コットンウェイの道端から

真岡鐵道を中心に、広く交通に関するトピックスをお届けしたいと思います

[路線バス]宇都宮駅にバス総合案内システム

2011-06-05 23:52:29 | 路線バス

先日、JR宇都宮駅を訪れたとき、写真のようなバス案内システムを発見しました。調べてみると、県バス協会や路線バス事業者が4月から運用しているものらしく、主な行き先ごとのバスの時刻や乗り場がリアルタイムで表示されるようです。鉄道でホームごとに発車時刻等を案内している電光掲示板と似ていますね。宇都宮駅西口には10を超えるバス乗り場があり、行き先、経由地、バス会社も様々なため、利用者にとって分かりにくいと言われてきました。バス会社の垣根を越えて情報をまとめることで、公共交通としての利用価値が上がり、利便性アップにつながると思います。他にも宇都宮市内では、以前からバス停時刻表を統合する取り組みも行われています。


さて、ここからは余談になります。現在、県内の路線バスには共通バスカードというものがあります。関東自動車、東野交通、JRバスの3社で利用でき、利用額も購入額より多くなっているのでそれなりに便利です。しかし、時代の流れからするとPASMOのような広域で使えるIC乗車券を導入してほしいです。車が主役でバスが肩身の狭い思いをしている栃木県にあって、大きな投資が必要なため実現は難しいと思います。でも、鉄道やバスを利用している地域の住民や、首都圏その他から観光やビジネスで訪れる人々にとって、精算面でのバリアフリー化のメリットは大きいと思います。もし、県内の3セク鉄道含めて大半の公共交通機関でPASMOが使えれば、地方にありながら利用しやすい公共交通体系に変わる可能性を秘めていると思います。


ということで、今後も、公共交通における情報面のバリアフリー化、精算面のバリアフリー化に期待しましょう。


[路線バス]かしてつBRT

2011-03-06 22:37:02 | 路線バス
平成19年3月に惜しまれつつも廃線となった茨城県の鹿島鉄道。廃線後は、民間バス会社が線路に平行して走るR355に代替バスを走らせていますが、利用客は鉄道の4割にとどまり、石岡寄りでは渋滞によりバスの定時運行に支障が出ていました。そこで、鉄道廃線路の一部をバス専用道化し、自動車交通とバスを分離する試みが昨年8月末より始まっています。通常は、バイパス道の整備による現道の渋滞緩和で、バスの定時性確保を期待する場合が多いのですが(自動車優先の政策)、この例のように公共交通優先の政策は珍しく、その効果が気になっていました。






そのバス専用道の開通から半年が経過し、利用状況が上がってきました。

http://mytown.asahi.com/areanews/ibaraki/TKY201101170325.html(朝日新聞、リンク切れ注意)

昨年11月の利用者数は、専用道開通前の4月と比較すると、平日と休日をあわせた平均で15%増加したそうです。特に平日の増加が目立っていて、通学に利用する高校生が増えてきているようです(マイカー送迎からの切り替え)。クルマ社会でも、公共交通が便利になれば利用されるということなんでしょうね。


専用道と言っても、一般道との交差部では一般道優先になる(小さな街路との交差を除く)ことが多く、大幅なスピードアップには至っていませんが、定時制の向上はバスに対しての認識を変えたようです。運行本数も1時間に3~5本あり、沿線住民にとっては利用しやすいのではないでしょうか。


しかし、まだ利用開始から半年余り。利用を定着、拡大させることが今後の課題なんでしょうね。このようなバス専用道や最近人気のデマンドタクシーなどの新しい公共交通が、地域に根差した持続可能な交通の1つのあり方として広がりを見せることを期待したいです。


※タイトルのBRTとはBus Rapid Transit(バス高速輸送システム)の略称です。

[路線バス]県内JRバスの動向

2011-02-10 23:42:00 | 路線バス
以前の記事で、「JRバス・常野線廃止か?」という記事を書きましたが、正式に廃止が公表されました。廃止となるのは、那須烏山市のJR烏山駅から那珂川町健武までの常野線全線21.1km。本年度いっぱいで廃止となり、4月1日からは那珂川町が主体となって代替バスの運行を開始するとのことです。


常野線の利用者は年間4.2万人(09年度)で、主に高校生や小学生が通学に利用しているそうです。しかし、少子化やそれに伴う高校の統廃合で利用者は減少傾向にあり、今後も増加は見込めないことからJRバスとしても手を引いたようです。しかしながら、地域の基幹交通を失うデメリットは大きいため、デマンド型交通への切り替えではなく路線は存続となりました。代替バスの運行区間は馬頭寄りが若干短くなるものの、運賃上限を現在より抑えて、これまでとほぼ同じ頻度・停留所で運行をする計画だそうです。(下野新聞記事を参考)



さて、上の写真は茂木町内を走るJRバスですが、常野線が廃止となると、次に動向が気になるのは水都西線の祖母井―茂木間ですね。宇都宮市内と清原台団地、祖母井、茂木を結ぶ水都西線は、宇都宮近郊に比べ末端部での利用が極端に少ないのが現状です。特に宇都宮市内の私立高校がスクールバスを出すようになってからは衰退が顕著で、現在、祖母井―茂木間の運行本数は1日たったの5.5往復です。


同区間の主な利用者は、市貝、茂木町内の小学生で、その他に高校生や高齢者が少々といったところでしょうか。また、この路線の特異な現状として、茂木町内のツインリンクもてぎイベント開催時の多客輸送があります。JR宇都宮駅と同サーキットを結ぶ主要公共交通として、年数回臨時便を出して対応しています。しかし、昨今の経済不況によるインディジャパン(同サーキットのメインイベントの1つ)の今年限りでの終了も報じられるなど、将来的には不透明感があります。


利用実態を踏まえ、JRバスは数年前に廃止を沿線自治体に申し入れましたが反対され、現在は自治体からの補助で運行が維持されている状況だそうです。今回の問題区間が通る市貝、茂木町には、他の公共交通として真岡、茨城方面に抜ける真岡鐵道がありますが、県都宇都宮方面への交通はバスしかありません。道路では、r69の芳賀・市貝バイパスの開通が待たれるなど県都との結びつきが強くなる一方で、公共交通が寸断される事態は避けなければならないので、この路線の維持、進展は必要だと思います。今後開通する前述のバイパスを使って速達性を上げるとか、廃止やむなしとなった場合でも、市塙駅までは残し真岡鐵道と接続するようにするとか柔軟な発想で足を残してほしいですね。

[路線バス]JRバス・常野線廃止か?

2010-09-25 23:57:28 | 路線バス

JR烏山線の終点、烏山駅から北へ1本のバス路線が伸びています。これがいわゆる常野線と呼ばれる、全長約21kmの路線です。烏山駅と那珂川町藤沢の間を平日15本(上下合計)運行しています。しかし、長らく学生や高齢者の足として利用されてきた同路線も、少子化、高校の統合など利用環境が変わり利用者が落ち込んでいることから、運行するJRバス関東は来年3月末で廃止したい考えのようです。


存続要望を続けている沿線自治体ですが、廃止された場合も想定して地域の足を守る対応策を検討しているそうです。この辺りの地域では、自治体で運行してきた代替バスを廃止してデマンド型交通を導入する動きも見られるので、今後はそういう方向へ向かっていくんでしょうね。


ちなみに、JRバス関東は水都西線(宇都宮~茂木)の祖母井~茂木間も廃止したいそうですが、こちらは沿線自治体の支援によって、最低限の運行が維持されています。


地方における公共交通の在り方が問題になることが多いですが、確実にその形は変わりつつあるようです。



▲JRバス藤沢転回所(トップの画像は旧馬頭市街地を走るJRバス常野線)

[路線バス]宇都宮―高崎間の高速バス運行へ

2010-01-21 22:44:48 | 路線バス
県都宇都宮市と群馬県の高崎・前橋市を結ぶ高速バスの運行が2月24日から開始されるそうです。1日4往復、宇都宮―高崎間2時間10分、運賃は片道1500円(大人)。関東自動車(宇都宮市)と日本中央バス(前橋市)の共同運行。


北関東道が全線開通していないため、当面の間経路の一部は一般道を利用するようですが、全線開通すれば所要時間も30分ほど短縮されるそうです。


北関東道を利用する高速バスは、昨年9月から宇都宮と水戸を結ぶ路線が1日6往復運行されています。北関東3県は、北関東道を積極的に活用しようとある意味躍起になっています。3県都の間の流動がどれほどあるのかは分かりませんが、鉄道では直通ではないため、高速道路は観光・ビジネスなどにおける3県の交流・流通に大きく寄与するものと思われます。


さて、高速バスといえば、高速ETC割引の影響を受けて苦しい状況にあると聞きます。しかし、鉄道ネットワークが発達しない現代においては、自由に走らせられる高速バスが広域(長距離)移動の足として重要なポジションを担っていくのでしょうね。

[路線バス]大田原市営バス拡充

2009-12-16 23:59:01 | 路線バス

県北部の大田原市。市内には国際医療福祉大学があるため、同大学と最寄駅(那須塩原駅、西那須野駅)を結ぶ路線をはじめ、市内を網羅するように市営バスが運行されています。通常、自治体が運行するバスといえば、民間バス会社が撤退した路線を引き継いだものが多く、自治体の財政難の中、そのあり方が議論されているのが現状です。しかし、大田原市は少し異なり、上下で1日32本(平日)の運行本数のある那須塩原駅線を筆頭に、公共交通として活躍しています。


そんな大田原市営バスにこの度、国際医療福祉大学と那須塩原駅を従来より10分早く結ぶ路線や、来年4月に開校する黒羽統合中学校の生徒が利用できる2路線が新設されるそうです。確実に利用が見込める通学路線を整備しながら、一般の人も利用できる路線バスにすることで「公共交通空白地域」を減らすことができます。スクールバスに福祉バス、観光バスなど、目的別にバスを走らせている自治体も多いのですが、どちらが効率的なんでしょうね。地域交通としては、デマンド交通という選択肢もあるのですが…。


財政難、クルマ社会の中にあっての自治体運営バス。これから、各自治体で地域にふさわしい公共交通のあり方が活発に議論されていくことでしょう。

[路線バス]バス停駐輪場

2009-07-16 19:07:08 | 路線バス
鉄道駅で、列車の利用客のために駐輪場を設けることは、ほとんど当たり前になっています。しかし、最近はバス停にも駐輪場を設置する例が増えているそうです。


自転車でバス停まで行きそこでバスに乗り換えることを『サイクルアンドバスライド』と言いますが、この際、名前なんかどうだっていいでしょう。


マイカーの普及や少子化で、路線バスの利用者は鉄道以上に落ち込んでいます。バスの利用環境を改善することで、乗客減対策になればと、栃木県・宇都宮市・関東自動車(県内最大手のバス事業者)はバス停駐輪場の整備を進めているそうです。


しかしながら、鉄道駅と比べて数も多く、かつ1ヶ所あたりの利用者数の少ないバス停。すると、駐輪場を設置するバス停の選定が重要になってきますね。現在のところ、バス会社の営業所や団地の入り口など10か所程度に駐輪場が設置されているようですが、利用者には好評のようです。


身の周りでも『エコ』が話題となっている昨今、たまにはクルマではなくバスで出掛けてみてはいかがでしょうか?



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(画像データ)
○2008.9.1撮影 宇都宮市内のバス停(細谷新道口)
○栃木県が整備したバス停駐輪場。屋根付きの立派なもの。

[路線バス]肩代わりバスのこれから

2009-02-22 10:05:21 | 路線バス
モータリゼーションのあおりで年々縮小する路線バス。地域の足を確保しようと、廃止路線を自治体が引き継いでいるケースが少なくありません。しかし、自治体にはバス運行のノウハウがないため、バスを走らせることが目的となってしまっているようです。結果、住民のニーズに合わず、無駄に空バスを走らせているだけのところも少なくありません。

下野新聞の記事によると、07年度の県内乗り合いバスに対する国、県、市町を合わせた行政負担額の合計は10億円を突破したとのこと。財政の厳しさが増す中、今後もこれを維持(もっとも増えることも予想されるが)できるかは不透明です。地域のバスは、子供や高齢者といった交通弱者のためといった意味合いが強いのですが、行政はそれを口実に漫然と運営しているように見えてなりません。

そんな中、栃木県は新年度、「生活交通再構築事業費補助金」を新設するそうです。これは、これまで赤字バスの補填のためだけだった補助金を、自治体バスの実態調査や試験運行などにも利用できるようにしたもの。自治体バスの改革を促す政策と言えますね。これから超高齢化社会を迎えるにあたって、「地域の足をどう維持するか」が問われています。

個人的に考えるのは、自治体が運営しているバスを統合できないかということです。自治体は、種々の目的のために結構バスを走らせています。路線バスの肩代わりバス、スクールバス、福祉バス・・・。これらの実際のニーズを把握して、ルートや時刻を調整すれば、ある程度統合が可能だと思います。とにかく、今は情報もバラバラで分かりにくい。バスネットワークが整理されれば、観光とかこれまで取り込めなかった利用客も獲得できると思うんですが。みんなで知恵を絞って頑張りましょう。