隊長が行った展示会・講演・セミナー・発表会や考えた事、など「学ぶ」の第63回は、『四川省でみつけた 線が織りなす美しい手仕事展』をお送りします。
4月4日(土)に、東京都文京区後楽にある「日中友好会館」地下1階の大ホールで行われた『変面ショー&琵琶演奏会』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/2d715cd4b75f6a1c726d945bed800b74 の開演前に、館内1階の「日中友好会館美術館」で開催されていた『四川省でみつけた 線が織りなす美しい手仕事展』を鑑賞しました。
概要:目覚ましい経済発展の裏で、生活様式の変化や量産品の出現によって、中国では、昔ながらの手仕事が急速に失われつつあります。そんな貴重な「手仕事」の中から、日本では未だあまり知られていない「美しいもの」を求めて、コロナ禍に入る直前の2019年12月に、主催者が四川省を訪れました。
四川省は四方を深い山々に囲まれた自然豊かな地です。紀元前250年に構築された水利施設・都江堰の治水により農業が発展。外敵の侵入を阻む独特の地形と豊富な資源に恵まれた「天府の国」を求めて多くの人々が移り住むと、多種多様な手工芸が花開きました。
本展では、主催者たちが四川省がみつけた“線”を媒介に職人が織りなす4つの美しき手仕事、「成都銀糸工芸」、「道明竹工芸」、「蜀錦(しょっきん)」、「閬中(ろうちゅう)シルク絨毯」の73点が紹介されました。
四川省には、中国上海に駐在している時に旅行で、一度だけ訪れた https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/9625dee8a0cdb36604d8ab78feca7580 地ですが、同省の手工芸品ということで興味を持って鑑賞しました。
会場に入ると、真っ先に目に触れたのが、蜀錦で作られた “太子綿羊(たいしめんよう)模様” の「漢服(かんふく)」です。
蜀錦は、古来より「蜀国(しょくこく)」と呼ばれる、現在の四川省一帯を中心に発展した絹織物で、南京の「雲錦(うんきん)」、蘇州の「宋錦(そうきん)」とともに、中国三大錦に数えられています。中でも煌きらびやかで最高級品とされる「蜀錦」は、2000年以上の歴史があり、古くから蜀国の経済を支える産業として栄えてきました。
蜀錦は、花楼織機(かろうしょっき)という二階建ての大型織機で、文様をコントロールする職人と、機を織る職人の二人がかりで織りあげられます。製織工程が非常に繁雑で、熟練の職人でも一日数センチしか織ることができないため、古代より「錦一寸金一寸」と言われるほど価値の高い工芸品です。本展では、反物や漢服など16点が紹介されました。
漢服は、漢民族の伝統的な民族衣装で、長い袖や紐づかいで歩くときの揺れる感覚が特徴です。近年、中国では、若い世代を中心に漢服を着ることが人気を集めているそうです。隊長も、中国歴史ドラマ 『ミーユエ 王朝を照らす月』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/3d9a66785d6004d48e3ef93b9813295c や、『月に咲く花の如く』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/9f6663376dca2ce5689983465b676763 で、主役のスン・リーさんや他の女優さんが身に纏っていた美しい漢服に魅了されました。
尚、日本人が眼にする機会が多い、詰襟で越の横に深いスリットが入ったチャイナドレスは、正式には「旗袍(チイパオ)」と呼ばれ、満州人の貴族衣装「旗装」に、西洋の裁断要素を加えて、融合したものと言われています。
蜀錦の漢服は、もう一枚展示されていました。こちらは、“桃花曲水(とうかきょくすい)文様” です。
こちらは、“美しい生活” と題した、「閬中シルク絨毯」です。
閬中シルク絨毯は、四川省北東部に位置し、今なお古い街並みが残る、閬中市を代表する工芸品です。明代の頃から中国内外で広く知られるようになり、閬中の街にはシルク絨毯を織る工房が多く現れました。この頃に確立した伝統的な織り方や製作工程が、現在まで脈々と受け継がれています。
「道明竹工芸」の一品、“竹編魚籠(たけあみびく)”。
道明竹工芸は、四川平野西部に位置する崇州(すうしゅう)市道明鎮(どうみょうちん)を代表する工芸品です。竹資源が豊富なこの地では、2000年以上も前から竹製品が作られてきました。
「成都銀糸工芸」の “三魚花瓶(さんぎょかへい)”と題した作品。
成都銀糸工芸は四川省の省都、成都市を代表する工芸品です。その歴史は、1700年以上前の漢代にまで遡(さがのぼ)ります。本作品には、約1万メートルの銀糸が使用され、制作に1860時間を費やしたそうです。
尚、『四川省でみつけた 線が織りなす美しい手仕事展』 は、既に終了しています。
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1~50課 省略
51課 2018/12/16『江戸東京博物館』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/ac3017259d14e0982a133ce2916e57b7
52課 2019/4/16 『音楽健康指導士準2級 認定』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/43bb09cb58629d60d1e04462ffee0e1d
53課 2019/6/12 『「外国人おもてなし語学ボランティア」育成講座』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/2a5f0cd2310d4a2eb5aa9080a3561717
54課 2019/6/22 『音楽健康指導士2級 認定』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/dae58a1bc63b14b57e448cf04ec4354c
55課 2019/12/29『中国語と日本語の国名漢字表記の違い』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/7e8d4cbf283ce8a23785c086c952975c
56課 2020/1/30 『中国練り粉人形展』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/e592102da713f18e3647cdef0dee65fc
57課 2020/2/27 『日本橋「箱根八里」フォーラム 開催中止』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/d67d423c1906e17109f7097dd0e54deb
58課 2020/4/7 『露崎玄峯書展』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/d94c3df0d1ab1c0b041a468e6dd18b3e
59課 2020/8/2 『~100枚の写真で旅する!~中国世界遺産』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/135530929064ea8ccc65cf9952437b67
60課 2020/12/17『文京区企画展「春日局と細川ガラシャ」』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/88bfa33749343352001046ef36c04a53
61課 2020/12/27『KING & QUEEN展 -名画で読み解く 英国王室物語-』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f24ca60501ea3a98e1b0c3d12ae91f2f
62課 2021/1/29 『黒田記念館で「湖畔」を鑑賞』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/f5f6cf1edccf8163b6b7e5967cffe481