蔵之介版『陰陽師』

日本酒とおつまみを用意して、母とぽんぽんと、
昨日放送していた佐々木蔵之介主演の陰陽師を見た。

蔵之介さん、大好きだし、読み応えのあった瀧夜叉姫編だし、
ちょー楽しみにしていたんだが……。

「も、もう少しなんとかならなかったのか……」
「平安貴族の家のロケの場所とか、もうちょっとこう……、どこの裏庭だよ」
「えさし藤原の郷、混んでたんだろうか」
「ていうか、特殊効果とか、もう少し……なんか学芸会みたいね」
「黄金丸の小道具感がすごすぎて」
「晴明がに全く陰がなくて、おもしろいおじさんになってる。いいけど、蔵之介さんだから」
「保憲さま出しといて、黒猫が出ないとか、ないわー」

まあ、好きな作品ほど、こういうことになるよね……。
大丈夫、想定内！（ちょっと上を行かれたかも……）

「でも、道満、よかった」
「うん、竹中直人、さすが」

言いたい放題。

淡雪

桜が満開だというのに、天気予報の通り、雪が降った。

我が家の浪人生は、
「わーい、近所のA君誘って、雪だるま作ろー♪」
なんてのどかなことを言っていたが、春の雪は雪だるまを作るにはびしょびしょすぎたし、
夕方には止んでしまった。

朝から、
「では、今夜は今季最後の鍋ということで」
と、決めていたので、夕飯でストーブの周りを囲んだが、
「暑い……」
「うん、暑いね……」

雪は降っても、やっぱり春なのね。

ちなみに今日の鍋は、ニラだれでいただきました。
大人気でした。

妖精違い

イギリスのジョンソン首相がコロナ陽性反応、というニュースを聞いて、
ぽんぽんに、
「イギリスのミニトランプ、陽性だって」
と言ったら、
「え、ミートパイの妖精？」

おいでませ、メルヘンの世界へ。

伯父

隣駅に住む伯父が亡くなった。
昭和元年生まれの父の兄で、95才。

子ども好きで、やさしい伯父で、私も従姉妹と一緒に、
宝塚（新聞でチケットをもらえた）とか、後楽園のアイススケートとか、
父が連れて行ってくれないようなところに、たくさん連れて行ってもらった。
浅草で大きな海老天が乗った天丼を食べさせてくれたのも、おじさんだったな。

お疲れ様でした。
とうとう、父の兄弟はみんな、天国に移住してしまった。

恨みます。

母と、ぽんぽんと、お彼岸のお墓参りに行った。
今年はコロナの件があるので、法要はなし。
「よし、お布施浮いた！」
と一瞬思ったが、そういうもんでもないので、ちゃんと包んだ。

お墓の掃除をしながら、
「おじいちゃん、よくもぽんぽんを浪人させたな。
来年も受からせてくれなかったらお墓参りはないと思え」
「わはは、おじいちゃん、怒るよー」
とか言ってふざけていた。
笑って聞いてたおばあちゃんだったが、掃除も終わって、
お線香もつけて、
「よし、お参りしましょー」
という段になったら、お墓の正面に数珠を手にビシッと立った母が、

「ほんとに、あなたったら、ぽんぽんを守ってくれないなんて……。
恨みます……」

と呟いた。
「ちょっ！お母さん！？」
「お、おばあちゃんが恨みますとかいうの、初めて聞いた……」

ああ、びっくりしたわー。


その後、近くの公園で、行きがけに買ったお弁当を食べた。
唐揚げに、お稲荷に、たけのこごはん。
桜はさすがにまだ一分咲きなのに、
なぜかその公園には、満開で花びらがひらひらと舞うソメイヨシノが一本。
そして、母が持っていたお茶の紙コップに、花びらがひらりと舞い落ちた。

「ほらみて」
「あらまあ、なんかいいことありそう」
「まさかお花見ができるなんてねえ」

なんとなく、父の母に対するご機嫌とりに思えた。