iPS細胞から心筋細胞などが作られている。その一歩先は臓器を作り出してしまうことだ。日本ではアプローチのステップとして、臓器全体ではなく、その一部つまりいろんな細胞を集めて機能する組織の作成に成功している。横浜市立大学先端医科学研究センターの谷口英樹教授がその人で肝臓組織を作った。すごい成果ではあるが、その作成方法がずいぶん粗っぽい。iPS細胞から肝細胞の前駆細胞を作り、そこへ血管となる内皮細胞、接着剤の役割を担う間葉系細胞の細胞を混ぜて培養する。すると、48~72時間で増殖し、網目状の血管構造を持つミニ肝臓組織となったのである。言葉に表れていない困難があったことが予想されるが、必要そうなものを一緒に培養したらできちゃった、という感じがする。科学の進歩は、論理的な思考より行動の方が速いということがよくある。これもその一つのような気がする。まずやってみよう、から始まるのだ。これで再生医療が全く変わってしまいそうだ。