ありがとうなきもち

先日、私の仕事先に、あるご夫婦がやってきました。

昔住んでいた家の近くにいたご夫婦です。
会ってもご挨拶をする程度で、そんなに親しかったわけでもないし
私は勤務中、お二人お買い物の最中ということもあり
特に声を掛けることもなく、私は普段どおりにお仕事をしていました。

何十年ぶりでしょうか。
一目見て分かるくらいだから、昔とそんなに変わってはいませんが
やはり、ほんの少し、年をとられたように感じます。
微笑み合いながら、商品を選ぶ姿が微笑ましい。

やがて、お二人がお会計にやってきました。

数十センチという距離に立って、私は気が付きました。

　　　ご主人は、もしかして。

奥さまの言葉の選び方、並べ方、使い方
そして、それに対するご主人の反応。

　　　ご主人は、多分。

２人は相変わらず微笑み合いながら、小さな声で何か話しています。
お会計を済ませると、ご主人は奥さまに付き添われながら、お店を出て行きました。

幸せそうな後姿。

何年後か、何十年後かに、ご主人は、奥さまと微笑み会ったことも
もしかしたら、奥さまのことも忘れてしまうのかもしれません。
それでもきっと、奥さまは、ご主人ににっこりと微笑みかけるのでしょう。

素敵なご夫婦に、ありがとう。