医大生・たきいです。

医大生的独言。

「極論で語る総合診療」を読んで

2016-07-03 16:42:42 | 医学書レビュー

ココイチで読書する日曜日のひとときでありました。医大生・たきいです。


極論で語る総合診療
香坂 俊
丸善出版


極論シリーズに新刊が参りました。今回は総診です。4年生のときに初めてBSLでお世話になったのが外病院の総合診療科でしたが、総診っていわれても何を勉強すればいいんだと呆然となってしまったものです。誰しもこの本はどんな内容なのかと気になってしまうことでしょう。

極論シリーズは既刊すべてをブログにレビューしている義務感から(極論循環極論腎臓極論神経極論感染)、ついつい「題名買い」してしまった一冊でしたが、

本書の狙いは、「たくさんの専門領域を完全に習熟することは、総合診療には必要ない」ことを示すことにあります。つまり「最も頻繁に遭遇する病気だけを、各専門領域から厳選して勉強するだけで十分である」ことをメッセージとして伝えたいのです。
(本書v)著者・まえがき より)

とのこと。消化器、整形、神経、循環器、内分泌・代謝、皮膚、呼吸器、感染症、泌尿器、血液、耳&鼻、眼といったそれぞれの領域で最も頻繁に遭遇する病気をピックアップしてその考え方を極論で語ってくださいます。

うちの大学の某先生は、ワインの知識はソムリエ並という噂が。「視診、嗅診、味診が大事だ」と語っておられてそれは診察のプロセスとアナロジーがあるとのことですが、本書でも「皮疹はワインのように分析する」だなんて書かれてあって、「総診の医者はワイン好き説」は一層確からしいものとなりました。この際わたくしもワイン党に転向しようかな。

ところで。大学病院の中にいるだけでも、総合診療科のあり方について偉い先生同士で喧嘩をしているらしい(?)、というのを学生でさえ小耳にはさみますが(笑)、

80%の患者さんはすべて専門家と同じようにしっかりと問題を解決することがゴールなのである

とする著者の桑間先生の考え方はカッコいいなと一読しただけで思えました。入試の面接で「総合診療についてどう思うか」と問われ、何も分からないなりに「幅広い疾患を診ることのできるというのが一種の専門性」と答えてみた記憶がありますが、憧れの総合診療とはこういうことなのか、と。ただ、80%ってそれでもかなり大変な気がするけど。

最後に、アイスコーヒーで粘りながら3時間もこの本を夢中になって読み進めるのを許してくれたココイチの店員さんに感謝します。チキンと夏野菜カレー+ナストッピング4辛は非常においしかったです。




(8月下旬の地域医療実習ではこの本を頭に入れてから臨んでみようと考えている人(笑))