山口県岩国市は獺祭だけじゃなかった!!
不定期新連載『医大生・たきいの美酒が飲みたい』。「美酒」と書いて「うまざけ」と読ませます。残りの大学生活、どんな美酒との出会いが待っているのでしょうか。ぼくも今から楽しみです。このブログ記事は、栃木の地酒、全国の地酒、本格焼酎を中心に、厳選した全国のお酒を各種揃える淀川酒店さん<宇都宮>のご協力でお送りいたします。医大生・たきいです。

今回ご紹介するのは、山口県岩国市は酒井酒造さんの超限定品「五橋ファイブシリーズ」から「平成27年度酒造年度 純米吟醸一回火入れ」。“Z”と書いて“ファイブ”と読みます。宮城県仙台市出身者なら「五橋」を「いつつばし」と読んでしまいそうですが(笑)、こちらでは「ごきょう」と読みます。HPに製造者の顔写真が掲載されている酒造さんは珍しい気がしますが、どこか安心感を感じました。人間味があります。それは瓶の裏の説明書きにも。
「火入れ」の目的はお酒の安全かつ健全な熟成にあります。ある種の乳酸菌による酒が極端に酸っぱくなる現象(火落ち)を防ぎ、活性酵素を失活させて急激な香味の変化を抑えるのです。その火入れを一回だけ、どのタイミングで行うか。蔵人にとって悩ましい問題です。ところで、火入れ後さらに氷点下貯蔵することでお酒は超長期熟成モードへシフトします。そんなお酒をいつ飲むのか。皆様にとって悩ましい問題となるでしょう。そんなお酒です。
PS.熟成は別のものに変わることではないのです。大人になっても、自分は相変わらず自分のままなのと同じことです(多分)
……読み手に読解力が求められる文章ですが(笑)、造り手の苦闘が伝わる名文といえるでしょう。

コンピュータ管理による徹底した品質管理は、まさにサイエンス。
「ここ数年、社長には、合理化・近代化・純粋化してきた酒造りへの疑問が生まれていました。」
その一方で伝統的な酒造りに帰り立って、その瞬間の、一回限りのうまい酒を追い求める姿勢は「芸術作品」ともいえます。哲学を感じるお酒です。悩んで造られたお酒は美しい。
「いつ飲むのか」という酒造さんからの問いかけに答えねばなりません。実習終わり、同級生7人を寮のわたくしの部屋に呼んで楽しみました。口の中で華開く芳醇な香りは瞬く間に1日の疲れを癒しました。ワイングラスでいただいたのがよかったのか、より香りを強く感じたのかもしれませんが、一般的な純米吟醸酒とは一線を画している気がしました。仲間と「美味しいね」と言い合いながら飲むお酒は一段とうまい――これが私のひとつの答えです。一升瓶を孤独に味わっては飲みきれないので、開封した一番うまいその瞬間をみんなで共有するのが幸せなのです。
因みに。男7人もいるとあっという間に空いてしまった一升瓶。二升目に突入したのは言うまでもありません。つづく。

Author
医大生・たきい
「日本酒の日」が誕生日。ビール、焼酎、ウイスキー、ワイン。何でも飲むけど特に日本酒をこよなく愛する医大生ブロガー。
Blog:医大生・たきいです。
Twitter:@takimaru_gt
参考文献:日本酒五橋蔵元 明治4年創業 酒井酒造 公式ホームページ(最終閲覧日2017/2/16)
協 力:淀川酒店(宇都宮)
(この連載を利用して卒業までに同級生全員と乾杯がしたいというのが野望な人(笑))
