Truth Diary

さよならだけが人生だ

 日本古典文学読書サークルが今回から漢学をやってみたいと言う希望にあわせて

まず最初は日本でもよく知られた漢詩から学ぶことにした、講師は大学時代第二外国語に中国語を専攻し

 教育実習の公開授業で高校生に漢詩を中国語の発音から解説して他教師たちを驚かせたというエピソードを持つ元宮城県図書館専門職員で、退館後、在仙各大学で国文学の講師を務めている方。
漢字は日本風に読めても中国語での発音やイントネーションが違い意味はある程度理解できるが忠実に発音することは難しいとのこと。また中国人は今使っているのは略字なので本来の漢字を読めるのは学者や研究者に限られるとの事。韓国でも名前以外はハングルを使用、自国の古い文献を読むことが出来ないという。
ハングルのような表音文字(音だけを表わし意味が伴わない文字)では正確さが要求される研究論文などは難しく韓国の論文数は日本に比べて非常に少なくハングルへの転換がネックになって世界から立ち遅れているともいわれる。それと比較して日本人は外来語の漢字を旨く取り入れ新たな字をも創出し、カタカナ、ひらがなや外来語も組み合わせてうまく使っているという。

 中国語には字に4種類の音程記号があり①フラット②アップ③ダウン④強調で発音すると言う。
杜甫の作”春望”を白文では 國破山河在、これを日本語での書き下し文では 国破れて山河在り、訳文では 長安は崩壊してしまったが山や河は変らず となる。

今回は 唐詩選国字解 南郭先生辯から三十詩を読んだ。

なかで有名な 勧酒では 白文 書き下し 訳文の順に

    勧酒                  宇武陵

  勧君金屈巵  君に勧む金屈巵   君に黄金の杯を勧める  

  満酌不須辞  満酌辞するを須いず このんみなみと注がれた酒を断ってはいけない

  花発多風雨  花発いて風雨多し  花が咲くと雨が降り風が吹いたりするものだ

  人生足別離  人生 別離足る   人生には別離が当然のことだ

この勧酒を作家の井伏鱒二は

この盃を受けてくれ どうぞなみなみ注がしておくれ 花に荒らしのたとえもあるぞ さよならだけが人生だ と名訳したと言われる。

陶淵明の詩「勧学」この家を買った祝いに娘からの贈り物だ

http://www.kangin.or.jp/learning/text/chinese/k_A3_112.html

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