助教授・犀川と女子大生・西之園萌絵のS&Mシリーズの第7弾!?
前作・「幻惑の死と使途」が奇数章で構成されるのに対し、本作は偶数章のみで成る。
同時期、同時進行形で発生した事件。
西之園萌絵の高校時代からの親友・簑沢杜萌(みのさわともえ)は3年ぶりに夏休みに帰郷する。
親友・萌絵と旧友を深めて深夜に実家に戻った翌朝、家族が誰も家に居ないことに気付く。
その違和感の中、彼女は家の中に居ながらにして部屋に飾ってあった民芸品の仮面をかぶった男に誘拐される。
その頃、杜萌の父母と姉は男女2人組に同じく誘拐され、別荘に拉致されていた。
そして身代金の受渡し場所、別荘に杜萌と仮面の男が向かうと、男女の2人組の犯人は既に射殺されているのを発見、仮面の男は逃走する。
果たして、杜萌家族は無事開放されるが、屋敷の3階に居るはずの失明している兄の行方が知れない。
誘拐事件と犯人同士の仲間割れからの殺人事件の捜査、そして兄・素生の誘拐と失踪の2面からの捜査は一向に進展を見ることもなく迷宮入りも囁きだされた頃、、、
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人は1面などで語れるものではなく、2面、3面、、、と様々な面を持っている。
些細なことから外れ始めた道は先へ行くほどに遠く離れて行き、2度と戻ることは出来ないのか。
萌絵と同じく優秀な頭脳を持つ杜萌。
その杜萌にして失われた過去、封じられた記憶、彼女の望んでいたものは!?望む未来は!?
陰と陽、前作の「幻惑の死と使途」が事件として陽的要素があるのに対し、本作は陰的。
なんだか読後感にスッキリ感が感じられない。
つまらないという訳じゃないです。
このS&Mシリーズも同じ様な華やかな謎解きだけでなく、進化している過程での陰の部分を描く作品が必要だったんだろうと思う。
だからこそ陽の事件「幻惑の死と使途」とのワンセットで本作を描いたのではないか、などと勝手なことを思ったりします。
勝手に評価 ☆ 2.5/5.0