マクロ経済そして自然環境

経済的諸問題及び自然環境問題に感想、意見を書く事です。基本はどうしたら住みやすくなるかです。皆さんのご意見歓迎です。

”低所得者”と税金・・・高額所得層の方々に望みたい事

2011-08-28 12:52:22 | 税、財政

 前回投稿で、国税徴収法による生活困窮の方に対する”執行停止”制度について若干述べ、又その中で国税徴収法と国税通則法等勘案するなら税法体系は”応能原則”(能力に応じて支払う)に立っていると看做し得ると書きましたが、上記”執行停止”制度は粗生活保護水準になると当局の判断により請求が止まると言ったわけでありますが、これは逆に言うなら”粗生活保護水準にならないと一度未納になった税の請求は止まらない”と言う事を意味します。

 

これを実際の未納者の生活と納税の場面を考えるなら有る意味かなり過酷な事態にもなり得ると言う事は税の行政に携わらなくとも想像出来ると思われます。つまり相当深刻な生活を送りながら税も納付すると言う事であります。

 

 

 ここで前々回の消費税と社会保障の関連について延べた所を思い出して頂きたいのですが、

Aさんは年収給与204万円で2.88%の消費税(58995円)

Cさんは国民年金だけで収入788900円で消費税(36968円)特にCさんは所得税も住民税も掛からないのに4.68%の消費税だけは支払っているわけであります。

 

 現在、民主党代表選等行われていますが、経営者団体(経団連)や一部”エコノミスト”により軽々と”消費税引上げ”が言われる訳でありますが、その事はこれら限界的に税を支払っている方々に上記納税とあわせ、一層の重税感を被せるものである事は火を見るより明らかと思われます。(上記消費税が10%等に引上げられるならある意味耐え難い水準になると思われます)

”負の消費税”(低額所得階層の方々に給付を行うとする物)が検討されているようですが給付の判断等実務的には簡単ではないと思われ、私見においてはそのような回りくどいやり方よりも現行所得税に一定率を増徴する案のほうが解りやすいと思われますが

 

これは当然低所得層(投稿者自体も年金生活になればその層に含まれる事となりますが)にたいする社会政策、又国内個人消費の下支えにもなるマクロ的にも整合的な政策と思われますが。

 

 

 

 こで一般高額所得層の方々にお願いしなければならないのは、既に現段階でも限界的所得層の方々は上記の通り、相当にシビアな納税を余儀なくされているわけでありまして財源難のおり、”税率確保”に一層のご協力を願いたいとともに、それは現段階でも配当所得等の軽減税率を受けている場合、所得税は7%、住民税3%(因みに上記Aさんの住民税は10%、所得税は5%です。)しか掛かっておらずその辺のバランスを考慮戴きたく思います。

財務省証券課税等の軽減処置

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/financial_securities/haitou01.htm

 

(この点マクロ的に言うなら以前の投稿で20年間株価が上昇していないのは先進諸国の中で粗日本だけであると指摘させて頂きましたが、それは簡単的に言うなら実物経済の回転がうまくいかない中での金融資産だけの上昇は有り得ないとだけ指摘させて頂きたく思います。)

 

▼▼▼配当等の軽減処置

 配当等の軽減処置とは保有株式が発行済み株式総数又は金額のの5%未満(10/1以降3%)の者をさすとされるが日経会社情報等見ても5%未満と言うとかなりの物があります。

例 ××電力ですと発行済み株式総数:1,607,017,531 でありましてその3%と言いますと 48,210,525株でありまして仮に1株あたりの配当を30円とするなら  1,446,315,750円となりますが、この分に対する所得税が7%、住民税が3%となります。

??!!!

このように配当等に対する税の実態を見ても上記Aさん、Bさん、Cさんの納付と比べ重税感は比べようも無いとしか言いようがありません。(配当所得増徴分を社会保障等に繰り入れるなら実態面の経済の改善に繋がります)

 

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税金は何にでも掛けられる・・・?? 国税徴収法はなんと言ってるか?

2011-08-26 11:56:39 | 税、財政

  と言う事で前々回、社会保障の財源としての消費税について述べましたが、その中のAさんについて言うなら、消費税は収入に対して2.88%になると言いましたが、(又Cさんで言うなら所得税も住民税も掛からないのに消費税は実に収入に対して4.68%も掛かっています)

またここで高額所得(年収6千万円)のDさんを考えるなら、上記Aさんの税率である2.88%を考えるなら1728000円の消費税はになってしまいその消費は36288000円になりますが、こういうことは考えられないとと思われますが、仮に10000000円の消費とするなら消費税476190円であり当初の収入からするなら0.79%であります。

 

 

 

 税制の歴史を紐解くと解るように税は時の為政者の収入源としてあらゆる方法が”工夫”されているのがわかりますし、又それが過酷であった場合、住民の激しい抵抗にも遭っています。日本の歴史においてもそうですが、”金庫税”とか”扇風機税”などといったものが戦前にはありました。

▼▼▼

 しかしここで現代の税制を若干考えると税法の体系としては種々ありますがそれの納付、徴収に関しては”国税徴収法”と言うものがあり、これは国税だけでなく一般的には地方税にも準用されます。

そこでこの国税徴収法の解説書を読むと解りますがまず一般的に納付されず財産があるものについては”差押”等の対象になりますが、しかしここで無財産、ないしそれに近いような場合、執行の停止と言う事になるとされます。(国税徴収法第153条 地方税法第15条の7)

国税徴収法153条1項
 税務署長は、滞納者につき次の各号の一に該当する事実があると認めるときは、滞納処分の執行を停止することができる。
① 滞納処分を執行することができる財産がないとき。
② 滞納処分を執行することによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
③ その所在及び滞納処分を執行することができる財産がともに不明であるとき。

 

ここでこの2号に着目したいと思いますが、

2号は文字通り生活困窮と言う事で国税通達によれば”滞納者が生活保護法の適用をうけなければ生活を維持できない程度の状態”ということであります。

 

又ここで条文条は”停止に出来る”となっていますが、これは行政法上の解釈からするならこの処分は”行政行為”にあたりその行為の中で優劣をつけることは行政法上、”不当”とされると思われ、従ってこのような生活水準であれば執行停止処分に”しなければならない”と読み替えなければならないと思われます。(行政法講義:杉村敏正P192 )但し悪意のある未納者には適用にならないと思われますが。

 

 やや議論が細部に渡りましたが要は国税徴収法は結論的には、未納になった場合でも最終的にはその対象者の”支払能力”により処分を決めており、財政学上では応能主義、応益主義とか解説されていますが、実際の税の取り扱いとしては”支払えないあるいは徴収出来ない税”は税ではないとしていると言う事になります(この部分税実務のある某X氏にも聞きましたが) 

 

 ▼▼▼

 これは上記要約するなら未納となった場合、まじめに生活している人の最低生活費については徴収しないあるいはもっと言えば”徴収出来ない”と言う事を税法体系が述べていると言う事(この部分上記Xさんに確認しましたが:ただこれは別に公的秘密でもなんでもないと投稿者は思いますが)を宣言したものと解釈すべきと言う事と判断寸べきと思われます。(ご自身の税に付いての具体的例については担当税務当局でご相談ください)

 

 

 

 

 つまりはここで前々回の上記内容から言うなら、やはり近代的税制と言うのは法治主義によるべきものであり、そのように考えるなら上記徴収法の趣旨からいっても”所得に課税するのが法体系上も又社会政策上も優れていると考えるべきと言えるのではないでしょうか。つまるところ徴収法と並ぶ国税通則法には他にも徴収猶予等の制度(通則法46条以下)もあり、そういう意味では”応能原則”に立っているというべきでしょうか

これは上記Cさんの場合を考えればすぐ分かると思いますが、消費税は消費を課税対象にしていると言う事から上記執行停止対象となるような場合でもそれを反故にしてしまう反近代的税ともいえると思います。

 

 

 

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第66回終戦記念日と国民所得統計

2011-08-16 11:57:50 | Weblog

 昨日は第66回目の終戦記念日であり我々国民にとってあの戦争が何であったのかを考える日でも有ります。

前回投稿で投稿者は政府は政策の一致が当然、一番重要なものであり、ただ首相が次々変わればいいものでは無いと言わせて頂きました。これは当然、次期内閣についても言える訳でありまして、報道によれば”大連立”が言われ当然にもこれが”野合”と呼ばれぬよう注意を喚起する次第であります。(特に第三の道とはと言うことで)

 

 

  ところで投稿者は政府を構成するにはその”経済政策”が何であるかが重要である。と前回投稿で言わせて頂きましたが、短期的にはそれでも持続すると思いますが、長期的政権になるならやはり、基地、又憲法9条にどのような姿勢で臨むかが問われると思われます。

(前鳩山政権ではそれが大きな問題になりましたが)当然にもこの憲法特に第9条が何故出来たかといえば、あのやはり無謀な戦争によるあまりの人的、物的被害の大きさ、まさしく日本開闢以来の危機を招いたと言う事から今後にそれを防止する為に作られたと投稿者は考えます。(よく日本は核武装していないと言う人がいますがアメリカとの同盟の元ではやはり”核の傘”のもとにいると言うのが公平な見方と思われます)

具体的に自分の身近な人が戦争に巻き込まれる事に対しては極力それを避ける方向を考えると言うのがまず基本と言う事であり、又原発問題を見ても解るように経済政策の前提は”平和と自然環境である”と言う事でしょうか。

 

 

 

 あの戦争が如何に無謀であったかと言う事では、投稿者の手元に某古書店で手に入れた”立憲民政党党員須知”と言う昭和5年1月発行の手帳があります。(民政党は当時の政友会と”二代政党”を形成していました)その中に資料編という部分があり、そこに”列国国民所得”と言うものがあり、そこで1924年現在と言う事で各国の国民所得額が円換算で掲載されています。それによれば

米国:142,518百万円(推計者 シツラス)

英国: 43,831 百万円(推計者 ボウレイ及びスタンプ)

独国: 24,987 百万円(推計者 ロゴウスキー)

仏国: 21,907百万円(推計者 シツラス)

日本: 12,883百万円(推計者 内閣統計局)

伊太利:10,352百万円(推計者 シツラス)

 

これをみても解るように米国は桁が一つ違い、日本はその1/10以下であると言う事であります。(当然にも国力がおなじであれば戦争をしてよいという事には絶対になりませんが)

 

これを見てやはり考えなければならないのは当時の二大政党の党員手帳にこのような数字があるにも拘らず戦争に突き進んだという事と、又これを見ると日本のみが公的機関の数字であり他国は個人の推計となっている事は些か興味深い事です。

戦後経済史(国民所得編)経済企画庁 昭和38年によれば国民所得の研究が盛んになったのは1930年代になってからであり、この年代の慢性的不況に対処するためとされアメリカではこの頃から国民所得推計が議会に報告される大統領経済教書に出され、又イギリスでも年々国民所得白書として出されたとされます。(p99)

(当時の国民所得計算としてはソ連邦のものが参照に値すると思われるが投稿者の到達では現段階ではそれを述べる位置にありません。)

日本では内閣統計局により第1回 大正14年 第2回 昭和5年 第3回 昭和10年に行われたとします。

 

 

 

 

 

上記、縷々述べましたが、”新政権”が政策抜き的内閣にならないよう望む者であります。

 

 

 

 

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社会保障の財源としての消費税・・・

2011-08-10 13:40:50 | 税、財政

昨今、地震の復興費用としての財源の議論が為されています。与党サイドとしてはやや不明瞭ながら当初案としては基幹税(法人税、所得税)に一定率を架けたものと言う案が出されいます。復興は急を要するものとして、早急の結論が待たれます。

 

 之に関し投稿者としては、歳出の見直しをした上で一定の増税は止むを得ないrと考えるものでありますが、その他の問題として社会保障の財源をどうすべきかと言う問題が出されています。之については大枠としての我が国財政の増大傾向になんとしても歯止めを掛ける必要があるというのは誰しも認めるところと思いますが、他方で特に”社会保障の財源を消費税に求めると言う意見も根強く有る所であります。之に付き一般庶民の税社会保険負担がどの程度であるかを事例により考えてみました。

 

まずAさんと言う20代半ばの女性について考えて見ます。

仮に単身でアパート住まいで時間給与(850円)で働いているとします。日に8時間月に25日平均で働いているとしますと850×8×25=170000  ×12=2040000円の年収・・・・・①

 

ここで職場で社会保険に入れないので自分で国民健康保険、国民年金に入っているとしますと

国民年金掛け金年間180240円・・・・・・・②

国民健康保険掛金年間108500円(某市の場合)・・・・・ ③

 

上記前提での所得税は28900円・・・・・・・・④

         住民税 64300円(某市の場合)・・・・・・・・・⑤

そこで消費税ですがアパート代には(その他は基本的に課税対象です)消費税は掛かりませんがここでは月35000円、年間420000円支払っているとします。・・・・・・・⑥

 

ここで消費税の対象は①-②-③-④-⑤-⑥=1238060・・・・・⑦

⑦×5/105=58955円・・・・・・・・⑧(①に対する割合は2.88%)

これが年間支払い消費税の概算です。そこで消費税が10%になったとしますと

⑦×10/110=112550円・・・・・⑨(年間53595円の増)

となります。

 

 

ここでBさんという60代後半の単身で年金生活をしている方の負担について考えて見ます

年金年間額面で230万円・・・・・・・①

とします(厚生年金でも共済年金(公務員)でも200万円内外と言う方は多いと思いますが

因みに知人の公務員の方は高卒42年勤続で退職時某事務所所長ですが60代後半満額で額面240万円だそうです)

国民健康保険に加入していますのでその年間掛金が96970円(某市の場合)・・・・・②

65才過ぎであるので上記国保と別計算で介護保険料が請求される64508円・・・・・③ 

この方の所得税が31100円・・・・・・④

     住民税が67400円・・・・・・・⑤

ここで消費税は①-②-③-④-⑤=2040022円・・・・・⑥

⑥×5/105=97143円・・・・・・・⑦となります。

10%になると⑥×10/110=185456円・・・・・・⑧(年間88313円の増)

 

 

ここでCさんという国民年金で単身で暮らしている方を考えて見ます。

60代後半で満額貰っているとしますと年金額は年間788900円・・・・・・・①

この方の場合所得税、住民税は掛かりません。

 

国民健康保険には加入していますのでその掛金は年間12560円(某市の場合)・・・・・・・②

 

消費税は①-②=776340円×5/105=36968円・・・・・・・・③

と言う事で所得税も住民税も課税されないのに消費税は3万円以上払っています。

又これが10%となった場合

①-②=776340円×10/110=70576円となり33608円の増加になります。

 

 

ここで社会保障の財源と言う事がしきりに言われますが、そもそも論において過去、消費税の導入時、更に3%→5%のときにも同様の事は言われていた訳でありまして、今回も法人税の減税の穴埋めに事実上使われてしまうのではという危惧は強い訳でありましてここで問題なのは日本経済そのものが経過的にGDPギャップが大きく23年度版経済財政白書にも載っていますが最近で約4%、金額で約20兆余りと言われ(p7)、その傾向が歴史的にも続いている状態では最悪の選択になりはしないかと思うしだいであります。

 

 

上記Aさん、Bさん、Cさんを見ても判るように限界的生活をしている多くの国民にかかる比重が大きく又それは直接的に個人消費の足かせになると思われます。(上記例のような方々の収入では貯蓄に回る要素は少なく直接的に消費減となって現れると思われます。)

 

又、但し景気政策としてはこの個人消費の増大の他、産業、企業としては環境重視、リサイクル重視の方向を持たなければ電力の例を見ても解る様に生産の方向を見失う事になると思われます。

 

 

 

 

論点Ⅰ これらを見て感ずるのは国保料の高さ等であり、本来社会保障の”対象”になる所得の人々から増収するという消費税の構造的自己矛盾であり、やはり社会保障の財源としては不適切ではないかと言うことであります。

この4年間で国保未納の差押が5倍になったとの朝日新聞記事

 http://news.goo.ne.jp/topstories/nation/156/2c3ff5d077e849c68cb0c62ffa38555b.html

 

論点Ⅱ これら消費税増税で狭くなった国内市場を補うためにまたもや輸出ドライブがかかるとすれば円高、そしてそれはあまり欲しくないアメリカ国債の購入につながり悪循環であると言うこと。それを防ぐ道としてはやはり国内市場に繋がる産業への転化こそが求められると思われます。(アメリカ経常収支の赤字の増加に連なる方向はやはり国際金融の不安定に繋がる嘗て来た道であります)

 

 

 又、政治への注文とすればそれは過去一二年の内に首相が数ヶ月しかもたず次々と変わったことであり、基本的に”経済政策”がなんであるかと言う議論が殆ど無いと言う貧困が国民にとっての不幸であると言う事を述べさせてもらいたいと思います。(誰かを首相から降ろせば良いと言う様な事は貧困の極致としか言いようがないでありましょう)

 

 

 

 

 

**但し年間売上1000万円以下の事業者については納税義務が免除される(消費税法第9条)等若干の例外があります。

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