大阪府・市と業者 1割近く工費増も
公文書を入手
大阪市が公費で負担するカジノリゾート(IR)用地=大阪市此花区夢洲(ゆめしま)=の土地改良工事をめぐって、一般的な公共工事契約よりも高額となる取り決めを府・市とカジノ業者が交わしていたことが13日、明らかになりました。公費負担額の認定方法を記した公文書を本紙が入手しました。カジノ業者と市の“密約”によって公費支出が増大する恐れがあります。
カジノリゾート用地の土地改良(液状化対策、土壌汚染対策、地中障害物撤去)にかかる費用は、市が788億円を上限としてカジノ業者に支払うことになっています。カジノ業者は民間事業として、自身に出資する大手ゼネコン3社(大林組、大成建設、竹中工務店)やその共同企業体に発注し、工事を進めています。
本紙が今回入手したのは、府・市が昨年9月にカジノ業者と交わした「液状化対策費の大阪市負担にかかる考え方」などの公文書です。同様の文書が土地改良の名目別に三つ作成されています。本紙の求めに対し、府・市の合同組織・IR推進局が文書を公開しました。
文書は、市が公共工事として発注する場合の「予定価格」をそのままカジノ業者に支払うことを可能としています。公共工事は通常、受注を希望する業者の競争入札によって予定価格より安く落札されます。
2023年度に大阪市が競争入札で発注した土木工事の平均落札率(予定価格に占める落札額の割合)は91・4%でした。問題の土地改良工事は、通常の公共工事契約より1割近く高額となる恐れがあります。
文書は、(1)予定価格(2)実際に工事に要した費用―を比べて少ない方の金額を市が支払うとしています。市が予定価格を事前に通知しているため、カジノ業者は容易に工事を調整して100%の金額を請求できます。公費負担を最大限引き出すことで、ゼネコン3社の利益も増えます。
文書はさらに、カジノ業者側の申し出によって予定価格を変更・増額することも認めています。「(カジノ業者が)変更認定依頼書を提出し、大阪市と協議の上、その確認を得る」「(市が)負担額の概算予定額の変更認定」などと手順を定めています。
府・市IR推進局は「競争入札による負担軽減がないのは事実だ。一方で(カジノリゾートの)本体工事と同じ業者にやっていただくことで、本体にも寄与する工事の費用を案分するなど、軽減できる部分もある」と説明しています。
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