間接差別認める初判決
2024年、労働者と労働組合の粘り強い闘いが解雇撤回や労働条件改善に結実しています。本紙報道で振り返ります。
福利厚生の間接差別が初めて裁判で断罪されました。AGC(元旭硝子)子会社では、ほぼ男性が占める総合職には社宅制度を認め、ほぼ女性の一般職には同制度を認めていませんでした。改善を求めて一般職の女性が労組に加入し、団体交渉を重ねた末に提訴。東京地裁が5月、間接差別と認めました。
日本に国連が勧告
間接差別は、表面的には男女平等の制度を装い、実質的には一方の性を有利に処遇する差別。国連の女性差別撤廃委員会も10月、規制強化を求める女性たちの声を受け、間接差別の規制範囲を広げるよう男女雇用機会均等法の改正に踏み込んで日本政府に勧告しました。
無期転換逃れを許さない労働者の闘いが続いています。鈴鹿大学では、非常勤講師2人が無期雇用に転換していたにもかかわらず雇用を打ち切られたのは不当だとして解雇撤回を求めて提訴し、1人が8月に津地裁で和解。もう一人は12月に解雇無効の完全勝訴の判決を勝ち取りました。
信州大学では、19年間にわたり英語を担当していた外国語准教授の雇い止め撤回裁判が和解。従前とほぼ同じ労働条件での復職を約束させました。
労災認定をめぐっても前進しています。航空測量大手パスコと岐阜大研究員の仕事を掛け持ちし、うつ病を発症して自殺した男性の労災を認定。2020年の労災保険法改正以降、初めて兼業・副業による複数職場の心理的負荷を総合評価し、過労自殺と認めました。
医療機器メーカーでは、テレワークによる長時間残業で発症した適応障害を労災認定。家政婦兼介護ヘルパーとして住み込みで働いていた女性の急死をめぐっては、東京高裁が1週105時間に上る勤務は過労に当たるとして労災を認めました。
政府動かした運動
非正規公務員の雇用安定を求める運動が政府を動かしました。人事院は6月、公募試験をせずに再度採用できる回数上限を連続2回(3年目公募)としていた取り扱いを撤廃し、総務省もマニュアルを改定しました。
東京都が会計年度任用職員のスクールカウンセラー(SC)250人に雇い止めを通告した問題では、欠員補充要員とされていた一部SCが職場復帰を果たし、雇い止めを強行されたSCも東京地裁で闘っています。
羽田空港の航空機衝突事故を受けて空の安全を求める労組の要求が前進しています。訪日客拡大などで取り扱い機が増え、過密労働になっていた航空管制官の問題では羽田など離着陸回数の多い5空港で計14人の増員を実現。日本航空では、ボーイング787機のすべての非常口に客室乗務員を配置するため8人以上への増員を実現しました。
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