吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

年末仕事人

2011-12-23 14:26:44 | インポート
イメージしてみて下さい。

見ず知らずの小さな子を、「傷つけよう」という明確な悪意もなく
叩いたりつねったりしてしまう女の子がいたとします。
その子は、その「他害行動」と言われる問題行動のせいで
これまで、何人もの小さな子を驚かせたり怖がらせたりして
その子の保護者や、その子が通う学校に謝りに行ったりしてきました。
傷害事件で警察に補導されたことも3回あり
保護者と施設は、その子の監督、指導を怠らないようにと
厳しく指導された過去があります。

   監督、指導を怠らないように。


火曜日の夕方、私が、さっちゃんをお迎えに、たまたま施設へ行くと
さっちゃんがコートを着て、玄関で靴を履き替えている最中でした。
時間的には、まだ帰りの会をしている時間です。
「どうしたの?」
靴を履き替えているさっちゃんの後ろ姿に、私が声を掛けると
さっちゃんは、背中でびくっと反応しましたが、背中を向けたまま黙っています。
「まだ、帰りの会のはずでしょ?どうしたの?」
私が再び声を掛けても、さっちゃんは答えません。
私が、さっちゃんの前に回りこんで顔を覗き込むと
さっちゃんは、固く口を結んで、今にも泣きそうな顔をしていました。

また、イタズラか何かして、叱られちゃったかな
それにしても、黙って施設を出ていこうとするなんて
よほど厳しく叱られたのかな…
でも、外に出て、また小さな子を叩いたり抓ったりしたり
車にひかれるというようなことがあったら、大変なことになっていたはず…

すると、玄関に丁度男性職員が現れたので
私は、やんわり注意を促すつもりで
「いま、この子外へ出ていこうとしていたんですけど」
と、彼に言いました。
すると彼は、何故か、本当に何故か分からないけれど「何故か」
昨日(月曜日)、さっちゃんがイタズラをして、自分が叱ったこと
叱ったことにはそれなりの理由があってしかったということ
以前いた(彼は会ったこともない)職員さんは
利用者さんのことを叱ることが出来ない人だったけれど
自分は叱ることはできるし、叱り方も知っている
でも、叱ることだけが支援ではないから叱らないだけで
そもそも、利用者が毎日施設に通えることだけでも素晴らしいことで云々…
私も、自分の記憶力につくずく感心するけれども
延々と、「叱れる僕」の話を聞かされて

   コイツ、あかん


そう思って、彼の下らない能書きを微笑んで聞き流すことにしました。

その後、帰りの会を終えた利用者さんたちと職員さんたちが出てきたので
取り敢えず、「こんにちは」と挨拶をして
さあ、玄関に脱走兵がいましたけど…と、話を切り出そうと思ったら
ある女性職員が、開口一番にこう言いました。
「この子、おうちで何かあったんですか?」
あら、挨拶が返ってきていないのは、気のせいかしら。
きっと聞き逃したのね。
周りが賑やかだし。
「いえ?何もないですけど?」
「昨日今日と、すごく荒れていて、悪いことばかりするんですよ
 注意をしても、にやにや笑って謝らないし
 散らかしたのを片付けるように言っても、全く動かないし
 だから、家で何かあったのかなと思って」

荒れて、悪いことばかりして、反抗的な原因は、家庭。らしい。

ここで、読み手の「お疲れ」を考慮して中断しておきますが
彼女の「今日の悪い子」の詳細は、延々と続きます。
利用者の男の子のゲームソフトが紛失したのも
確信はないけれど、傍にいたその子が隠したのかもしれない
「分からないけれど」と、彼女は言いながら
「その子は自分で無くすような子ではないし」という、言い方には
なにやら確信めいている思いが明らかでした。
「いえ、家では落ち着いているし、笑顔もお喋りも多いですよ
 しいて言うなら、前より甘えっこになっているなとは思いますけど」
女性職員は、納得が行かないという気持ちを、露骨に顔に浮かべました。
素直っちゃ素直だ。
「ところで、この子、いま玄関から外へ出ようとしていたんですけど」
私がそう言うと、彼女はやれやれという、うんざりした表情で
大きく「はぁーーー」と、溜息をつきました。
よござんすか?ポイント繰り返しますよ。
施設職員が、施設利用者の保護者の前で
うんざりした表情で、「はぁーーー」です。

   コイツも、あかん。

そこで、私はさっちゃんと施設を出てから直ぐに
普段、お世話になっている女性職員のAさんにメールをして
今日のさっちゃんは、そんなにまずいことをしていたのかと確認しました。
Aさんは、忙しい合間を縫って、直ぐに返信をくれました。
『いつもと変わりありませんけど?』
Aさんは、さっき、玄関で会うことが出来なかったので
「何かあったな」と、察知してくれたのだと思います。
返信後、直ぐに電話をくれました。
「なにかありましたか?」
私が、さっき玄関で言われたことを話すと
「いやー…、そんなに騒ぐようなことは…
 というか、彼女(溜息職員)最近すごく忙しかったかったから
 また前の様な感じに戻ってしまって…
 さっちゃんのイタズラが気になって、仕方がないみたいなんです
 周りが『そんなくだらないことで』と言うようなことでも
 彼女は大騒ぎしてしまうんですよ…」

ああ、半年前に逆戻りしちゃったってことね。
施設長をわざわざ呼び出して、時間と気と頭を使って話をした、あの2時間半
その後は、彼女(溜息職員)が色々努力しているのが伝わっていたし
さっちゃんも落ち着いていたので、もう大丈夫なのかと思っていたけれど
「また」同じことを繰り返しているというわけね。
仕事が忙しいからって、それは施設事情と個人の事情でしょう。
それでイライラして、ちいさなことにきいきい言ってるなんて
それは、「無意識の八つ当たり」でしょう。
そのせいで、さっちゃんが1人でこっそり帰りたくなってしまうなんて
しかも、それに職員たちが気付かないのも問題だけれど
そのことを訴えても、そのことが自分たちの大きなミスだと気付かないことに
私は、心底驚いて、腹が立ってしまいましたの。
半年前の、沢山の人に支えられて、ようやく漕ぎつけた施設長との話し合い
それに至るまでの、さっちゃんが叫ぶように繰り返した問題行動と
私の不安と忍耐と痛み…。

台無し?台無しってこと?

私が「はぁーーー」って溜息をつきたいよ。
でも、溜息をついている場合ではありません。
今回は、場合によっては大変なことになりかねなかった
施設脱走未遂ということもあり、私は事態の緊急性を感じて
その日のうちに、施設長『話をする時間を作ってください』と、メールをしました。
私だけの言葉では説得力もなく、状況の把握もしずらいだろうと
私はメールの最後に、こう付け加えました。
『私が施設長との話し合いを希望しているのをご存知なのはAさんだけで
 他の方には、ご内密にお願いします』
何故、他の方たちにご内密なのかと言うと、上を確認して下さい。
下らない能書きに引っ掻き回されると、施設長が混乱するかもしれないでしょう。
施設長は、早速Aさんに確認をとって、内容を理解してくれたらしく
木曜日に、隠密でお話をすることになりました。
火曜日から木曜日まで、中1日空くので、その間に少し頭を冷やさなければと
水曜日に、さっちゃんの中学校時代の担任の I 先生に電話をして
客観的な第三者の視点と、専門的な視点と情報を頂くことにしたのですが
私から簡単に事情を聞いた I 先生は
「情けない!」と、気持ちの良い一喝。
「子供の身の安全を守れないなんて駄目だよ!
 保護者が安心して子供を預けられない施設なんて有り得ない!
 お母さん、間違ってないから、安心して話してきていいよ
 僕が間違ってるって言ってたっていっても言いから!
 なんなら、僕が話をしてもいいから!」

私の頭を冷やすための電話で、ひえピタ役なのに熱くなる50代、男性。
頼もしいです。
お陰で、精神的に少し余裕が出来たので、中1日空いたのは良かったかも。
 
そして、昨日の14:00~17:00までの3時間
施設から車で5分ほどの場所にある喫茶店で、施設長とお話をしてきました。

「今回は、緊急性を感じたので」
と、前置きをして、急に時間を作っていただいたことに感謝しつつも
施設脱走未遂事件のこと、そのことを話した時の職員さんたちの反応
管理体制の甘さと、危機管理の認識不足について不安を伝え
「実は、水曜日に『プールへ行く』と言って、お迎えに行ったのも
 さっちゃんが、また玄関に出ていたらどうしようと思って
 心配だから行ったんです(←本当の話)
 親が子供を安心して預けられない施設って、どうなんでしょう」
と、この際なので、正直に伝えました。

前回は、さっちゃんがみなさんにご迷惑を掛けているのだという負い目もあり
気になる職員さんの名前は伏せ、全体のこととしてお話をしましたが
これ以上甘い顔をしてい手は、誰のためにもならない。
少なくとも、さっちゃんのためにはならない。
なので、今回は、実名を出してお話をさせて頂きました。
春から今までの半年間、職員の方々の努力も感じていたし
そのことには感謝しているけれども、でも、だからこそ
なんで逆戻り?と、ものすごくガッカリしてしまったことも伝え、その勢いで
「職員さんたちと話をしていると
 『私は』、『僕は』という発言が耳障りなほど多いのが気になります
 『私はこう考える』『僕はlこうしたい』
 いつも、『私は』『僕は』で、利用者が見えてこないんです
 それって、利用者の視点で考えていないということではないでしょうか?
 利用者視点に立てない支援なんて、有り得ないと思います」
更に、勢いは止まらない。
「『私は頑張っている』『僕はちゃんとやっている』というのも、分かりません
 頑張っているか、ちゃんとやっているのかを判断するのは、本人ではないですよね
 そこを判断するのは、利用者さんたちではないんですか?
 頑張って」いるのに、利用者の状態が良くならないということは
 頑張りが足りないか、頑張る方向を間違えているかのどちらかではないですか?
 その、「独りよがりの」頑張りが、利用者を追い詰めているかもしれないんですよ」
「考えてみてください
 介護事業所のガイドヘルパーさんたちとは、いつも誰とでも穏やかに時間を過ごし
 青年学級でも『全然手のかからない、いい子でした』と言われ
 家でも穏やかに、笑顔で過ごしている子が、施設でだけ荒れるというのは
 施設に、彼女を刺激する、なんらかの原因があると考えるのが自然でしょう?
 それを、自分たちには全く問題がないように
 『何かあったんですか?』と尋ねてくる神経が理解できません
 これだけマメにノートで連絡を取り合って、日々の様子を知らせているのに
 ノートが全く活きてません、なんのための連絡ノートですか?」
 
キツいことを言っていると、自分でも思うけれど、言わないわけにはいかない。
まあ、ガミガミと怒って言っているわけではないんです。
自分でも、温度調整をしつつ、熱くもなく、冷たくもなくを意識して
精神的体感温度、35℃くらいをキープ。
そして、話し方も穏やかめを意識して、基本、笑顔は意地でも崩さない。

笑顔のまま、優しく、濡れた和紙を1枚ずつ、相手の顔に貼っいく感じですかね。

こうも付け加えました。
「親は、施設に対して大それたことは望んでいないんです
 自分の子供が、日々を穏やかに過ごしてほしい
 その手助けをして下さいとお願いしているんです」

口うるさいお母さんと思われてもいいんです。
私は、「ちゃんとしてほしい」と言っているのですよ。

でも、施設長も、今の状態には、色々思うところがあるらしく
後半1時間強は、施設長の話を聞いていました。
普通、保護者には話さないだろうなということも聞いてしまったけれど
それは、お互いに腹を割って話しているということだし
そこまで話しこむことで、納得の行く部分もあるわけだし
少なくとも、「私から」よそに漏れることはないので、これはアリです。

「もう大人になって十年以上、数十年経つ人たちなので
 1ヵ月後に変わりますとは約束できませんが、もう少し、時間を下さい」
施設長の言葉に、私はこう答えました。
「私は、待てます
 そんなに気の短い人間ではないので(←大嘘)
 でも、さっちゃんに待つことを望むのは、酷ではないですか?」

こんな感じで、「笑顔」で、「一見和やか」に、話は終了しました。
頑張ってください、施設長。
私は、あなたまであかんとは、思いたくないのです。