときやオジサンだったり
食べ物をのみ込むと痛いからすぐ分かる。(嚥下痛)
子供のころから扁桃腺がよわかった。
ひらけた谷の底に住んでいた幼少期は母に手を引かれ
神奈中のボンネットバスに40分揺られて医者に通った。
車掌さんが腰に下げているガマグチ型のバッグは
色褪せた黒の革製で、バチンとあけると丸見えで、
釣り銭と回数券の束が入っていた。
車掌さんは妙齢の娘さんのときやオジサンだったり
するから、午前と午後の交代制だったかも。
バスに乗るのは好きだけど医者に行くのはイヤだった。
バスが停留所が近づくにつれしょぼんとする。
母はバスから降りるとぼくの手を放さない、
ぎゅっと握ったまま引っ張るように坂道をのぼる。
右側の垣根から医者の白い看板が見えるけど、
小学生のぼくには読めない難しい漢字だった。
「刑部(おさかべ)」中学になっても読めなかった。
町医者は丸いメガネをかけた中年の女医さんで、
3歳のときにかかった麻疹のときからずっとお世話に
なっていると母に聞かされていた。
白い綿球付きスティックを黒い壜にどぼっと漬け、
「はい口あけてー」喉ちんこにぐりぐり塗られて
もうおしまい。熱がないときは注射なし。
あの薬液はなんていうんだろ、
臙脂色に熟したブルーベリーを加えたような色と
ヨードチンキみたいな匂いにグェッとえづく。
いまはぴりっときたら市販薬の「ハレナース」を飲む、
これがよく効くからわが家の常備薬になっている。
あれから60年、
あの先生はもう泉下の人だろうね。
扁桃腺が腫れるたびに丸いメガネを思いだす。
バスに乗るのは好きだけど医者に行くのはイヤだった。
バスが停留所が近づくにつれしょぼんとする。
母はバスから降りるとぼくの手を放さない、
ぎゅっと握ったまま引っ張るように坂道をのぼる。
右側の垣根から医者の白い看板が見えるけど、
小学生のぼくには読めない難しい漢字だった。
「刑部(おさかべ)」中学になっても読めなかった。
町医者は丸いメガネをかけた中年の女医さんで、
3歳のときにかかった麻疹のときからずっとお世話に
なっていると母に聞かされていた。
白い綿球付きスティックを黒い壜にどぼっと漬け、
「はい口あけてー」喉ちんこにぐりぐり塗られて
もうおしまい。熱がないときは注射なし。
あの薬液はなんていうんだろ、
臙脂色に熟したブルーベリーを加えたような色と
ヨードチンキみたいな匂いにグェッとえづく。
いまはぴりっときたら市販薬の「ハレナース」を飲む、
これがよく効くからわが家の常備薬になっている。
あれから60年、
あの先生はもう泉下の人だろうね。
扁桃腺が腫れるたびに丸いメガネを思いだす。
明日は夕方から雨の予報
みなさん風邪ひかないように。
また明日。
祖母がイタドリの根を掘って擂り、患部に貼ってくれた。
昔の事でもあり、無医村だったので、薬草は欠かせなかった。
あけびが好いと知ってからは、自生させて焼酎に漬けて使っています。
あのころ、
母ひとり子ひとりのぼくは溺愛されてました。
商家を営む母が店を閉めてまで医者に連れていく。
兄が3歳の時に手遅れの疫痢で夭逝しているので
母は民間療法には懐疑的でまずは医者へと走る人。
なんでも思い込んだら命がけの人ですから。
齢を重ねて母と同じDNAを自分も持っていると
ことあるごとに感じてます。
ハレナース効きますよw