消費税の引上げをめぐって民主党内でも不一致がもれ伝わる。”野党”でも自民党は引上げ賛成であり、公明党も同様と見られる(5月31日付け日経では山口代表が”採決へと議論が熟すように首相自らリードすべき。首相の覚悟を見極めたい”としています。)
民主党は鳩山内閣当時は未だ”生活が第一”また更に平成22年版経済財政白書のタイトルは”需要の創造による成長力の強化”と言う事であった。これは小泉ー竹中新自由主義 新古典派からの脱却を表明していた物であったはずである。
当然其の路線を突き詰めてゆくなら個人消費需要縮減、中小企業経営困難に追い込む消費税増税路線は取れない筈である。まずそこに於いて野田内閣は全くの理論的混迷に陥っているとしか言いようが無いという所である。その理論的混迷を表す第一はやはり消費税増税を言う他方で既に法人税の引下げを行っている事である。
ここで過去の法人税の変化を若干追ってみたい。(いずれも決算額、単位億円:財務省)
昭和60年 120206 43.3%
昭和63年 184381 42%
平成元年 189933 40%
平成3年 165951 37.5%
平成14年 95234 30%
平成16年 114436 30%
平成20年 100106 30%
平成21年 63564 30%
(税率変化のグラフ 上記税率は基本税率 :財務省http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/082.htm)
ここから今回の法人減税で現在は25.5%になっておりここ数年の比較から言っても1兆数千億の減税、昭和後半から言うなら数兆円規模の減税になっており雑駁に言って50%強である。
又所得税も昭和後半から平成当初に掛けては20兆円あまりの税収があった訳であり(20年度14兆9千億、21年度は6兆3千億)、これら法人税、所得税の減税分を補足する役割しかもたないのが現在の消費税増税法案であるとしか言いようがないでありましょう。
ユーロの危機も緊縮か成長かとも言われていますが其の背景にはやはりユーロ諸国法人税に何ら手が付けられず財政赤字が増加していることがあると思われます。何処の国であってもやはり近代から税制は歴史的に形図けられた物であり、その主要税源はその所得、収入にあるというべきであり、其の点の看過を放置するなら何処の国においても財政悪化、需要不足による成長鈍化、緊縮による国民生活悪化が齎されるでありましょう。