本年も押し迫り、投稿も本日がシメとなります。本年は言うまでもありませんが東北地震、更には原発事故等、まさしく明治開闢以来の我が国の危機である事は多くの人の認める所と思います。他方で政治は民主党が掲げた”生活が第一”と言うスローガンが殆ど吹き飛び旧与党と区別の困難な政策展開になりつつあります。ここで問題であったのは旧与党の新自由主義ー新古典派路線に変わる明確な経済学的、政策的展望を現与党の政治家諸氏がつかみきれないと言う所にその根源的基礎があると言うべきでありましょう。
昨今のユーロ危機、又特に先進諸国を覆う不況感からの脱出法が旧理論からは出し得ない今日、やはり景気変動こそが市場経済を脅かす極めて主要なフアクターである事を示しています。そのような中、特に我が国を見るならこの12月に発足したケインズ学会は80年代以降一世を風靡した新古典派による不介入路線の現在の無策を克服するための一つの大きなエポックであると投稿者は思います。
不均衡の一つとして例えば今日の世界的金融危機について、
80年には世界の金融資産額=世界のGDPであったものが10年末には4倍になっている。
富の集中でもアメリカでは上位1%が富の20%近くまでを占めている(2005)でありこれは29年の大恐慌時に近い(エコノミスト:毎日新聞社11/14)等々
これらは放置出来ない現象であり、又これらは他方で日本でもわかる様に大量の年収300万未満の勤労者を生み出している事と無関係ではない。(その誘引になっているのが過去86年より行われてきた派遣の規制緩和であり、最近では有期雇用が5年と言うような勤労者を一層の不安定に置く規定が出されようとしています)
これら旧与党、又既には現与党によって進められてきた路線からやはり国民の生活を擁護する為の経済学は何かと言う事であり其の点で新古典派(新しい古典派)に代置する理論、政策がケインズ学界及び民主的なマルクス派から出される事を望む所であります。
正月の休みに一読を勧めたいのが同学会より出された”危機の中で<ケインズ>から学ぶ”でありまして、一部議論になっている部分もありますが、やはり議論の中で今後の方向が 国民生活を守る方向で 出されれば今後の日本にとって良いのではと言う事でありそれが今日のやや混迷的な状況を打破する切欠となるように考えるものであり其の事を述べまして本年の投稿のシメとさせて頂きます。