日本経済新聞 春秋(09/5/11) からです。
▼鳥は自由でいいとうらやむのは、人間の勝手な思い込みだろう。逆に適者生存の自然界で生きるのは大変だと同情するのも余計なお世話だ。10日から始まった愛鳥週間についての広報で、東京都は「野鳥へのエサやりは控えましょう」と訴えている。エサをやるのは善意からだろうが、野鳥の自活を妨げるという。
▼IBMの2代目経営者のトーマス・ワトソン・ジュニア氏が唱えた「野(の)鴨(がも)の精神」を思い出す。海岸で秋に南に渡る野鴨を見て、親切な人がエサを与え始めた。安楽に過ごして太った鴨は飛べなくなった。この寓話(ぐうわ)を引き、野性を失った鴨は自然に戻れない。社員は野鴨のような個性を持った人材であれと戒めた。
▼ワトソン氏の信念は固かった。しかし主力の汎用コンピューター事業が全盛期を迎えると、IBMの企業風土は保守化した。「野鴨」はどこへいったのやら、業績が大幅に低下して、大改革を経て今日に至っている。飼いならされた社員が増えるのは、経営者が官僚的になるからだ。そんな会社はこれから危うい。
IBMだけでなく、親子、為政者と国民等様々なところにあてはまる寓話です。
▼鳥は自由でいいとうらやむのは、人間の勝手な思い込みだろう。逆に適者生存の自然界で生きるのは大変だと同情するのも余計なお世話だ。10日から始まった愛鳥週間についての広報で、東京都は「野鳥へのエサやりは控えましょう」と訴えている。エサをやるのは善意からだろうが、野鳥の自活を妨げるという。
▼IBMの2代目経営者のトーマス・ワトソン・ジュニア氏が唱えた「野(の)鴨(がも)の精神」を思い出す。海岸で秋に南に渡る野鴨を見て、親切な人がエサを与え始めた。安楽に過ごして太った鴨は飛べなくなった。この寓話(ぐうわ)を引き、野性を失った鴨は自然に戻れない。社員は野鴨のような個性を持った人材であれと戒めた。
▼ワトソン氏の信念は固かった。しかし主力の汎用コンピューター事業が全盛期を迎えると、IBMの企業風土は保守化した。「野鴨」はどこへいったのやら、業績が大幅に低下して、大改革を経て今日に至っている。飼いならされた社員が増えるのは、経営者が官僚的になるからだ。そんな会社はこれから危うい。
IBMだけでなく、親子、為政者と国民等様々なところにあてはまる寓話です。