1月20日にNHKの日曜討論で浜田宏一氏と野口悠紀夫氏等が出演して討論を行った。そこでインフレ主義者の浜田氏の考えが如実に出ていた部分があるのでここで若干述べさせて頂こうと思います。(発言は下記ブログによります)何ゆえ物価上昇を目指すかについて浜田氏はこの様に言っている。
”私が銀行に借りに行っても貸してくれないでしょう。それは担保が足りないからで、株式、そして土地の資産価値が今後上がってくれば、担保が増えて貸出市場にも極めて強く効く、というのが今の連銀議長でまた立派な経済学者でもあるバーナンキ先生が言っていることです。”
ここでまず論点は二つあると思われます。
まず第一は前にも述べましたが株や不動産の価格が上がれば企業等で資産として持っている物の評価額が上がるので経理上も効果を持つと言う事ではないかと思いますが、ここには一つ大きな落とし穴がありそれは何かと言えば国債等の債券の存在であります日銀自身の調査でも金利が1%上昇すると大手(11行)で3.7兆円、地方で3兆円もの損失が出るとされます。物価目標は2-3%等言っていますので長期金利上昇がそれに連動してゆくなら損失額はそれに止まらずまして物価上昇が其の水準で止まってくれる保証は無い。つまりはこの場合は保有資産の減価がおこり浜田氏言う所とは逆の現象になり再び日本経済は一層のデフレ状態になるでありましょうし、悪ければハイパーインフレになる。
第二には”担保があるので貸し出しも増える”と言う事ですがこれもちょっと考えれば解るよいうに貸出しは投資の見込みが無ければ増えない。そして”投資の見込み”は市場で物がさばける(売れる)状態の見込みが無ければ増えず、従ってそれらを規程している根本には日本の国内の個人消費の伸びが見込まれなければ全体としての経済が好転してゆく事は無いとしか言いようが無い事であります。現状の日本は長期にわたり賃金下落の状態が続いている。
上記二点は浜田氏の理論に抜け落ちている所であり、なおかつ重要論点であり、このままその”理論”で自民党等が政策遂行を行うなら、国民はとんでもない付けを払わせられる事になるでありましょう。
尚、つけ加えるなら株式等の価格は本質的には金融緩和によって起きる物では無く、それは実体経済の反映として金融資金が豊富になる中で持続的に上昇するものであり、其の面の改善がまずは必用である。いくら金融緩和しても傾向的値上がりに繋がらずここ10年来の低水準を維持しているのが現在の株価でありましょう。
発言は下記ブログによります。