言語聴覚士の独り言

言語聴覚士の日記

女性の強さ・美しさ

2020-06-19 06:23:00 | 日記
実習の時、アルツハイマー型認知症の女性を担当させていただいた事がありました。

寝たきりで、幻覚が見えるほど重症な方でした。

いつも、個室の病室へ伺ってもこれと言って反応もなく、幻覚に対しての発言が多かった記憶があります。

毎日、「〇〇さん、こんにちは、今から一緒にお昼ご飯を食べましょう」

こんな感じで声をかけて病室に入っていた(摂食嚥下訓練で関わらせていただいていた)

ある日、いつものように声をかけて病室に入ると

「ちょっと待って、今、化粧をするから」

と明るい声で返答があった。

大変驚きました。

今までは食事の拒否や幻覚の話はありましたが、それ以外は無かったのです。

それから私はご飯の前に鏡とクシを渡して、身なりを整えていただきました。

容姿を褒めると笑顔も見られるようになりました。

女性の美に対する意識は本能に近い所にあるのだと思いました。

先日は老人ホームに入居中の脳血管性認知症の女性と訓練をしていました。

この方は訓練拒否も強く、保続(同じ言葉を繰り返す症状)がでており、その日は

「階段が見当たらないから帰れ!」

の繰り返しの発話でした。

訓練の合間に、「外の花が綺麗だから見に行こう」と私が言うと

「いいね!じゃあ今からお弁当作るね」

と返答がありました。

どんなに認知症が進行しても、女性の美意識や母性は残っているんですね。

女性は強くて美しいと改めておもいました。