エリザベス女王の死を悼んで。
数年、イギリスに住んでいたこともあり、エリザベス女王の訃報は、ショックだった。
イギリスの紙幣、コイン、切手・・・生活のいたるところでエリザベス女王を見かけた。
住みはじめたばかりの頃、
「日本の皇室は、雲の上の存在な感じがするけど、イギリス王室は、とても国民に近いよね」
とイギリス人の友達に言うと
「でも、スーパーで会うことはないけどね」
と笑っていた。
自分の財産がない日本の皇室と違って、ロイヤルファミリーはお金持ち。
しかも国民に愛されている。
「世界で最後まで残る5人の国王は?」と言うジョークの答えは
「英国王とトランプの4枚の王様」
王室廃止論が上がった時も、イギリス人の多くは
「でも、選挙したら女王が間違いなく首相になるよ」
と言っていた。
王だった叔父が恋愛の結果、廃位して、エリザベス女王の父親(弟)が、急に王位をつぐことになった。
エリザベス女王が後に、
「王位を継ぐ教育を受けてなかった父は、とても苦労をして、そのために早く死ぬことになった。叔父の無責任な行為のせいだ」
と言うようなことを言っていた(書いていた)記憶がある。
ニュースで繰り返し報道されているように、エリザベス女王は21歳ですでに、王位を継ぐ決意と心構えができていた。
そして、70年間、女王はこうあるべきという彼女の理想を貫き通したように私には見える。
庶民には計り知れない、いろいろ大変なことや面倒なことや辛いことがあったと思うけれど・・・
でも、女王の言動は、いつも、イギリス人のみならず世界中の多くの人の指針となった。
初めて来日した時、私の住む市でも、デパートで来日記念のイベントが行われた。
学生だった私は、アルバイトでジョニーウォーカーの赤いドレスを着て、イギリスの物産を販売した。
会場には、エンドレスでビートルズが流れていた。
思春期の私には、その格好は恥ずかしくて、心の中で知り合いが来ないといいなあと願っていた。
今なら、喜んで着ちゃうのに・・・
そして、真面目な学生だった私はそれまで大いなる偏見を持っていたビートルズを大好きになった。
スコットランドのショートブレッドや、紅茶や、スコッチを売りながら、行ったこともないイギリスが身近な国になった。
いやいや、イギリスは、それまでにも、シャーロックホームズやアガサクリスティで、私にとっては憧れの国だった。
その10数年後にイギリスに住むことになるとは、その時は思いもしなかった。
エリザベス女王は、わたしにとって大英帝国とほぼ同義語の価値を持つ。
あんなに王冠や王笏の似合う女王はいない。
「(王冠は)首の骨が折れそうに重い」
とチャーミングに笑っていた女王も大好きだ。
物理的にも心理的にもとっても重かったと思う。
想像でしかないけれど。
お疲れ様でした。ご冥福を祈ります。
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