今年を振りかえって観るなら、まずは一つの契機は今月行われた衆議院選挙であったろう。まるで何の意味があるか全く不明という世間的常識をあざ笑うかのように安倍自公政権は解散し粗元の議席数を獲得した。言うまでもなく、これは安倍首相の“今のうち解散“であり、今後待っていても悪状況しか予想できない為、今の内なら支持率もまだ底が抜けた状態ではないため、ここで延命を図ろうと言うのがその本音であるのは多くの人が指摘する通りである。
しかしこれは、残念ながら安倍首相の寄ってたつ唯一の拠り所“アベノリスク“も延命された事を意味しない。首相の予想では、既に第一~第三の矢は放たれ、その効果が出現するはずであった現在、12月15日発表の日銀短観も“円安影響、先行きも低迷“と新聞報道され、又総務省消費支出は8ヶ月連続のマイナスとなり11月は前年同月比2.5%の減(実質)であった。これはむべなるかなであり、特に老年世帯等では年金削減、物価上昇、消費税引上げ等々で消費拡大に結びつく要素は皆無である。
又無貯蓄世帯の増加や非正規者の増加、(女性は殆ど6割り近く)であり、消費が大幅に加速される要素は探す方が無理という状態である。これは基本的に“アベノリスク“が“構造的に“個人消費を拡大する策を採っていない事から来る当然の結果である。(とりわけ社会保障敵視はその最たるもので機会あればそれを削減しようと言うその意図からするならGDPの安定的成長は望む方が無理と言うものである。)
そこに持って来てこの間の低迷に対し“経済対策“と称する3.5兆円補正を2014年度補正予算として1月の通常国会に出す予定である。これは当初のアベノリスクで成長+消費税増税というコースを大きく外れるものであり、見通しが狂っている第一歩と言うべきであろう。何故ならこの状況下一般消費者は増税により財布の紐を締めなおし、又2017年には再増税と言う事で一部富裕層を除けば消費を増やせるという階層は限られるからである。
つまり解散をして“引き伸ばし“をしたつもりでも打つ手が安倍流では実際限られているからであり、其の“手“の主要手段は“財政無視のばら撒き“ 教条的ケインズ主義(ケインズもそんな所に私の名前を出すなというであろうが)しかないのである。
消費者心理からいっても今年~再来年でいくらかでも余裕があると言うのはごく一部の大企業労働者に限られるであろう。解散で“議席の延命“は出来ても理論と政策は延命不可能である。
経済的前提の無い安倍政権と言うのは全くもろいものでしかなく、その前提では彼がどうしてもやりたい“集団的自衛権“発動による自衛隊武力出動もあぶくと変わるであろう。但し彼も悪知恵は相当働く。黙って自分の経済失策を観ているわけはなく、煙幕的にバラ撒きを行うであろうし、その実質的憲法改悪のペースを早めるでありましょうが、其処に向けての国民側からの反対運動を強める必要があるであろうと言うのが今年から来年への総括でありましょうか。