高裁判決うけ 無罪男性ら警察庁で
刑事事件で無罪となった男性のDNA型などのデータを国に抹消させるよう命じた名古屋高裁の判決が確定したことをうけ、男性らが7日、警察庁を訪れ、指紋、DNA型、顔写真のデータについて抹消されたことを確認しました。判決確定後に庁内でデータの抹消が確認されたケースは初めてです。
警察庁を訪れたのは、薬剤師の奥田恭正さん(68)=名古屋市瑞穂区=と弁護団です。
奥田さんは2016年に自宅近くの高層マンションの建設現場へのトラックの出入りを見守っていたところ、工事の現場監督を「突き飛ばした」として逮捕・起訴されましたが、突き飛ばす行為自体がなかったとして無罪が確定しました。
被疑者のときに警察に採られた個人データの抹消を求め、18年に提訴。名古屋高裁は昨年8月、一審に続き、無罪確定後も保有するのは憲法に反すると指摘し、警察庁のデータベースから指紋、DNA型、顔写真の抹消を命じました。警察庁は上告を断念し、判決は確定しました。
警察庁の訪問後に東京都内で会見した奥田さんは判決が確定した直後は、データを抹消したことを示す文書が送られただけだったと指摘。また庁内ではスクリーンショット画像を通してデータが抹消されたことを確認することにとどまったとし、「自分の目で抹消されたことが確認できるよう明確に立法化してほしい」と話しました。
國田武二郎弁護士は、データの抹消に関して国家公安委員会の内部規則があるのみで、捜査機関に有利であることを指摘。中谷雄二弁護士は、「DNAは自分の知らない隠れた情報などもある究極のプライバシー情報だ。法律できちんと規制する仕組みをつくるべきだ」と述べました。
名古屋高裁判決は、日本の警察によるDNA型の収集・保管について「独立した専門家等による外部的な、第三者的な実質的監視がない」と指摘。それでは「恣意(しい)的な運用を防ぐことができるものではない」と述べていました。さらに同判決は、ドイツや韓国のように法律での規制が「強く望まれる」と立法化を求めました。
会見後、奥田さんと弁護団は、都内で自由法曹団と懇談しました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます