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さわやか散策シリーズ「佐倉のさくらに、包まれてみませんか」 小雨決行 4月3日。
ひと月前に作ったチラシ。桜の開花前線は遅々として北上しない。スタッフは、気を揉
み々の日々が続いた。
4月1日の天気予報は、3日は曇りのち雨。散策をどうするかスタッフから相談が入る。
加えて、佐倉城址公園(佐倉市)の桜は、例年より4~5日開花が遅れていた。
「1週間延期するのも良いアイデア、桜は見頃になるし、花見には好都合です」
ボケ封じ観音さまは、力説する。
「参加呼びかけチラシは3日、雨天決行でしょう。案内の通り決行しないと皆に迷惑が・・・」
思案投げ首の元気印。囃し立てる名なし羅漢。
「そうだ!ガイドをお願いした”S城址公園ボランティアの会”に電話相談する手がある」
「雨が降ると足元がドロドロになって、滑るところがでてきます。城址公園は熟知していま
すので如何様にでも案内できます」
下手な考え、休むに似たり。褌の紐をきりりと締める、小雨決行。スタッフの腹も据わった。
「快晴!!」
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観音さまの歓喜の囁きが耳に届く数時間前から、元気印は目が覚めていた。
チャッピーとミミも、今朝の散歩の足取りは、昨夕に比べ数十倍も軽快だった。
地平線の上に顔を見せた早朝の太陽の柔らかい光、紅色の唐椿(とうつばき)水仙の
淡黄色が鮮やかに映る。
ボランティアの会と大手門(追手門)跡で合流する。参加人数が多いのでガイドを3人で
行う手配をしてくれた。
19名を、I班、W班、B班の3グループに分けて散策することにする。
10時30分、予定通り出発進行!
I班
W班
B班 
Iさんのオリエンテーションが終わり、各班の別行動に移る。自由広場を突っ切ると梅
園、その右横に佐倉兵営碑、数歩のところに明治天皇行幸記念碑がある。
”つぼみ”ばかりの桜の枝(写真)を横目に通り越し、三の門跡へ向う。2番目に出発
したW班は、この辺りで姿が見えなくなった。
最後尾のB班は、散策コースをI,W班とは逆方向を採ったらしい。
足を休め、そこの”いわれ”を聴くところは、どこも”跡”。
陸軍歩兵第二連隊の営所を佐倉城内に設営(明治6年:1873年)する軍の方針が決
り、そこに残っていた建物はことごとく破壊されてしまった。その跡に立てられている
案内板の写真と解説を触媒にして想像力をかきたてイメージを合成すると、そこに当時
の原風景が蘇るだろう。
「セピア色に染まった銅櫓(どうやぐら)?」
名なし羅漢は詰問する。
「天守閣らしき建物の像が、桜吹雪に霞んでいる」
本丸、天守閣、角櫓(かどやぐら)、台所門があったところは、土塁(どるい)に囲まれた
広い平地になっている。
バトミントンに興ずる若者、手作り弁当を食べながら一家団欒を楽しむ家族などで賑わ
っていた。
写真同好会のカメラマン達は、早咲きの山桜に独自の狙いをつけ、シャッターを切っている。
天守閣跡の傍で威風堂々と聳えている夫婦モック、400年以上にわたって培ってきた
彼と彼女の熱情の結晶も、桜姫の魅力にはお手上げ。蚊帳の外にほっぽりだされてしまった。
空堀(からぼり)の深い底、広く開いた両壁を観終わり台所門跡へ。その由来を聴きな
がらの散策は、50分を過ぎていた。4月中旬並みの気温になり、ジャンパーが邪魔になる。
出店の焼き鳥屋から刺激的な匂いがぷ~んと風に乗って食欲をくすぐり、散策の足が鈍る。
ビールが飲みたい。I班の老若男女8人は、何時もの花見のようにしなさい、悪魔の甘い
声の誘惑と戦い、黙々と先を急ぐしかなかった。
春先になると近在のひき蛙が数千匹集まり、蛙合戦を7日間やった、家老の娘のお守
をしていた姥(うば)が、娘を誤って池に落とし沈んだままになった。困り果てて身投げ
した彼女に因んだ「姥が池」命名の由来を知り、散策ゴール地点の「ビオトープ」へ向か
う。その途中でW班とすれ違う。
もう、12時を少しまわっているので、解散集合まで24~25分しかない。集合場所に
なっている国立歴史民族博物館前に行くのだろう。
「姥が池のどぶさらいをしていると1両小判が13枚出てきた。埋蔵金かと意気込み、
更にどぶをさらったが、見つかったには1枚だけだった。止せばよかったのに」
とB班のスタッフが、散策で得た伝承に薀蓄(うんちく)をかたむける。
「1両は米の1石(こく)。1石は15Kgに換算する。1両は7~8万円。30万円とする説も
あるから390万円の臨時収入。取得物として届けたが持ち主(所有権者)を特定でき
なかった。池の所有者が入り組んでいたせいもあって、藩主が召し上げたようだ」
I班のスタッフが補足しても、他のスタッフの両耳は上の空で聴いている。精進ソバを食
べるのに忙しくて、馬耳東風に近い。
「W班では、そんな話は出なかったけど・・・」
最年少のW班長は、姥が池に伝わる故事を話題にしなかったらしい。
主催者の緊張感から解放されホットするのが、行事が終了した直後に息抜きをする”お疲れさん会”。
各班の散策コース紹介、伝承話で盛り上がり、精進ソバの美味は、何倍にもなる。
「天守閣に泥棒が入り、象牙の付いていた鉄砲が盗まれ、犯人は捕まっていない」
「2回泥棒にあい、最初の盗人は獄門刑となり首を刎ね、さらし首にされた」
「そんな”はなし”全然話題に出なかった」
「最初は衣装、武具が盗まれた。2回目は象牙に彫刻した飾りのある種子島で、犯
人は捕まらず、そのままうやむやされた。佐倉藩の誰かまでで、調べは終わっ
ている。
盗人が置きざりにした提灯のローソクが火元になり、天守閣を焼失したのに。
鬼の平蔵が容疑者を火付け盗賊として改めると、一件落着になったかもしれな
い」
W班のスタッフは、聴き手に廻ったまま。
「再建話が持ち上がり再三協議されたけど、財政難で取りやめになった」
「I班は面白かったようだネ。班長さんによって話の内容が違っている」
これまで沈黙を守っていたW班スタッフの一言は、全員の気持ちを代弁するもの
だった。
「何かひとつでもいいから、復元した建物があるといいね。明治時代に撮られた写真が
残っているんだから、復元は可能でしょう。こんな素晴らしい史跡が残っているのに、
天守閣跡みたいに説明があるだけでは、勿体ないと思わない?」
観音さまは、具体策を助言してくれた。
「佐倉のさくら散策の収穫です。そうね、”まちおこし”をキーワードにして提言しては。
復元した建物には、ワクワク・ドキドキする仕掛けがあって、子供から大人まで思いっ
きり楽しみ遊べるようになっている。もちろん、帰宅しても佐倉の歴史を忘れない工夫
がなされている。
どう、提言してみませんか?」
ひと月前に作ったチラシ。桜の開花前線は遅々として北上しない。スタッフは、気を揉
み々の日々が続いた。
4月1日の天気予報は、3日は曇りのち雨。散策をどうするかスタッフから相談が入る。
加えて、佐倉城址公園(佐倉市)の桜は、例年より4~5日開花が遅れていた。
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「1週間延期するのも良いアイデア、桜は見頃になるし、花見には好都合です」
ボケ封じ観音さまは、力説する。
「参加呼びかけチラシは3日、雨天決行でしょう。案内の通り決行しないと皆に迷惑が・・・」
思案投げ首の元気印。囃し立てる名なし羅漢。
「そうだ!ガイドをお願いした”S城址公園ボランティアの会”に電話相談する手がある」
「雨が降ると足元がドロドロになって、滑るところがでてきます。城址公園は熟知していま
すので如何様にでも案内できます」
下手な考え、休むに似たり。褌の紐をきりりと締める、小雨決行。スタッフの腹も据わった。
「快晴!!」
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観音さまの歓喜の囁きが耳に届く数時間前から、元気印は目が覚めていた。
チャッピーとミミも、今朝の散歩の足取りは、昨夕に比べ数十倍も軽快だった。
地平線の上に顔を見せた早朝の太陽の柔らかい光、紅色の唐椿(とうつばき)水仙の
淡黄色が鮮やかに映る。
ボランティアの会と大手門(追手門)跡で合流する。参加人数が多いのでガイドを3人で
行う手配をしてくれた。
19名を、I班、W班、B班の3グループに分けて散策することにする。
10時30分、予定通り出発進行!
I班
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Iさんのオリエンテーションが終わり、各班の別行動に移る。自由広場を突っ切ると梅
園、その右横に佐倉兵営碑、数歩のところに明治天皇行幸記念碑がある。
”つぼみ”ばかりの桜の枝(写真)を横目に通り越し、三の門跡へ向う。2番目に出発
したW班は、この辺りで姿が見えなくなった。
最後尾のB班は、散策コースをI,W班とは逆方向を採ったらしい。
足を休め、そこの”いわれ”を聴くところは、どこも”跡”。
陸軍歩兵第二連隊の営所を佐倉城内に設営(明治6年:1873年)する軍の方針が決
り、そこに残っていた建物はことごとく破壊されてしまった。その跡に立てられている
案内板の写真と解説を触媒にして想像力をかきたてイメージを合成すると、そこに当時
の原風景が蘇るだろう。
「セピア色に染まった銅櫓(どうやぐら)?」
名なし羅漢は詰問する。
「天守閣らしき建物の像が、桜吹雪に霞んでいる」
本丸、天守閣、角櫓(かどやぐら)、台所門があったところは、土塁(どるい)に囲まれた
広い平地になっている。
バトミントンに興ずる若者、手作り弁当を食べながら一家団欒を楽しむ家族などで賑わ
っていた。
写真同好会のカメラマン達は、早咲きの山桜に独自の狙いをつけ、シャッターを切っている。
天守閣跡の傍で威風堂々と聳えている夫婦モック、400年以上にわたって培ってきた
彼と彼女の熱情の結晶も、桜姫の魅力にはお手上げ。蚊帳の外にほっぽりだされてしまった。
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がらの散策は、50分を過ぎていた。4月中旬並みの気温になり、ジャンパーが邪魔になる。
出店の焼き鳥屋から刺激的な匂いがぷ~んと風に乗って食欲をくすぐり、散策の足が鈍る。
ビールが飲みたい。I班の老若男女8人は、何時もの花見のようにしなさい、悪魔の甘い
声の誘惑と戦い、黙々と先を急ぐしかなかった。
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をしていた姥(うば)が、娘を誤って池に落とし沈んだままになった。困り果てて身投げ
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なっている国立歴史民族博物館前に行くのだろう。
「姥が池のどぶさらいをしていると1両小判が13枚出てきた。埋蔵金かと意気込み、
更にどぶをさらったが、見つかったには1枚だけだった。止せばよかったのに」
とB班のスタッフが、散策で得た伝承に薀蓄(うんちく)をかたむける。
「1両は米の1石(こく)。1石は15Kgに換算する。1両は7~8万円。30万円とする説も
あるから390万円の臨時収入。取得物として届けたが持ち主(所有権者)を特定でき
なかった。池の所有者が入り組んでいたせいもあって、藩主が召し上げたようだ」
I班のスタッフが補足しても、他のスタッフの両耳は上の空で聴いている。精進ソバを食
べるのに忙しくて、馬耳東風に近い。
「W班では、そんな話は出なかったけど・・・」
最年少のW班長は、姥が池に伝わる故事を話題にしなかったらしい。
主催者の緊張感から解放されホットするのが、行事が終了した直後に息抜きをする”お疲れさん会”。
各班の散策コース紹介、伝承話で盛り上がり、精進ソバの美味は、何倍にもなる。
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盗人が置きざりにした提灯のローソクが火元になり、天守閣を焼失したのに。
鬼の平蔵が容疑者を火付け盗賊として改めると、一件落着になったかもしれな
い」
W班のスタッフは、聴き手に廻ったまま。
「再建話が持ち上がり再三協議されたけど、財政難で取りやめになった」
「I班は面白かったようだネ。班長さんによって話の内容が違っている」
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「何かひとつでもいいから、復元した建物があるといいね。明治時代に撮られた写真が
残っているんだから、復元は可能でしょう。こんな素晴らしい史跡が残っているのに、
天守閣跡みたいに説明があるだけでは、勿体ないと思わない?」
観音さまは、具体策を助言してくれた。
「佐倉のさくら散策の収穫です。そうね、”まちおこし”をキーワードにして提言しては。
復元した建物には、ワクワク・ドキドキする仕掛けがあって、子供から大人まで思いっ
きり楽しみ遊べるようになっている。もちろん、帰宅しても佐倉の歴史を忘れない工夫
がなされている。
どう、提言してみませんか?」
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たまにおいしもの食べてリフレッシュ!
お会いできるの楽しみです。