隊長が、これまでに鑑賞した「映画」を紹介するシリーズの第177作品目は、『レッドクリフ PartII-未来への最終決戦-』をお送りします。
『レッドクリフ』(原題: 赤壁、英題:Red Cliff)は、 中国の古典小説「三国志演義」を基にした中国制作のアクション映画です。
「隊長のブログ」では、中国映画を、これで18作品を紹介したことになります。詳細は、こちらの記事一覧を、ご参照下さい 。
二部構成で制作され、前編の『レッドクリフ PartI』(原題: 赤壁、英題:Red Cliff Part I)の公開が、2008年7月(日本公開:同年11月)。
後編の『レッドクリフ PartII-未来への最終決戦-』(原題: 赤壁:决戦天下、英題:Red Cliff Part II)の公開は、2009年1月(日本公開:同年4月)。PartIIの上映時間は、144分。
監督は、前・後編ともジョン・ウー(吴 宇森)。
脚本:ジョン・ウー、チェン・ハン(陳汗)、シェン・ホーユー(盛和煜)、グオ・ヂョン(郭筝)。
尚、「隊長のブログ」で取り上げた、ジョン・ウーの作品一覧は、こちらをご覧ください 。
音楽を、日本の岩城太郎が担当。
出演者は、香港出身のトニー・レオン(梁 朝偉)、金城武、中国のチャン・フォンイー(張 豊毅)、ヴィッキー・チャオ(趙薇)、トン・ダーウェイ(佟大為)、台湾出身がチャン・チェン(張震)、リン・チーリン(林 志玲)、中村獅童、ほか多数。
トニー・レオンさんが出演する映画の記事一覧は、こちらです 。
金城武さんが出演する映画の記事一覧は、こちらです 。
ヴィッキー・チャオさんの略歴などは、こちら 。
あらすじ:(PartI)物語の舞台は、三国時代(魏、蜀、呉)の中国。のちの魏の礎を築いた漢の丞相(じょうしょう)の曹操(チャン・フォンイー)は、北部を平定した後、南部も制圧するために兵を進めます。
その目的は、天下統一に邪魔な劉備(ヨウ・ヨン)・孫権(チャン・チェン)の抹殺だけでなく、今は周瑜(しゅうゆ)(トニー・レオン)の妻となった天下一の美人・小喬(リン・チーリン)の奪取にもありました。中国中部の荊州(けいしゅう)にいた劉備軍は南下して軍を立て直そうとしますが、途中の当陽県長坂(ちょうはん)にて追いつかれ、敗走します。
夏口(現在の武漢)へ逃げた劉備は、部下の諸葛亮孔明(金城武)の提案に従い、孔明をのちに呉を建国した孫権(チャン・チェン)のもとへ派遣します。孔明は孫権の総司令である周瑜と意気投合し、二つの勢力は共に曹操と戦う同盟を結びます。孫権は数万の軍勢を派遣し、劉備軍とともに長江(揚子江)の赤壁(せきへき)付近で曹操軍と相対し、両者互いに決戦のために水軍と陸軍を動かすのでした。
(PartII)赤壁付近で対峙する連合軍と曹操軍。孫権の妹である孫尚香(ヴィッキー・チャオ)は男装して曹操軍に侵入します。そして、曹操軍に謎の疫病が蔓延していることを知った彼女は、その事実を伝書鳩に託して孔明に伝えます。
残虐非道な曹操は、疫病で亡くなった兵士たちの死体を船に積み、連合軍のいる彼岸へと流すという非道ぶり。
長いにらみあいで、連合軍は食料不足と疫病のために戦意も尽きようとしていました。そこに曹操軍の2000隻の戦艦と80万の兵士が逆襲。司令官の周瑜と孔明が作戦を仕掛けようとする中、周瑜の妻・小喬が自ら敵の曹操のもとへと向かいました。。。
感想:前・後編合わせて5時間近い大作。ジョン・ウーの作品は、『The Crossing -ザ・クロッシング』も前・後編で4時間超えと長いですね。
PARTI同様にPARTIIも、公開時に劇場で鑑賞して以来、DVD、テレビ放映で、数回観ています。何度観ても、この時代の歴史に詳しくないので、ストーリーを追うので精一杯で、歴史的背景に思いを馳せる余裕は、PARTIIでもありませんでした。
隊長は疎いですが、日本にも「三国志演義」を好きな人が多いので、その人たちには、たまらない映画だったでしょうね。
とにかく、スケールの大きい、アクション映画です。製作費も、当時の中国映画としては、けた外れだったでしょう。
孫権軍の孫尚香役のヴィッキー・チャオさんと、敵である曹操軍の兵士を演じるトン・ダーウェイさんとの、友情物語は、殺伐とした戦闘シーンの中で秀逸です。
中国、香港、台湾、日本、と、国際色豊かなキャストを取り纏めた、スタッフの苦労も並大抵ではなかったと思います。
キャストの中で、金城武さんは、日本語、中国語(北京語、広東語)、英語が達者なので、他のキャスト・スタッフとのコミュニケーションに問題がなかったでしょうが、中村獅童さんは苦労したでしょうね。
中村獅童さん、それでも、甘興役で存在感を見せていました。
存在感と言えば、曹操役のチャン・フォンイーさんも、1994年公開の 『さらば、わが愛/覇王別姫』 の段小楼役同様に、輝いていました。
尚香役の中国出身・ヴィッキー・チャオさんと、小喬役の台湾出身・リン・チーリンさん。このヒロイン二人の美の共演も見どころです。
リン・チーリンさん、この映画にインスパイアされた2011年8月の日本での舞台「レッドクリフ-愛-」で、EXILEのAKIRAさんと知り合い、2019年6月に結婚されたのは、何か因縁がありますね。
日本で2009年4月10日に公開されたPARTIIの興行収入が55.5億円で、この年の洋画興行収入第二位(一位は、80億円の「ハリーポッターと謎のプリンス)と大ヒットだったのに対して、同年5月8日に公開された 『ウォーロード/男たちの誓い』 は、興行収入10億円以下のランク外と残念な結果でした。
両作品とも、中国歴史武侠映画で、派手なアクションシーンが売りです。さらに、日本で人気の金城武さんが両作品に出演しているのに、こんなに興行収入に差がついたのは、これいかに。
『レッドクリフ』は、日本でも有名な「三国志」の赤壁の戦いをベースにしているのに対して、『ウォーロード/男たちの誓い』のストーリは日本人に馴染みがなかったこと。さらに、PARTIでのヒットの実績のある『レッドクリフ PartII-未来への最終決戦-』の公開から一か月も経たないうち、テーストの同じ様な作品を公開した配給会社のミスではないでしょうか。
ブログでは、これまでに、外国映画の邦題(日本語タイトル)の良い作品と悪い作品を挙げていますが、この映画は、悪い例だと思います。
これは、PARTIもそうなのですが、英題の「Red Cliff」をそのままカタカタ表記したという芸のなさ。中国歴史物というより、洋画(欧米映画)のような印象を受けます。
シルヴェスター・スタローン主演の 『クリフハンガー』 と混同しそうです。
英題を拝借するではなく、中国語の原題「赤壁:决戦天下」を意訳して、「天下分け目の決戦:赤壁の戦い」とでもした方が、日本人には分かり易いのではないのでしょうか。
最後になりますが、この映画では、謎の疫病で兵士たちがバタバタと死んでいく悲惨なシーンがあります。
新型コロナウィルスの世界的蔓延の今日、テレビ番組 『そして街から人が消えた~封鎖都市・ベネチア~』 の感想にも書きましたが、人類は過去の疫病の流行など、過去の大災害を忘れることなく、経験を活かす努力が必要なのではないでしょうか。
==「映画」バックナンバー ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/226e9f0193a60e6a012384176360666f
Film1~165 省略
Film166 2020/5/13 『武士の一分』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f8084660f5ada8518968e85284502a7b
Film167 2020/5/15 『僕等がいた 後編』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/2238a0a2da01434f82aafc4d0987bdf3
Film168 2020/5/18 『超高速!参勤交代』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/07d44adf37dd0a5e4f9e429411c3f098
Film169 2020/5/21 『ミックス。』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/a687f26c883779f169e9c41de8eb380e
Film170 2020/5/24 『藍色夏恋』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/831b6b1ef710f7538767b57082e5b1ff
Film171 2020/5/27 『新幹線大爆破』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/a05c7fb4bdde448a6ac068829713a2e8
Film172 2020/5/30 『武士の家計簿』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/c1727c5b28072705d7793137631eb822
Film173 2020/6/3 『海の上のピアニスト』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/3491181045bd9c239fc8e3ef96366c7d
Film174 2020/6/6 『殿、利息でござる!』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/e131cd797c842f40b76cbe3e2675d5ae
Film175 2020/6/9 『レッドクリフ PartI』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/6594ca1db18dfc6c76dad708788b60fc
Film176 2020/6/13 『超高速!参勤交代 リターンズ』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/8b756035874f2baae157760d494484ab
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