コットンウェイの道端から

真岡鐵道を中心に、広く交通に関するトピックスをお届けしたいと思います

[地域交通]変わる茂木町の公共交通

2011-07-11 23:50:46 | 地域交通
芳賀郡東部の茂木町では、新しい公共交通として「デマンド型乗り合いタクシー」の導入が予定されています。今年10月から実証運行という形で運行がスタートする予定で、それによって、現在運行されている町営バスは、9月末をもって全路線廃止となるようです。今回は、そんな茂木町の公共交通について考えてみました。なお、今回の記事は、茂木町ホームページ内の茂木町地域公共交通会議等を参考にしています。興味を持たれましたら、以下のリンクで詳しい内容をご覧ください。

※茂木町地域公共交通会議のページ(茂木町ホームページ内、外部リンク)
http://www.town.motegi.tochigi.jp/motegi/nextpage.php?cd=118&syurui=1&lev=2&hidchangemoji=2


○デマンド型乗り合いタクシーの概要
利用者からの予約を受けて、ドアツードアで乗り合い運行を行う新しい形の公共交通ですが、周辺地域では、芳賀町、高根沢町、那珂川町等で運行されています。現在では、実証運行等に対する国の補助制度もあり、持続可能な公共交通の1つとして全国的な広がりを見せています。

茂木町では、町内を4つのエリアに分け、エリア内の移動は1回300円(乗継、市街地は200円)とし、7時~18時(12時~13時はなし)で1時間に1便程度の運行が計画されています。日祝日、年末年始は運休。町が予約を受け、町内のタクシー事業者が運行を行う形でスタートするようです。


○4月に町営バス時刻改正
今年4月から、現行の町営バスのダイヤが一部改正されました。通学利用者(小学生)の要望や他の交通機関との接続改善を考慮したそうですが、4月の利用者は前年比29%減で特に効果は見られなかったとのこと。震災の影響もあったのかもしれません。しかし、本当に公共交通の利便性を上げるためなら、もっと前に行ってもよかったはずです。どうも今回のダイヤ改正は、デマンド交通運行に当たって必要な事務手続きみたいなものなんでしょうね。(バスを改善→効果なし→デマンドに移行)



○茂木駅⇔道の駅もてぎ線も廃止
茂木町の町営バスは、主には小学生の通学、高齢者の買い物や通院に利用されているそうですが、主要路線の運行の合間に、土日祝日のSL運行日のみ設定されている「茂木駅⇔道の駅もてぎ」直通便があります。道の駅もてぎは、茂木駅から約1km強離れています。徒歩でもアクセスできますが、小さいお子さんを連れた家族や天候によってはバスは重宝されているようで、先月18日(土)の道の駅行きの便は、SLの乗客が少なかったにもかかわらず15名程の利用がありました。直通便も今回の町営バス廃止に伴いなくなり、町では「今後はタクシー事業者にお願いするしかない」との考えのようです。真岡鐵道は、茂木町地域公共交通会議のメンバーに入っているので、道の駅便の継続(または代替手段の確保)を訴えてほしかったですね。



○JRバスの茂木駅⇔ツインリンク間は特定日運行へ
ここで、デマンドの話からは逸れますが、土休日に運行されていたJRバス「宇都宮~茂木駅~ツインリンクもてぎ(以下TRM)」のうち、茂木駅~TRMの定期便が先月1日よりなくなりました。今後は、イベント開催日を中心とした特定日の運行にとどまるようです。これは、利用状況からみると仕方のないことかと思います。ただ、イベントによっては利用の多いときもあるので、その際は、臨時便の確保と情報の提供をしっかり行ってほしいと思います。


○新しい公共交通の成功に向けて
長くなってしまいましたが、今秋以降、茂木町の公共交通は変わります。デマンド交通は、効率的で素晴らしい交通システムのように思いますが、どんな交通機関でも、地域に愛され多く利用されてこそ存在意義があります。青写真で終わらせないためにも、しっかりとした計画、住民への説明、情報の開示が不可欠です。

また、将来的には鉄道やバスなど広域にまたがる交通機関との連携や整合性をはかることも課題になってくると思います。仮に自治体の合併があったときに、自治体内で運行していたデマンド交通はどうするのか。デマンド交通の運行エリアが広がれば、運行効率が落ちるだけでなく、鉄道やバスの必要性が低下してしまいます。例えば、デマンド交通で茂木から真岡に行けてしまうと、真岡鐵道は利用されなくなります。その辺も含めて、現在、自治体単位で行われている公共交通の会議も、もっと広い枠組みで行うことが必要なのではないかと思います。


最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。お疲れ様でした。

[地域交通]時代はデマンド!?

2010-03-09 23:58:27 | 地域交通

都市の郊外部や小さな自治体では、最近デマンド型交通の導入が流行っています。デマンドとは「需要・要求」の意味ですが、デマンド型交通は利用者のニーズに合わせて柔軟に運行できる新しい交通手段です。


県内の先進事例は、トップ写真にもある芳賀町の「ふれあいタクシーひばり」。芳賀町には鉄道駅がなく、町内を走る路線バスもルート・本数ともに少ないため、高齢者など交通弱者の移動手段として5年前からデマンド型交通が運行されています。


ふれあいタクシーひばりの場合、利用者が事前登録をすれば1回300円(大人)で8時から17時まで利用できます。利用したい時間と行き先を予約センターに前もって予約することで、オペレーターが利用者を集約し、運行会社に配車を依頼するシステムとなっています。


路線バスの衰退ととってかわるようにして生まれた「デマンド型交通」。宇都宮市板戸地区では来月から本格運行が開始されるなど、広がりを見せています。料金が安い半面、運行の継続には自治体や地域の支援が不可欠でしょうし、既存の交通機関との兼ね合いで、安易に運行範囲を広げられないなど課題もあります。でも、これからは既存の鉄道・バスといった基幹交通とデマンド交通、タクシー、自転車などの末端交通を合わせて総合的な交通計画を立てていくことが望まれるのでしょうね。