水産北海道ブログ

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国が資源管理基本方針の改正、新しい資源管理をパブコメ スケソウ太平洋系群、日本海北部系群の管理目標、漁獲シナリオ

2021-01-19 16:48:46 | ニュース

 農林水産省は「資源管理基本方針の一部改正」に関する意見・情報の募集(パブリック・コメント)昨年12月26日から今年1月24日まで行っている。TAC魚種(スケソウ、スルメイカなど)のMSYを達成する新たな管理目標とも連動しており、スケソウでは太平洋系群、日本海北部系群、オホーツク海南部、根室海峡のTAC管理の内容が付記されている。このパブコメを踏まえ、水産庁は26日の水政審資源管理分科会で資源管理基本方針の改正案、漁業法に基づくスケソウ、スルメイカの令和3管理年度の当初TAC案を諮問する。

 資源管理基本方針では、新たな数量管理による資源管理の推進により「令和12年度(2030,年度)までに漁業生産量(養殖および藻類の生産量を除く)を444万㌧まで復活させる」との目標を盛り込み、「漁獲可能量による管理」について「最新の資源評価及び農林水産大臣が定める資源水準の値に応じた漁獲圧力の決定方式(漁獲シナリオ)により導かれる生物的許容漁獲量の範囲内で定める」とし、「漁獲シナリオに用いられる漁獲圧力の値は、最大持続生産量(MSY)を達成する水準を上回らない」ことが基本とした。

 また、スケソウ太平洋系群と日本海北部系群の管理目標、漁獲シナリオも明記された。太平洋系群は令和3年(2021年)〜5年(2023年)までTACを17万㌧に固定するが、資源評価の結果、この期間中にTACに相当する漁獲圧力がMSYを超過することが見込まれる場合には、漁獲シナリオを見直す。令和6年(2024年)〜13年(2031年)までは、親魚量が限界管理基準値を上回っている場合、親魚量がMSYを達成する漁獲圧力の水準に0.9を乗じた値とする

 大量来遊への対応では、沿岸漁業(渡島・胆振海区)の1日当たり平均漁獲量が10月で500㌧、11月で600㌧を超えた場合にTACに1万㌧を追加する。これは翌年度の資源評価で生物学的漁獲許容量を再計算し、翌年度のTACを変更できる。知事管理と大臣管理のTACの配分は、平成29年(2017年)〜令和元年(2019年)の漁獲実績の平均値に基づく比率で配分し、別段の合意のある場合は合意の数量で算出する。TAC超過分は原則として全量を翌年度TACから一括で差し引く。

 また、日本海北部系群は、漁獲圧力とTACの算定方法で沿岸と沖底で意見が分かれたため、2案を併記している。沿岸側は「漁獲圧力をβ=0.9で固定する」を選択し、親魚量が限界管理基準値を上回っている場合には、MSYを達成する漁獲圧力の水準に0.9を乗じた値とする。

 一方、沖底側は「最初の5年間漁獲量を1万㌧で固定し、その後漁獲圧力をβ=0.9で固定する」を選択し、令和3年(2021年)〜7年(2025年)まで1万㌧のTACで管理するが、この期間中にTACに相当する漁獲圧力がMSYを超過することが見込まれる場合には、漁獲シナリオを見直す。知事管理と大臣管理の配分、繰越し、超過などは太平洋系群と同じ。

 太平洋、日本海ともTACを固定化する場合は、ステークホルダー会議での水産庁見解通り未利用TACの翌年繰越しは認めない。

 このほか、オホーツク海南部および根室海峡は、ロシア海域とのまたがり資源として従来と同様に、近年の最大漁獲量をもとにオ海5万6千㌧、根室2万㌧のTACを設定する。


栽培公社の事業・施設運営方針が決定、浜が了承 ヒラメ種苗生産を羽幌に集約、施設維持管理費の応分化 大型ナマコの全道供給で収支改善の見通し示す

2021-01-19 16:45:26 | ニュース

 広域的な種苗生産を行っている道栽培漁業振興公社(川崎一好会長)は、専門委員会を設置して今後の事業・施設運営方針を検討していたが、ヒラメ事業の継続と瀬棚事業所への集約化、瀬棚事業所の空いたスペースを活用した大型ナマコの種苗生産を進め収支の改善につなげる方針を決定し、昨年12月までに日本海の関係地域協議会で了承を得た。今年から集約・移管を行う。

 この中には種苗生産事業の集約・移管のほかに魚種毎の「施設維持管理費等の応分化」も含まれ、ヒラメ漁業者の漁業者負担額(4,500万円)の維持、ニシン種苗単価の値上げ(1尾4円程度)を決定した。この背景には、栽培基金の運用益が段階的に減少(道銀が優先株を令和2年から10年間で償却・返戻)することから、ヒラメ事業が主に施設運営費を賄う従来の方法では施設維持が困難になっていた。そこで同公社は、理事会の中に専門委員会(委員長・上見孝男理事)を設置して道の参画も得て検討を重ね、昨年9月末に結論をまとめ、浜に提案した。

 大型ナマコの種苗生産については浜の期待が多く、資源量の減少を懸念する声も強いことから、瀬棚事業所の改修後、これまでの15㎜以上種苗を30㎜まで大型化し令和5年から提供する。種苗生産の集約・移管は、再編後、羽幌事業所でヒラメ132万尾、日本海ニシン200万尾を生産する。瀬棚事業所では後志南部ニシン40万尾、檜山ニシン100万尾、マナマコ15㎜以上50万個、同30㎜以上100万個を生産する計画。クロソイ9万尾は地域に移管し支援する。


道南太平洋沿岸スケソウ漁獲(12月末) ようやく2万㌧突破・前年比94%、底建網に4,600㌧

2021-01-19 16:43:16 | ニュース

 道南太平洋の今シーズンの沿岸スケソウ漁は昨年10月の解禁から不調が続いていたが、12月下旬に渡島管内の砂原、森の底建網で4,600㌧余りが漁獲された。全体としては刺し網が不振で、その他が伸びたが、不漁だった昨年並みにとどまっている。大量漁獲があったクリスマス前後は㎏当たり50円に下がったが、年明けは80〜110円で推移しているという。

 道水産林務部漁業管理課のまとめによると、道南太平洋の沿岸スケソウ漁獲量は12月末までの累計で、刺し網が1万4,777㌧、その他が6,000㌧で合計2万777㌧となり、前年同期に比べ94%。刺し網が前年比69%にとどまっているのに対し、その他が765%と大幅に伸びた。管内別では、渡島が1万2,961㌧で同114%。刺し網が7,933㌧・69%、その他が5,028㌧・720%。胆振が5,397㌧で同68%。刺し網が5,188㌧・69%、その他が209㌧・46%となっている。日高は2,419㌧で同95%。刺し網が1,656㌧・72%、その他が763㌧・298%。

 なお、11月1日から解禁された日本海の沿岸スケソウ漁獲量は12月末の累計で310.5㌧と前年度期の57%。後志管内が177.1㌧で同62%、桧山管内が133.5㌧で同50%となっている。出漁隻数(延べ)が前年の6割弱にとどまり、両管内とも低調な漁となっている。


新型コロナウイルス感染症対策を道議会、道に要請 継続的な影響緩和策の実施、生産基盤等の整備など  「コロナの影響は変わらず、むしろ拡大している」

2021-01-19 16:42:01 | ニュース

 道漁連(川崎一好会長)は14日、新型コロナウイルス感染症対策の要請を行い、道、道議会に対し継続的な影響緩和策実施、ポストコロナに向けた生産基盤などの整備などを要望した。

 道議会には、道漁連の菊池元宏副会長、山宮望漁政部長ら訪れ村田憲俊議長、三好雅水産林務委員長、吉田正人自民党水産議員連盟会長に道漁連、信漁連、共済組合、基金協会、共水連の系統5団体連名による要請書を手渡した。

 菊地副会長は「昨年はコロナ禍で魚価、輸出に影響を受け全道で水揚げが400億円減少し、年間で2千億円程度に下がる見込みとなっている。そのため、漁協の経営は相当に苦しく、沿海地区71漁協のうち、26〜27くらいが欠損を出し一部で繰越欠損も見られる。漁業法改正で漁協の業務も増え、何らかの支援を考えてほしい」と漁協経営対策を強調した。また、「コロナの影響は新年も変わっていない。むしろ拡大している」と指摘し、政府が緊急事態宣言の対象地域拡大と同時に、11カ国のビジネス往来も全面禁止したことに関連して「漁業だけでなく農業、加工業など多くの分野、地域で大変な影響が出る。間違いなく産地の処理能力は下がる」と調整保管などの下支えの必要性を訴えた。

 要請書では「1.コロナ禍に係る継続的な影響緩和策の実施」として①漁業信用基金の保証付き長期負債整理資金の創設②漁業者、漁協向け緊急運転資金の無利子化継続③特定水産物平準化事業の継続的な実施に向けた基金化④国内外の消費流通対策の支援措置を国に求めている。

 菊地副会長は「調整保管を行う特定水産物平準化事業は補正で32億円が計上され、これを活用し乾貝柱を順調に生産し、ホタテの仕向けの適正化に役立ったが、令和2年度第3次補正予算では5億円しか措置されていない。道漁連はこの事業で鮮魚の仕入を1,000㌧ほど増やし価格の底支えを行っている」と予算枠の拡充を求めた。

 次いで「2.ポストコロナに向けた生産基盤等の整備」として①秋サケの種苗生産体制の維持・安定、効果的な資源回復措置②昆布資源増大のための調査研究の拡充と早期実用化③養殖ホタテの大量へい死に対する資源回復・増大対策④増養殖・栽培漁業の種苗生産や新しい増養殖手法などの技術開発や施設整備に必要となる予算の確保を求めた。

 菊地副会長は「秋サケ、ホタテ、昆布の三大栽培魚種はいずれも問題を抱えている。道総研を中心に原因を究明してもらい、問題解決を図りたい。時間がかかるので、その間に畜養とか給餌養殖の研究開発も含めて支援をお願いする」と要請した。

 これに対し、村田議長は「コロナの影響を緩和する経済政策、金融対策などを国に要請してきたが、皆さんのお話しを聞き、今後も議会として国に働きかけたい」と述べた。

 このあと、菊地副会長らは道庁で土屋俊亮副知事に会って、要請書を手渡し同様の要請を行った。


水産庁人事異動(1月1日) 太田審議官が異動、高瀬研究指導課長が後任

2021-01-19 16:36:57 | ニュース

 農林水産省は1月1日付の人事異動を発令した。水産庁の幹部では、太田審議官が異動し、後任に高瀬研究指導課長が昇任した。そのほか課長クラスの異動は次の通り。

▷大臣官房付兼水産庁付(資源管理部審議官兼大臣官房付)太田愼吾、資源管理部審議官兼大臣官房付(増殖推進部研究指導課長)高瀬美和子

▷漁政部水産経営課長(漁政部漁業保険管理官)石川治、同漁業保険管理官(漁政部水産経営課長)神田宜宏、資源管理部管理調整課長(増殖推進部栽培養殖課長)坂本清一、同漁業取締課長(資源管理部管理調整課沿岸・遊漁室長)高屋繁樹、増殖推進部研究指導課長(同管理調整課長)廣野淳、同漁場資源課長(同漁業取締課長)桑原智、同栽培養殖課長(増殖推進部栽培養殖課内水面漁業振興室長)櫻井政和、資源管理部管理調整課沿岸・遊漁室長(道管理調整課課町補佐)松尾龍志、漁港整備部整備課長(国土交通省北海道開発局水産課長)横山純、増殖推進部漁場資源課漁場資源情報分析官兼水産庁増殖推進部栽培養殖課付(増殖推進部漁場資源課長)江口静也

▷水産庁漁港漁場整備部整備課付、国土交通省北海道開発局水産課長(国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所寒地水圏研究グループ上席研究員)渡邉浩二

▷退職(漁港漁場整備部整備課長)浅川典敬