水産北海道ブログ

北の漁業と漁協がわかる情報満載です

NPFC年次会合でサンマ、サバの漁獲上限更新 公海でサンマ漁獲10%減に設定、サバの上限3割減

2025-03-30 20:16:09 | ニュース
 北太平洋公海の生態系、漁業資源の保存・管理を協議する北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が3月24〜27日大阪で開かれ、サンマの漁獲上限を10%減、マサバを3割減とする資源管理に合意した。
NPFCは北太平洋漁業資源保存条約に基づく地域漁業管理機関として設立され、東京海洋大学の品川キャンパスに事務局を置く。今回の年次会合では日本をはじめカナダ、ロシア、中国、勧告米国、バヌアツ、台湾、EUの9カ国・地域が参加し、日本からは福田工水産庁資源管理部審議官(わが国代表)、太田慎吾農林水産省顧問(NPFC議長)のほか、水産庁、外務省、水産研究・教育機構、漁業関係団体の関係者が出席した。日本側は「公海の資源量の水準は依然として低い。気候変動の影響など不確実性を伴う管理方法の議論を加速させる必要がある」(太田議長)として野心的な資源保存管理措置を提案した。水産庁よる結果概要は次の通り。
【サンマの資源管理】
・昨年合意した漁業管理規則(直近の資源水準から漁獲上限が算出されものの、毎年の漁獲上限の変動幅は前年比1割以内)に基づき、2025年の公海における漁獲上限と13万5,000㌧から12万1,500㌧に設定(分布域全体の年間漁獲量は同22万5,000㌧以内から20万2,500㌧以内に抑制)
【マサバの資源管理】
・公海におけるマサバの漁獲上限を10万㌧から約3割削減し、7.1万㌧に設定する措置が合意

日本海ニシン 石狩・後志北部は低迷のまま終漁、留萌の巻き返しに期待

2025-03-30 20:04:45 | ニュース
 道水産林務部普及指導員のまとめによると、今年の日本海沿岸ニシン漁は、平成8年のニシンプロジェクト発足以来最高の漁獲量を記録した前年から一転し、1月からの累計漁獲量は3月20日現在、前年同期比39%・2,315㌧減の1,478㌧に留まっている。
 同日現在の後志北部の累計漁獲量は、東しゃこたん漁協1㌧・余市郡漁協88
㌧・小樽市漁協206㌧の計295㌧で前年同期比32%と大幅減。3月1日からの20日間の漁獲量は、3漁協合計で25㌧と最終盤の漁模様となっている。余市郡漁協所属の漁業者によると、今年は前年ほどニシンの来遊がまとまらない中で時化も多く、沖に居座るトドによる食害が重なったこともあり漁獲量が伸びなかった。後志北部は3月末までに今年の操業を終えている。
 石狩湾漁協の累計漁獲量は、本所590㌧・厚田支所459㌧・浜益支所53㌧の計1,132㌧で前年同期比42%。
 昨年は2月下旬に増毛で数量がまとまり、3月20日までに203㌧を水揚した留萌管内は4漁協合計で50㌧と75%の減。前年も3月1日〜20日の管内水揚数量が13㌧と一時的に停滞していることなどから、今後の巻き返しに望みをつなぐ。
 後志南部は寿都町漁協が3月20日までに累計で111㌧を水揚げしてい
るが、他地区の数量が伸びず、全体の水揚数量は前年同期に比べ71㌧減の118㌧。檜山管内は江差支所3㌧など計4㌧の水揚げ実績となっている。

道連合海区漁業調整委員会で7年度ふ化放流道計画承認 サケ9億2千万尾と前年比6千万尾削減 来遊不振に伴い計画と実績の乖離を調整

2025-03-22 16:41:26 | ニュース
 道連合海区漁業調整委員会(工藤幸博会長)が3月21日午後からポールスター札幌で開かれ、令和7年度さけ・ます人工ふ化放流計画について道の原案通り答申した。道は昨年の結果から計画と実績の乖離を調整し、サケはサケ9億2千万尾と放流数を前年比6千万尾減と大幅に削減し、えりも以東、えりも以西、日本海の各海区で減少する。
 今年度のさけ・ます人工ふ化放流計画と昨年度の結果を道の担当者が説明した。それによると、国の計画は2月13日の水政審で答申され、民間の計画は3月11日の道さけ・ます増協の理事会で承認された。道が策定する民間・道の放流計画に水産資源研究所計画を加えたサケの総放流計画数は9億2,441万尾となり、前年計画に比べ6,084万尾の大幅な削減。えりも以東海区の十勝釧路増協、日高増協分、えりも以西の渡島増協、胆振増協、日高増協分、日本海に日本海増協分が減少する。削減後の放流数は道が管理する。カラフトマスが1億2,540万尾と前年同数、サクラマスが310万尾と国の変更で116万尾の減。
 令和6年度の秋サケ沿岸漁獲実績(1月末・最終)は1,567万尾で、前年比82%。漁獲金額は485億円で同127%。また、河川の親魚捕獲は202万尾と計画に対し171%。収容卵数は9億7,901万粒で同86%にとどまった。

日本海ニシン(3月10日) 前年同期比6割減の1,341㌧、2月末から163㌧増にとどまる

2025-03-20 22:27:52 | ニュース
北るもい漁協苫前支所の小笠原宏一道漁青連副会長
(留萌地区会長)からSNSでニシン大漁の報告が

 終盤に差しかかった日本海沿岸のニシン漁。3月に入っても好転せず、後志、石狩の水揚げは2千㌧を下回る前年同期の6割減にとどまっている。
 道水産林務部成長産業課の普及指導員によると、3月10日現在の日本海沿岸ニシン漁獲状況速報は1,341㌧で前年同期(3,540㌧)の38%。前回の2月末に比べ163㌧の増加にとどまった。後志北部が277㌧で前年同期の33%、うち小樽市漁協が204㌧。石狩湾漁協が1,059㌧で前年同期の42%。うち石狩本所が588㌧、厚田支所が422㌧、浜益支所が50㌧。留萌は5㌧などとなっている。ただし、報告のなかった北るもい漁協は、苫前支所の漁業者から大漁のニュース(3月19日)が入っており、上乗せが期待される。
 一方、後志南部・桧山は寿都漁協らが105㌧で同76%、ひやま漁協が4㌧で同57%となっている。
 以上は、沖合底引き網漁業や刺し網、定置網以外の漁業で混獲されたニシンは含んでいないが、全般的に沖合での漁獲が良かったとの話も聞かれる。

日本学術会議公開シンポ 水産業の評価基準見直し MSEによる頑健性シフト、企業や潮流へのサステナ対応

2025-03-18 21:30:48 | ニュース
 日本学術会議の公開シンポジウム『地球規模の変化に対応したレジリエントな水産業-水産業を評価するための基準を考え直す-』が3月14日午後からオンラインで開催され、2つのセッションにおける報告を踏まえ「新しい研究ニーズにどう対応すればよいのか」について総合討論を交わした。
 東京大学大学院の八木信行教授が趣旨説明を行い、セッション1「サステナビリティーをめぐる世界の潮流」で2つの報告を受けた。その中で、IPBES(イプベス、生物多様性と生態系サービスに関する動向を科学的に評価する政府間組織)の報告が紹介され、生態系サービスとそれに変わるNPC(自然がもたらす恵み)の概念と水産業への応用などが提起された。
 セッション2「日本における新課題」では、水産研究・教育機構の市野川桃子資源解析グループ長が2017年に水産庁が打ち出した「水産政策の改革」とそれに基づく漁業法の改正によって資源管理はMSY(最大持続漁獲量)に基づく目標管理基準値をめざすものとなり「世界の近代的な資源評価に追いついてきた」と説明。しかし、様々な不確実性と環境変化による影響、ステークホルダー(利害関係者)との合意形成という普遍的な課題に直面している。それに対し、MSE(管理戦略評価)という「水産資源管理に関するプロセスをコンピュータシミュレーションによって再現する」手法の有効性を強調し、気候変動を含めた様々な不確実性に対し、平均レベルで調整する「最適性から頑健性へのシフト」を提唱した。元水産庁で農林中金総合研究所の岡添巨一主任研究員がブルーカーボンをキーワードに浜の保全を通じて漁業者と外部関係者の連携の場をつくった事例を紹介し、①企業側の関心の高まりへの対応、②長年の取り組みをサステナビリティーの潮流にどう生かすか、③陸上と比較した海洋データの不足、水産関連データの共有要請への対応といった水産業における今後の論点をあげた。