
とある老人ホームでの出来事。
安楽さにありながらも心に寂しさを抱える老人たちは、
いつも、
老人ホームに続く道を見つめていた。
平凡な日々に変化をもたらすナニモノかの足音を期待していた老人たち。
そんな年寄りたちの期待に応えるかのように、
小太りでやさしそうな中年男性が、
ホームへの道を歩いてきた。
この小太りの男性は新しいホーム長で、
名をモンジュと言い、
過剰なまでに、
老人たちに優しく接した。
それで、
老人たちは、
ホーム長を文殊菩薩のイメージに結びつけて、
「文殊さま」とホーム長を呼ぶんやった。
ホーム長は照れて、
「そんな呼び方は遠慮いたします。もしお呼びになる時は、気軽にモンちゃんと言ってください」と、
言うんやった。
そんな親切なホーム長との出会いに喜ぶ老人たちやったけど、
やたら、
職員が辞めていくことが気になるんやった。
ある日、
夢見が悪かった一人の老爺が、
ホーム長室に行って、
気分直しにおしゃべりしようとした。
ところが、
ホーム長室で、
ひとりの女性職員が手足を縛り付けられていた。
そしてその女性職員のすぐそばに、
網シャツ網タイツ姿のホーム長が手に鞭を持って、
女性職員をひと打ちして、
「ご老人方に悪態つくなと言ったでしっしゃろがこのタコアマ❗️」と叫んだ!
女性職員は大泣きしながら、
「お許しくださいモン様!!」と叫んだ!
が、
ホーム長は、
「誰のお鞭が恐ろしいんでっしゃろかいな❗️」と叫んで、
また女性職員を鞭で打った!
女性職員は泣きじゃくりながら、
「モン様です!!」と叫んだ!
ホーム長は、
「わらわのお鞭を喰らえタコアマ❗️お年寄りに優しく出来ない者は世界を闇に閉ざす❗️」と叫んで、
また鞭で打った!
翌日、
この女性職員は退職することが発表された。
すべてを目撃していた老爺は、
この出来事を他の老人たちに語ったが、
老人たちは、
「菩薩さまの思いは、人の思いを超える」と言い合い、
優しさを忘れないホーム長をかばい続けた。
結局、
職員の内部告発で、
モンジュホーム長は異動させられた。
今、
悲しくもなく楽しくもない老人たちは、
かつて、
モンジュホーム長が歩んで来た、
ホームへの道を、
いつも見つめているという。
新しい菩薩さまが来ることを願い------