ひびこれこうじつ

とりとめなく、日々の覚書です。

偶然

2022-04-26 15:50:00 | 日々のこと

めずらしくすこしゆっくりとピアノの練習をして、一階におりてきて、庭を見たら縁台に黒猫がいた。


あらやだ、猫だ!小さいな、子猫かな?黒猫だ、かわいい!え?飼う?飼っちゃう?いやいや、今猫飼ってる場合じゃないでしょ、この家族構成で猫飼ったら、どこにも出掛けられなくなるし、今ぽんぽんにいくらかかってるとおもってるのさ、まあ、どうせさ、戸を開けたら逃げちゃうんだし、猫だからねえ、ええ、ええ……


と、頭の中で一人で回しながら、


「おーい、なにしてんの?」


と、戸を開けたら、なんと、ふらっと家の中に入ってきたではないか!


「!?!?」


見ればがりがりのよろよろで、そのままバスタオルに包んで動物病院に直行。子猫どころか、推定14歳の腎臓と甲状腺に病気のあるおばあちゃん猫。目が白内障で耳も聞こえていない。

これは飛んだ厄介ごとを抱え込んだと、頭を抱えているところに、ぽんぽんから電話が来て、


「いやあ、今日危なかったんだよね、自転車でバス停のポールにつっこんじゃって、車道に転がりおちちゃってさ。うまいこと転んだから怪我はしなかったけど」

……!!!!!!」

その時車が通っていたらと思うと、血の気がひいた。


そしてそれがちょうど、私が猫とバタバタしていた時間で……


猫はなんとも神秘的だけど、なおのこと黒猫は、そういう目で見ると謎めいて見える。

「猫の恩返し、的な?」


因果はそんなそんな単純なもんじゃないけど、でも、助けてあげられる環境だったことに感謝。


それにしても、猫をうっかり助けると、本当に大変なことになると、あらためて思い知った。病院も警察も自治体も、どこにも逃げ道はない。

見て見ぬ振りをするか、自分で面倒を見ると腹を決めるかだ。


ちなみに警察に行くと遺失物扱いになって、強制的に保健所で保護されることもあるらしい。特に、ブランド猫は。しかし期限は7日。そのあとは……


もう少しなんとかならないものかなあ……、と、廊下の猫のおしっこを拭きながら、ため息をつく。


でもまあ、母が、

「あらあ、やっぱり生き物がいるといいわねえ」

と、嬉しそうなので、いいことにしよう、と思ったら矢先、

「お前は手がかからないねえ」

と、母が言うので、


「誰が面倒見てると思ってるのさ?」


と、ぷち切れてしまった。

ぷち、ね、ぶちじゃないから。


新生活と五十肩

2022-04-15 11:09:28 | 日々のこと
一人娘のぽんぽんが巣立っていって、残った巣には、90歳になった母と、54歳になった私。
おもしろかったのは、先輩ママたちが、
「お嬢さんがいなくなって、寂しくなるよー!」
という人と、
「楽になるよー!」
という人と、二波に分かれること。

私はどうやら後者だったらしく、ぽんぽんのことは今でも目に入れても痛くないほど可愛いけれど、ぶっちゃけほんとに楽になった。
次第に生きることのペースを落としていく母と、まさに伸び盛りのぽんぽんと両方に裂かれていた意識が、母だけに集中できるので、心も体も負担が半分くらいになった気分。

で、久しぶりに着付けの復習をしようと思って、着物を引っ張り出してみたら、右の腕が痛くて胸紐が回せない。
帯も結べない。
「これはもしや」
と思っていたが、信じたくなかったの見て見ぬふりをしていたが、ぽんぽんの残していった荷物を整理していて(残してくなよ!)、決定的に痛めてしまい、仕方なく近所の整骨院へ。

「五十肩ですね」
「……やっぱり」

帯が結べなくなる、というのは五十肩の典型的症状だとは、昔母から聞いていた。
ちくしょう、ついにそんな日が……。

まあいいや、のんびりと付き合っていきましょう。

シューベルト即興曲op.90-2

2022-04-02 11:18:19 | art
半年に一度のピアノの発表会、前回10月は、
「少しやること多すぎるからペースを落とそう」
と思ったこともあって、レッスン開始以来初めてパスした。

で、時間もゆっくりあったので、マイペースで練習したのが、シューベルトの即興曲op.90-2。
「この曲、弾けたら気持ちいだろうなあ……」
と、ずっと思っていて、先生からもOKが出たので嬉しかったのだが、ひどく苦戦した。

早い曲なので指がもつれるのが心配だったのだけど、それ以前の問題で音が取れない。
半音が異常に多い上に、転調も多く(自分の人生で変ト長調なんて弾く日が来るとは思わなかったよ、♭が5個だよ)、なんの音を弾いてるのかわからない。
しかも黒鍵が多いので滑るわ引っかかるわで、
「地面(白鍵)に降りたい!」
と何度も思った。

舞台の上で弾きながら、
「長かったな……この曲」
としみじみと感慨に耽った。

先生がクライスレリアーナを引いてくれて、プチコンサート気分。
ご褒美ご褒美♪

この曲を弾いたらピアノはやめてもいいかな、と思っていたんだけれど、ゴールが見えた辺りから、
「もう少しいけるかも、ちょっと練習の仕方がわかってきたかも」
欲が出てきて、まだ続ける予定。

「ウクライナやらコロナやらで、世界は解決しない問題がたくさんですから、せめてしっかり解決する曲を」
という先生の不思議なプレゼンで、次はベートーベンのソナタ10番。

解決に向けて頑張ります。