映画[太陽と月に背いて]と黒沢作品

[太陽と月に背いて]
天才詩人アルチュール・ランボー役のレオナルド・ディカプリオ、時の大詩人ポール・ヴェルレーヌ 役の
デヴィッド・シューリス。退廃した1870年代のパリを舞台に破滅的な愛と芸術に苦悩する若き詩人
アルチュール・ランボー の一生を、彼に乗り移ったかのごとく演じたディカプリオの最高傑作です。
原題[Total Eclipse]を邦題[太陽と月に背いて]と意訳したセンスに脱帽、
よほどランボーとヴェルレーヌに心酔してないと思いつかない題名だと思ふ。

[タイタニック]
このテーマ曲を聞くと豪華客船の先端で潮風を受ける２人より、恋人を残しひとり氷の海に沈んでいく
ディカプリオのシーンが目に浮びぶ。彼はこの映画により一躍世界の映画スターになったけど
この人は無名時代のほうがよっぽど味のある映画に出演してました。

[陽の当たる場所]
ブルーム・オブ・ユースの歌詞のサビの部分「・・・陽の当たる場所へ」を聞いてこの映画を思い出した。
モンゴメリー・クリフトとエリザベス・テイラーの美しさは特筆もの。
エリザベスのあの菫(すみれ)色の瞳に見つめられたら下を向くっきゃない。

[太陽がいっぱい]
では映画における完全無欠ないい男は誰だろう、やっぱり全盛期記のアランドロンかな。
このころの彼はうっとりするほど「いい男」だった。
潮風を受ける陽に焼けた精悍な顔も、パリの裏町を歩くアンニュイな背中もみんな彼の味方、
フランス映画って聞くだけでアランドロンがまぶたに浮かぶ。銀幕のスターかくありなん。

黒沢監督は常に前を向いていた。
良き時代に先進の息吹を注ぎ、風に向かって進んでいた。
何かを創ろうとする人は、いつだって、あきらめちゃいない。

黒沢明監督・全30作品
1943　姿三四郎 大河内伝次郎、藤田進、轟夕起子、月形龍之介、志村喬、花井蘭子
1944　一番美しく 志村喬、清川荘司、菅井一郎、入江たか子、矢口陽子
1945　続姿三四郎 大河内伝次郎、藤田進、月形龍之介、河野秋武、轟夕起子
1952　虎の尾を踏む男達 大河内伝次郎、藤田進、森雅之、志村喬、榎本健一、仁科周芳
1946　わが青春に悔なし 原節子、藤田進、大河内伝次郎、杉村春子、三好栄子、志村喬
1947　素晴らしき日曜日 沼崎勲、中北千枝子、渡辺篤、中村是好、菅井一郎
1948　酔いどれ天使 志村喬、三船敏郎、木暮実千代、中北千枝子、笠置シヅ子、久我美子
1949　静かなる決闘 三船敏郎、三條美紀、志村喬、植村謙二郎、千石規子、中北千枝子
1949　野良犬 三船敏郎、志村喬、淡路恵子、三好栄子、千石規子、木村功、山本礼三郎
1950　醜聞 三船敏郎、山口淑子、桂木洋子、千石規子、小沢栄、志村喬、北林谷栄
1950　羅生門 三船敏郎、京マチ子、志村喬、森雅之、千秋実、上田吉二郎
1951　白痴 原節子、森雅之、三船敏郎、久我美子、志村喬、千秋実
1952　生きる 志村喬、日守新一、田中春男、千秋実、左卜全、藤原釜足 、金子信雄
1954　七人の侍 三船敏郎、志村喬、津島恵子、島崎雪子、加東大介、木村功、千秋実
1955　生き物の記録 三船敏郎、志村喬、千秋実、三好栄子、青山京子、上田吉二郎
1957　蜘蛛巣城 三船敏郎、山田五十鈴、志村喬、久保明、千秋実、浪花千栄子、佐々木孝丸
1957　どん底 三船敏郎、山田五十鈴、香川京子、中村鴈治郎、東野英治郎、田中春男
1958　隠し砦の三悪人 三船敏郎、千秋実、藤原釜足、藤田進、志村喬、上原美佐
1960　悪い奴ほどよく眠る 三船敏郎、森雅之、香川京子、三橋達也、志村喬、西村晃
1961　用心棒 三船敏郎、仲代達矢、司葉子、山田五十鈴、加東大介、東野英治郎
1962　椿三十郎 三船敏郎、仲代達矢、加山雄三、団令子、志村喬、入江たか子
1963　天国と地獄 三船敏郎、仲代達矢、香川京子、三橋達也 、志村喬、山崎努、佐田豊
1965　赤ひげ 三船敏郎、加山雄三、山崎努、香川京子、二木てるみ、笠智衆
1970　どですかでん 頭師佳孝、菅井きん、殿村敏之、三波伸介、伴淳三郎、田中邦衛
1975　デルス・ウザーラ ユーリー・サローミン、マクシム・ムンズク、シュメイクル・チョクモロフ
1980　影武者 仲代達矢、山崎努、萩原健一、根津甚八、大滝秀治、隆大介、油井昌由樹
1985　乱 仲代達矢、寺尾聰、根津甚八、隆大介、原田美枝子、宮崎美子、植木等、ピーター
1990　夢 寺尾聰、笠智衆、マーチン・スコセッシ、倍賞美津子、原田美枝子、根岸季衣
1991　八月の狂詩曲 村瀬幸子、井川比佐志、茅島成美、大寶智子、伊崎充則、根岸季衣
1993　まあだだよ 松村達雄、香川京子、井川比佐志、所ジョージ、油井昌由樹、寺尾聡

黒沢作品はTV放送・VTRを含めいちおう全部みた。
自分的には1957年の[蜘蛛の巣城]が黒沢作品の中ではピカ一です。
何度見ても山田五十鈴さんはすごい。肝の据わったオンナはこわいのひと言。