北欧スウェーデンの生き方、学校、季節、寒さ、イベント・・・面白くつたえられたらいいな
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12月13日(つまり、昨日ね)は、ルシア祭。
スウェーデンによほど詳しい人でない限りルシア祭については、知らないだろう。
というのも、クリスマス関連行事の一環として、この日を祝うのは、スウェーデン、イタリアなどかなり少ない国だからだ。
一言で言うと、「ルシア」というのは、日本でも有名なあの「サンタルチア」のルシアである。
イタリアのシシリー生まれの聖女。
だから、イタリアで祝うのはわかるが、スウェーデンでまた、なぜ?
多分、これは、私の勝手な思い込みだが、冬の長い国では「光」に対する思いが強く、その表現の一つではないだろうか。
ルシアは「光の女王」なのだ。
ルシアは、西暦200年ごろ、イタリアのかなり裕福な家に生まれた。
若いローマ人と結婚することになっていた。
ところが、持参金を全て母親にプレゼントすると知ったこの婚約者は、怒ってローマ政府にルシアがクリスチャンであると密告したのだった。
まったく、なんと言う婚約者でしょ。
当時ローマでは、キリスト教はご禁制で、見つかれば、拷問の上、処刑というのが
決まりだった。
で、ローマの役人がルシアを逮捕にきたのだが、ルシアは、そこに根が生えたように動かなかった。
どうすることもできないローマの役人は、その場でルシアの周りに薪をならべて、火刑にすることにした。
ところが、燃え盛る火は、ルシアの髪の毛一本さえも焦がすことができなかった。
結局、役人によって、首を切り落とされ、ルシアは絶命する。
しかし、 殉教したルシアは聖人としてあがめられることになった。
それがなぜ、スウェーデンに渡って、冬至の日のお祭りになったのか。
元々スウェーデンでは、12月12日と13日の間の夜が一年で一番長い夜だと考えられていた。
そして、その晩は、ルシファーという悪魔たちが、復讐にくると信じられていた。
それで、日没後は、誰も外に出てはいけないきまりになっていたのである。
その代わり、13日の朝は、主婦は朝2時に起きて、豪華な食事を用意する。
特に、クリスマスの特別豚料理を作る。
そして、食事の前に「Lussebete, Lussebete, long night, new night」
と叫ぶ。
この豪華な食事は日の出の前に終わらなければならない。
そして、それが、終わると、いよいよクリスマスシーズンの幕開けとなるのである。
早朝、顔を黒く塗った「Lussegubbar」が、近所を食べ物と飲み物を乞いながら歩く。
また、「Lussebride」が花嫁に扮する。
この風習が、なぜ、ルシアと結びついたのかは、いくつかの説があるようだ。
しかし、ハロウィーンとお盆をミックスさせたように、スウェーデンでは新しく入ってきたものを自分たちの伝統の中にうまく取り込んで、独自の新たな伝統を作るのが上手なようだ。
って、これは、私の個人的な意見ですけどね。
ルシア祭りは、光の女王ルシアが「tarnor」と呼ばれる女の子たちと「stjarngossar」と呼ばれる男の子たちを引き連れて、例えば、学校を隅々まで回って、闇に潜む悪魔たちを追い払う。
その時、ルシアは頭の上に蝋燭を何本も立てた冠をかぶり(まさに、八つ墓村)お付きの少女たちは、手に蝋燭を持ち、少年たちは、星を持つ。
これが、「ルシア隊」(これは、私的造語です)
衣装は全員、白の長いドレス。
ネグリジェを想像して貰えば一番わかりやすい。
主役のルシアは、一人。当然、学校でも優秀な少女の出番になる。
そのあたりから、美人コンテストの様相も兼ねてきた。
1927年にStockholms Dagblandという新聞がルシアを投票で決めるという企画を出した。
それ以来、スウェーデン代表のルシアは、候補者の中から投票で決まるようになった。
ゆるきゃらコンテストみたい??
何しろ、18歳から24歳まで、金髪長髪、子供がいないこと(ここが未婚と書かないところがスウェーデンらしい)、白人・・・と言ったように結構厳しい条件。
あら?私は、全部はずれるわ〜
ルシアに付き物のLussekatter(悪魔の猫)といわれるサフラン入りのパンは、このシーズンだけ売りに出される。
なぜ、そう呼ばれるのかは、形が、悪魔を捉える鎖のようだからとか・・・・
猫の舌のようだとも・・・
でも、正確にはわからない
マルモ市(スウェーデン南部の大都市)のルシアを見に行こうとすると(こちらは早朝ではなく夕方)、子供たちは、
「もう、学校でやったから十分」
とそっけない。
若者に伝統の良さを伝えるのはむずかしい。
で、一人でカメラ片手に出かけた。
ゴスペルのコンサートがあったりして、みんなは、無料の蝋燭を手に持って待っている。
(でも、5時50分までは火をつけないで、と書いてあった)
なぜか市長の演説もあり・・・
一番興味深かったのは、歴代のマルモ市のルシアが招待されていて、それぞれの年度のついた大きな星を持って、見学者の中に混じっていたこと。
中には数十年前の人もいた。
彼女たちにとって、すごく懐かしい誇らしい思い出をそうやって、毎年噛み締める日なのですね。
サンタルシアの歌が、これまでと違って聴こえてくるかもね。
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