次第は次のPDFhttps://www.gakkai-web.net/gakkai/jsfs/kaikoku/program3.pdfをご覧ください。
以下に 補足説明を掲載します。<o:p> </o:p>
1. 天然アユを増やす河川整備<o:p></o:p>
・ 高知県の奈半利川で産卵床について調べた結果では、アユ自身が動かせる浮石ヶ所で産卵する、アユが動かせる程度の大きさの石(5~10cm)の河床。砂が巻かないところ。
・ 電力会社がダムを造ったために、こうした適当な石がダムで遮られ流下せず産卵場をなさない河川の改良工事を電力会社の負担で実施、人口的に産卵場を造成し取り組んでいる。
・ 日野川での魚道改良例からの結論、堰堤から下流側に凸形に突き出した「出臍型」はアユが魚道の入り口を見つけられずに堰堤の下の窪みに大量のアユが固まってしまう。魚が登りやすい魚道は魚道の幅を広くとり所々に流れを緩衝する石を配し、勾配は1/5~1/7ぐらいが適当。落差は2メートルが限度。こうした魚道は出臍型に比べたいへんお金がかかる。しかし、金をかけたからと言ってよい物を造れるものでもない。小技魚道と言って僅か100万円ぐらいで効果ある物を作った例があり、あくまで設計者の経験がものを言う。
<o:p> </o:p>
・ 和歌山県日高川の例では、産卵した仔アユが川を降る時(10月)の水温で翌年の溯上量が決まる。
・ 水温が高く、雨が多いと回帰率が高くなる。プランクトンが増え、成長率が高まる。海域での生き残りは秋の海水温や降雨量に影響を受ける。
<o:p> </o:p>
2.アユ資源の増殖と管理<o:p></o:p>
・ 1949年に漁業法が制定された。1991年はマグロに匹敵する、18,000トンの捕獲量があったが、現在は遊漁者分を含まずに7000トンとの統計がある。天然モノの割合が圧倒的に多い。
・ 2003年から2004年にかけて、日本海側で大幅に減少したが2005年に回復した。アユの捕獲量には70年間のスパンの中で周期的な波があるが、当該現象はその範囲を超えている。親子関係に起因する、ある世代の個体群における密度と次世代への密度の関係を示す、リッカー曲線に符号するのではないか。
・ 孵化から2週間でプランクトンのいる海域までたどり着けないと栄養分がなくなって死ぬ。山形県鼠ヶ関川で確認した結果では産卵は、2週間おきに3回程度しており、海産の方が時期的に早い。
・ 耳石のストロンチュームとカルシュームの比により海産かどうかの判別をしているが湖産は海では絶滅している。
・ 人口種苗は一代限り、継代飼育は遺伝的に家畜化する、飼いやすくなる傾向あり。
・ 全国の河川13,130のうち魚道の設置が無いヶ所が3,734河川ある。ウグイがいるとアユは大きく育つと言われている。ユスリカの幼虫が珪藻を食べて繁殖し、ウグイはそれを捕食する。
<o:p> </o:p>
3.天然魚を目指したアユ種苗生産<o:p></o:p>
・ 20尾のメスの卵に50尾のオスの精子を交配する。樹木のシュロの繊維に着卵させる、孵化後30日で15ミリぐらいに成長する。
・ 遺伝的選別は環境変化に対応できずに一気に全滅のおそれがある、遺伝的多様性が大事になる。
<o:p> </o:p>
4.アユ釣りの文化と歴史<o:p></o:p>
・ カーボン素材は軍用にアメリカで開発され、釣竿にはオリムピック社が初めて使用したが、2年間は米国向けのみだった。その後素材の技術革新が進み、飛行機をはじめ最先端の宇宙開発に欠かせない素材へと進化した、それも日本のアユ釣り竿の技術開 発が一役買っている。アユ竿は世界一の技術を誇っている。
・ 中国でアユの養殖が始まった、場所はソムジン川、今後アユ釣りとして普及拡大されるかもしれない。
5.アユの友釣り技術<o:p></o:p>
・ 20年前全国トーナメントで2連覇した、そのとき出場者30数名のなかで唯一人、金属糸を使用した。
・ 全国アユ釣り武者修行として、キャラバンカーに寝泊りして、北海道から、屋久島まで全国の河川72ヶ所を釣り周った。
・ 少し流れ込みのある4畳半ぐらいの自宅の池に、持ち帰った小さなアユを放した。川から持ち帰った石も3個ほど投入したところ、石の珪藻を舐めてナワバリを作りぐるぐると石の周りを回っていた。その後ひとまわり大きなアユを放ったら、最初は先住者である小さなヤツが大きなヤツを追い回していたが、翌日は攻守が逆転して大きなヤツが居座ってしまった。その後5匹に増やしたらナワバリは解消し皆で仲良く回遊していた。