木を削る道具の鉋(かんな)です。
同じ道具でもこれだけ大きさが違うものがあります。
左から、ミニ小鉋18mm、豆平鉋42mm、平鉋70mm、大鉋160mm(5寸3分)
ミニ小鉋は当社扱い品では、9mmのものまであります。
平鉋70mmは、大工さんが一般に使う鉋で寸八(すんぱち)と呼ばれる鉋です。
寸八は1寸8分のことで、換算すると54mmなのに、70mmと呼ぶのはなぜ?
って思ったあなた、その疑問はもっともです。
約30年前、この業界に入った時に最初に持った疑問です。
鉋の職人さんに聞いたり、調べたりして、いろんな説を知りましたが、いまだに完全に納得のいく回答が得られていません。
この特殊の呼び方は、寸四(60mm)、寸六(65mm)、寸八(70mm)、二寸(80mm)などです。
このせいでよくあるトラブル例として、
注文する方が、二寸鉋(80mm)の上の寸法というつもりで二寸五分鉋を注文した場合、注文を受けた方は、二寸鉋は80mmとわかっているのだが、二寸五分鉋からは実寸になり75mm(2.5×30mm)の鉋を作ってしまい、「二寸鉋(80mm)より幅の狭い二寸五分鉋(75mm)なんか頼んでいない」とキャンセルになってしまうというものです。
価格も、二寸までは寸八の○○円高(職人さんによって違う)なのだが、二寸五分鉋は特別注文ということでかなりの割高価格になり、幅の狭い鉋の方が高いという変な現象が起きてしまいます。
幸い自分では、途中で気がついて確認したのでトラブルにはなりませんでしたが、あやうく危ないことはありました。
碓氷さんでも、以前それでキャンセルになった「二寸五分鉋」が結構あったとの話を聞いたことがあります。
三寸鉋は実寸で約90mmなのでこのトラブルは起きません。
碓氷さんは今では、「二寸五分鉋」と言われるとお客さんの要望を察して、二寸鉋(80mm)と三寸鉋(90mm)の間の寸法ということで85mmを作るそうです。
さすが!
そして、大鉋は通称五寸鉋で、昔は実用品というより、龍虎などを彫金して飾りとしての要素が大きかったのですが、最近は「削ろう会」などの影響で実際にこれを使って削る人も増えてきました。
この五寸鉋も鉋幅で五寸という鍛冶屋さんと削り幅で五寸という鍛冶屋さんがいるので要確認!
今では、五寸鉋どころか八寸鉋、一尺鉋それ以上とどんどんエスカレートしているようですが、それでも使いこなせる人がいるのは驚きです。