新型コロナウイルスはオミクロン株になって感染を急拡大。人の集まる機会は1月、2月はキャンセル続き。本格的な食と観光はいつ戻ってくるのか?水産業の現場は動いているものの、主要魚種の不漁、新たな資源管理、流通適正化、基本計画の見直しなどちょうど、チェンジの時期に当たっており、難しい課題に直面しています。
しかし、そういう時こそ、一息入れ、立ち止まって考えることも大切です。いろいろな動きを知り、自分の立ち位置を確かめる時なのかもしれません。
表紙およびカラーのページはオホーツク海に面する道内有数のホタテ産地・宗谷漁協(奈良満代表理事組合長)の新しくできた事務所です。地域のコミュニティー施設として300人収容のホールも併設しているそうです。
合わせて漁協による新たな鮮魚販売を模索する鵡川漁協(小谷地好輝代表理事組合長)のバーチャル店舗開店も紹介します。
2021年(1〜12月)の農林水産物の輸出は、1兆2,385億円と前年比25.6%増加した。中国、米国などの経済活動が回復し、少額貨物を含め多くの品目の輸出額が伸びた。財務省「貿易統計」を基に農林水産省が発表した。
水産物は3,016億円と3千億台に乗せ、倍増のホタテを中心に32.5%増の高い伸びをみせた。道内の生産が順調だったホタテは、需要回復や米国の生産量減少による単価上昇などで前年比325億円・103.9%増の639億円と農林水産物で最も増加が大きかった。ブリも246億円(42.6%増)と大きく増加し、サバ220億円(7.7%増)、タイ50億円(33.4%増)、スケソウ20億円(20.1%増)も増加した。逆にナマコ(調整)は155億円と14.4%減。調整品ではホタテ貝(調整)が81億円(73.9%増)、貝柱調整品が60億円(16.6%減)となっている。
水産物の輸出先では、香港668億円、中国590億円、米国423億円、台湾268億円、タイ206億円、ベトナム184億円、韓国176億円とアジア、北米圏が上位を占めた。
一方、農林水産物の輸入は10兆1,656億円で14.3%増。水産物は1兆6,042億円で9.5%増だった。冷凍すり身3,732億円(28.8%増)、サケ・マス2,152億円(7.2%増)、マグロ類1,822億円(17.2%増)、エビ1,784億円(11.5%増)などが主な品目。
従来「若干量」「現行水準」とされてきた本道の定置網によるスルメイカ漁獲にTAC数量が明示されることになり、道などが主催してスルメイカTAC説明会が10日午後からオンライン会議形式で開かれ、全道の漁業者、漁協関係者ら150人が参加した。
2月8日に開かれた水政審資源管理分科会で、4月1日からの令和4年度スルメイカTACに定置網を中心とする北海道の知事管理量に5,600㌧の数量が明示され、大量漁獲に備え1万㌧の留保枠が用意された。
道水産林務部漁業管理課の石川傑課長補佐によると、スルメイカTACの知事管理には定置網、5㌧未満のイカ釣り、底建網、その他が含まれるが、漁業の区分なしに一本で管理する。ちなみに小型イカ釣りの5㌧〜30㌧は大臣管理となり、1万8,300㌧のTACを設定している。
水産庁の魚谷敏紀資源管理推進室長は、今回の措置について「日本全体の漁獲の上位8割に含まれる漁業は、知事管理でも数量を明示して管理する対象とする。スルメイカは漁獲変動が大きいことを考慮し、操業に支障のないよう配分を行う」と述べた。説明では迅速に留保枠の配分を可能にする「75%ルール」が説明され、道が行ったシミュレーションも紹介された。
資源動向では冬生まれ群が減少しており、沿岸漁業者から外国漁船の乱獲や沖合での若齢の漁獲を懸念する声が上がった。水産庁によると、今回はスルメイカを漁獲する大臣管理の4業種が当事者間で調整し、その合意に基づき配分を行った。冬生まれ群は資源再建計画の対象となるほど悪化しており、2年以内に検討するという。