昨日スポーツ選手のメンタルコーチもされている福島大学の白石 豊先生のお話を聞いてきた。演題は「本番に強くなる」あまりにも良い話だったので以下自分なりに要約してみた。
いくら素晴らしい技術能力を身に着けてもそれをいざ本番で発揮できなければ勝てないし、特に4年に1度のオリンピック本番で、張り詰めた緊張の中、日頃の実力を発揮することは精神力(メンタル)面の強さ如何にかかっている。
従来より日本では、東京オリンピック女子バレーボールの大松監督に代表されるようにスポーツ根性物語全盛時代だった。叱って鍛える。その強烈なイメージが指導者達に金科玉条のように刻み込まれ、プレーヤーを強くするには怒鳴りつけ、命令し、恫喝する事が選手育成には欠かせないと思っている指導者がほとんどだそうである。
一方他国に目を移せば。米国のスポーツコーチなどで選手を怒鳴ったり命令して指導しているコーチはいないそうで。日本限りなのだとか。失敗の問い詰めや指摘、命令だけでは選手は萎縮し、鍛えた実力をここ本番で発揮させることは出来ないと悟り、メンタル面のコーチングの必要性を感じて筑波大学の体操チームコーチ時代をとおし、暗中模索の結果、米国のビジネスコーチングに倣いスポーツにおけるメンタルコーチングの必要性から、氏なりの具体的手法を確立され、詰め込む調教型から、中にある素晴らしいものを引き出すコーチング革命に道を見出された。以後実践した結果から、請われて駒沢大学野球部で中畑清選手や、日本ハムファイターズのメンタルコーチ、バンクーバーオリンピックスピードスケート、パシュート銀メダルの田畑選手のコーチなどを歴任しながらもてる実力を発揮し「本番に強くなる」メンタルコーチングにより実績に結びつけた例を紹介された。
最後に国民教育の父と言われた森信三先生の次言葉が印象に残った。
「人間は一生のうち、逢うべき人には必ず逢える。しかも一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に。しかし、内に求むる心なくんば、たとえその面前にありとも遂に縁を生ずるに至らず」
また、連合艦隊司令長官山本五十六大将の有名な「やってみせ・・・」後段の言葉がありながら一般には知られておらず、次の言葉を補ってこそ銘格言であると実感させられた。
話し合い,耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず
もっとも感銘を受けたのは、仏典に学コミュニケーションスキルというもので、ひとつ目は人間は財産が無くても人に七つの布施が出来る、それは、慈眼施、和顔施、愛語施、捨身施、心慮施、床慮施、房舎施
慈しみの眼、穏やかな笑顔、優しい語りかけ・・・などである。
二つめは、愛語には春風の愛語と秋霜の愛語があり、やさしさと厳しさの両方が必要
白石先生は現在は福島大学の人間発達文化学類教授と付属中学校の校長を勤めながら、全国で講演活動を実施している。授業は全て公開しているそうだ。