水筒

以前、私が仕事場に持っていく水筒を忘れそうになったとき
さっちゃんが玄関まで持ってきてくれたことに味をしめた私は
さっちゃんに玄関まで水筒を持ってきて欲しくて
朝食の時、わざとテーブルの上の、しかもさっちゃんの目の前に「さりげなく」置いて
さっちゃんに聞こえるように
「なんだか、また水筒を忘れちゃいそうで心配だなー」
などと独り言を言ったりして
『水筒を玄関まで持ってきて渡してもらおう作戦』に、何度か成功していました。

でも、昨日の朝、私の大根な演技っぷりに「おや？」と、思ったのか
それとも、私のお世話をすることが面倒臭くなったのか
私がいつものように、わざとらしくさっちゃんの前に水筒を置いて
「ああ、水筒を忘れちゃったらどうしよう」
と、聞こえよがしに呟いたところ
私が少し目を離した間に、私が仕事先に持っていく荷物の横に、水筒が移動していました。

さっちゃんは、知らん顔で朝ごはんを食べています。

それでも、まだしつこく作戦を成功させようと思った私は
「水筒を忘れたら、困っちゃうな～」
と、ダメ押しの独り言をつぶやいてみました。

その後、私がお手洗いに行って戻ると、さっき荷物の横に置いてあった水筒が見当たりません。

さっちゃんは、知らん顔でごはんを食べています。

私が上着を着て荷物を持つと...。
荷物が、少し重い。

ああ、水筒はこの中か。

私が玄関へ向かうと、さっちゃんはごはんを中断して、玄関まで見送りに来てくれました。

どうせ見送りに来てくれるのなら、水筒を持ってきてくれてもいいのに～。

なんて思ってしまいましたが、多分さっちゃんは、私が水筒を忘れて困らないように
私の荷物の中に、水筒を入れてくれたのでしょう。

しっかり者のさっちゃん。
なんだか、面白かったです。