歳のせいもあるが寒くて海や川に出かける気になれない。以前は吹雪が吹こうが万全な装備で釣りに出かけたものだなどと考えていたら、魚の騙し方にもいろいろあるが、基本的に人間世界と変わらぬことに気づいた。
まず、銀座の高級クラブ(行ったことはないので想像で)のママよろしく色とりどりの貴金属や羽根等で全身を包み、ひっ掛ける針を隠した「フライフィッシング」と呼ばれる、イギリス発祥の同国紳士方がたしなむ釣りが世界中に広がって一般に普及した比較的年配の方がやる、釣果を問題にしない雰囲気や過程を大事にする釣り方だ。特徴は自分でフライと呼ばれる毛バリを巻くことだ。冬季間ストーブにアタリながらやるのが、これがまた楽しい。
次に金ぴかの金属や、妖しい光を放つ夜光貝など派手な装飾で初心(うぶ)な若いものを誘い身に着けた針で絡め取る「ルアーフィッシング」、これは今若者の間でたいへん人気の釣り方だ。まるで生きているように動かす、誘い方のテクニックがモノを言うと言われる。
最後に、毎日の生活の糧となる生活圏にならず者を放ち、生活圏を守ろうと必死に反撃に出た処を所持した危険な針に掛ける。「アユの友釣り」と言われる世界唯一日本古来の釣り方がある。以上が主な三つの方法だがいずれも如何にしてテキ(魚)をたぶらかすかこの一点にある。人をだます事は人間として潔しとしないが、事、釣りに関しては詐欺まがいのテクニックがモノを言い、名人上手と言われる人は詐欺の名人でもあるのだなどとつまらぬことを考えて海や川に行きたい気持ちを紛らわせている、早く暖かくならないものか。
Fryと呼ばれる毛バリ尻尾の部分に針が隠されている
バイスと呼ばれるFryを巻くための道具
色とりどりのフライ、殆どは自作したモノではありません