部員紹介13

自身をちぃと呼ぶ若干のイタさを隠せないのが小蔵千尋その人である。

陸の彼女は完全なる女子大生。

練習着の上からスプリングコートを羽織って合宿所に来る。

バイトの鬼で練習終わりは常にメイクをしている。

今は髪の色を大人しくしてはいるが、もうすぐ本来の彼女をお披露目できるのではなかろうか。

合宿所は彼女の第2の家である。

合宿所、艇庫に落し物・忘れ物があるとすれば98%彼女の私物である。

「あっ、忘れてた。」

びっちゃびちゃのパーカーを渡したことを鮮明に覚えている。

いつから忘れていたんだ、ちぃ…。

彼女は細身で小柄である。他の女子と見比べてみても明らかである。

しかし、ボートの上では誰よりもボディを使い、誰よりもストレッチャーを強く蹴る。

彼女の漕ぎは大きく見える。

彼女の身体は大きく見える。

エルゴを回す時は自ら気合を入れる。

女子では彼女だけだ。

音研はみなそうなのだろうか…声が大きい。

そう腹式なのだ。

でもエルゴをよく回すしよく回る、コールに忠実に反応する。

キツい時でもくらいつく。

見た目とは裏腹に頑張り屋で真面目なのだ。

皆そのギャップに驚く。

練習後脱け殻状態の彼女を多々みかけるがそれは全力を出し尽くした証なのだ。

彼女は恋をしているのだ。

ボートという1番楽しく、1番しんどいスポーツに…

彼氏ができた彼女に怖いモノなど何もない。

がむしゃらに前へ前へ進もうとする彼女は異性だけでなく同性もキュンキュンさせる。

彼女を見るとキミもボートを漕ぎたくなるはずだ！！！