農林水産省は「資源管理基本方針の一部改正」に関する意見・情報の募集(パブリック・コメント)昨年12月26日から今年1月24日まで行っている。TAC魚種(スケソウ、スルメイカなど)のMSYを達成する新たな管理目標とも連動しており、スケソウでは太平洋系群、日本海北部系群、オホーツク海南部、根室海峡のTAC管理の内容が付記されている。このパブコメを踏まえ、水産庁は26日の水政審資源管理分科会で資源管理基本方針の改正案、漁業法に基づくスケソウ、スルメイカの令和3管理年度の当初TAC案を諮問する。
資源管理基本方針では、新たな数量管理による資源管理の推進により「令和12年度(2030,年度)までに漁業生産量(養殖および藻類の生産量を除く)を444万㌧まで復活させる」との目標を盛り込み、「漁獲可能量による管理」について「最新の資源評価及び農林水産大臣が定める資源水準の値に応じた漁獲圧力の決定方式(漁獲シナリオ)により導かれる生物的許容漁獲量の範囲内で定める」とし、「漁獲シナリオに用いられる漁獲圧力の値は、最大持続生産量(MSY)を達成する水準を上回らない」ことが基本とした。
また、スケソウ太平洋系群と日本海北部系群の管理目標、漁獲シナリオも明記された。太平洋系群は令和3年(2021年)〜5年(2023年)までTACを17万㌧に固定するが、資源評価の結果、この期間中にTACに相当する漁獲圧力がMSYを超過することが見込まれる場合には、漁獲シナリオを見直す。令和6年(2024年)〜13年(2031年)までは、親魚量が限界管理基準値を上回っている場合、親魚量がMSYを達成する漁獲圧力の水準に0.9を乗じた値とする
大量来遊への対応では、沿岸漁業(渡島・胆振海区)の1日当たり平均漁獲量が10月で500㌧、11月で600㌧を超えた場合にTACに1万㌧を追加する。これは翌年度の資源評価で生物学的漁獲許容量を再計算し、翌年度のTACを変更できる。知事管理と大臣管理のTACの配分は、平成29年(2017年)〜令和元年(2019年)の漁獲実績の平均値に基づく比率で配分し、別段の合意のある場合は合意の数量で算出する。TAC超過分は原則として全量を翌年度TACから一括で差し引く。
また、日本海北部系群は、漁獲圧力とTACの算定方法で沿岸と沖底で意見が分かれたため、2案を併記している。沿岸側は「漁獲圧力をβ=0.9で固定する」を選択し、親魚量が限界管理基準値を上回っている場合には、MSYを達成する漁獲圧力の水準に0.9を乗じた値とする。
一方、沖底側は「最初の5年間漁獲量を1万㌧で固定し、その後漁獲圧力をβ=0.9で固定する」を選択し、令和3年(2021年)〜7年(2025年)まで1万㌧のTACで管理するが、この期間中にTACに相当する漁獲圧力がMSYを超過することが見込まれる場合には、漁獲シナリオを見直す。知事管理と大臣管理の配分、繰越し、超過などは太平洋系群と同じ。
太平洋、日本海ともTACを固定化する場合は、ステークホルダー会議での水産庁見解通り未利用TACの翌年繰越しは認めない。
このほか、オホーツク海南部および根室海峡は、ロシア海域とのまたがり資源として従来と同様に、近年の最大漁獲量をもとにオ海5万6千㌧、根室2万㌧のTACを設定する。