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俺の高校時代の現国教師マツモトことわが輩の壮絶なる正月三が日のかつてのできごと。
わが輩は、
教え子の親からお歳暮で日本酒の『宗玄』をもらった。
わが輩は酒好きやったから、
『宗玄』を正月三が日用にとっておいた。
早速、
元旦の朝から、
一升瓶の半分ほど飲んで、
酔いが回りすぎたせいで、
翌日の朝まで眠り込んだ。
目が覚めて、
二日酔いになってたので、
迎え酒で再び『宗玄』を飲んだが、
却って頭痛がひどくなった。
それでも、
お昼からお客が来るので、
わが輩は千鳥足で洗面所に向かい、
シェービングクリーム塗って、
髭剃りをした。
手が酔いのせいでぶるぶる震え、
あんじょう、
カミソリの刃が深く頸動脈付近に食い込んだので、
わが輩はすぐにタオルを傷口に当てた。
凄まじい激痛と、
真っ赤になっていくタオルを見ながら、
わが輩は気を逸らそうと、
とある詩を暗唱した、
「かつてあれほど明るかった輝きは、今や私の眼前から永遠に消え去り、草原が見事に広がり花が咲き誇っていた------」
わが輩の傷の激痛は激しくなり、
更にタオルは赤く染まっていった。
しかしわが輩は負けずに、
「あの時は二度と戻ってくることはないけれども、嘆くことはすまい」と暗唱を続け、
激痛で白眼剥きながら、
「むしろ残されているものの中に力を見出そう」と弱々しく暗唱を終えて、
わが輩は気絶した。
(わが輩暗唱の詩はワーズワースの『霊魂不滅のうた』から)
当然、
救急車騒ぎとなったが、
首筋に傷跡だけ残して、
わが輩はしっかりと生きている。
これが、
鮮血の三が日の真相や。
ケイシロウ、
深酒した後で、
髭剃りするなよ。