報告が遅くなりましたがマックラッシュさんより
EMIGEARのインプレッションが届いておりました!
マックラッシュさん入魂のインプレッションをお読み下さい!
EMIGEARの長所と短所を的確に指摘していただけて
いるので、開発側としても驚きです
製作側の意図する所もネガティブな部分も含めて
ご理解頂けた上で満足して頂けたようで嬉しいです
*走行日: 平成22年10月 気温12℃ ドライ 舗装路
*走行車両:ランサーエボⅧ RS
*走行シチュエーション:狭くツイスティな 3ステージ
・うち2ステージは低速、うち1ステージ初見 ほか1ステージは中高速(初見)
・共に路肩のうねりあり
・ラリーのSSで使用するようなステージ
ターマックセッティングとしては異例の柔らかい数値であるバネレート・フロント8キロ、リア7キロで、半信半疑で実走行をしてみました。結論から言うと、このバネレートでの林道走行は決して柔らかくは感じませんでした。EMIGEARで他のレートを試した訳ではありませんが、このショックにおいてのしなやかさを活かすにはちょうどいいくらいのレートであると思います。個人的には、フロント7キロでも大丈夫のような気もしますが、今回の低速メインのステージでドライの路面では、8キロがこのショックにはちょうどよいことでしょう。
このバネレートとメーカー推奨地+≒20㎜の車高によって生み出される林道の走行において、最初に気付くこととして、「4輪駆動」を感じられました。四駆に乗って長いのに今更言うのもなんですが、デフのセッティング以外で、こうも4輪のトラクションが得られるものなのだと、感心した次第です。特に、コーナーの中盤から後半にかけての、アクセルをオンにしてトラクションを得られた時に、車両という『箱』がきちんと向きを変え、出口へと向かってゆくことが感じられるのです。車両全体の重量がブレーキによる荷重移動も合わさってフロントに集約されるが、ターンインの後に弧を描きながらその重心が車両中心から後方に移動する際に、ショックによって制御された適度なロールと相まって、急激な変化が抑えられていくのです。そのため、アクセルを踏み込んでも、重心の急な移動が行われないのです。すなわち急な挙動の変化を伴わずに「根を張るような路面の捉えこみ」をおこないつつコーナリングを行うことができるのです。これは、ごく初期の縮みこみは素早く行われるものの、その後の縮みに関しては粘りながら作動するといういわゆる「腰がある」ような、作動をするEMIGEARの特徴の一つであると考えられます。このように、腰がある状態のコーナリングは先述したように4輪がきちんと接地している、すなわちトラクションが良くかかる状態のために、4輪でコーナリングを行う感覚に繋がっているのです。そしてなにより、このことはACDとの相性もぴったりと感じられました。ACDの作動タイミングや特徴をコントロールできる走りを可能にしている方なら、コーナーの脱出速度の差に顕著に出てくることと思われます。
話が前後してしまいますが、減速時やコーナー初期のショックが縮んだ時に関しては先述のとおりに、縮み始めのごく初期には素早い反応のために、人によっては柔らかさを感じるかもしれません。しかしその後の腰にあたった時には、きちんと呼応してくれるので、私には不安感はありませんでした。そしてこれらのことは、速度によって体感に差がでることになりました。すなわち、低速では低速なりにしなやか減衰し、高速では高速域に対応するシャープさに繋がっていたことには驚きました。これが二つ目の特徴ではないでしょうか。
さて、私の個人的な懸案のリアの仕上がりですが、このセッティングでリアの粘りは良好と感じられました。特に立ち上がりでアウト側の踏ん張りを感じられるので、コーナー中盤以降に必要以上にスライドさせてみてもスライドは常にコントロールの範囲内であり、アクセルを極端に抜くことは必要ありませんでした。ただ、若干伸び側に余力を与えることはあってもいいかもしれません。これは、私自身の運転スタイル(悪い癖)の影響もあることから、他の人にとっての判断には注意が必要な意見です。ただ、私が自分のこのスタイルを矯正するのであれば、あえてこのセッティングのまま乗って、急なトルクをかける癖ことをなくしたり、コーナー出口で横方向に慣性を残さないようにしたりする練習を行うべき、と今は考えています。今まで使っていたショックではもっと唐突にリアが流れてしまい、アクセルを抜かざるを得ない状態だったからであり、その必要のない安心した挙動を示しているので、根気よく長い目で練習していこうと思っています。そんな時間の無い方や、スタイルは変えるつもりのない方には、車高や伸びの比率、減衰等を調整し、対応することが可能といえます。私自身は、そこまではまだ全体を理解できていないのと、深みにはまってしまう気もしますし(笑)、まずは自分の欠点を修正したいと強く認識しているので、あえてこの状態のままで走行し、慣れたところで次のステップに行こうと思っています。
さて、ここまでは割と順調な話を記載したしましたが、これからはちょっとした課題も含めてのお話です。
まず、EMIGEARは伸び側のストロークの確保については、事前の情報からも多く聞かれていました。そんな先入観なしでも極めてあからさまに体感できたエピソードを一つ、具体的な林道シチュエーションから、ご説明いたします。
今回の占有林道は、路肩のうねりが大きい箇所もあり、実際のラリーのSSを模した試走です。その占有林道において、案内されて訪れた初見の走行のエピソードです。実際に、走行できる場所までの道中でそれはおこりました。林道の入り口から3キロほど進む道中の路面のうねりで、このショックはうねりを全部拾ってしまうのです。その道中の速度は、いわゆる「流す」速度域ですが、その速度域だとうねりに乗った時、及び下方に降りる時の高低差を全て拾ってくれる(拾ってしまう?)のです。そのため、車両全体も上下動が大きく感じられるのです。これは、ちょっと酔いやすいナビ泣かせであり、ドラも満腹時はきついものがあります。
さて、そんな事を考えながらも次に浮かぶのは、「本気モードではどうなるのだろう?」です。車両全体が上下に暴れるようでは、まともに走れません。そしてついにオンコースになり、アクセルを全開にしました。路面のうねりが来たその時に感じた事は、「前に進む」が答えでした。たとえば、凸の字を使用してうねりを表現し、進行方向は左から右とすると、ショックは凸の山の頂点で一番縮むことになります。その後は山の右側で伸びていくことになりますが、EMIGEARはその凸の山の右半分の下っていく箇所において、伸びが素早いために下りの斜面にタイヤを押し付けることができるので、アクセルを踏んでいればトラクションをかけることができるのです。そのために、前に進む感覚が起きたと考えられます。流している段階に比べて車速が上がっているので、うねりそのものに対して上下動は少ないのは当然ですが、それにしてもうねりの衝撃そのものは起きるものです。しかし、以前まで使用していたショックでは凸の山の右側は接地できずにジャンプしてしまっていた状態と考えられ、結果「うねりの着地の衝撃」だったわけです。速度が上がれば、接地も間に合わずに路面を追従できずに、飛び跳ねてしまうのでは当然といえます。しかし、今回感じたうねりの衝撃は、ショックが上下した衝撃であるあり、伸びの押し付けによって常にトラクションを得られるために、飛び跳ねは少ないために非常に緩和された衝撃となっていたのです。そのため、さらに安心してアクセルを踏んでいけるのです。このことが、EMIGEARの最大の特徴と考えられます。
しかし、このようなうねりをある程度の速度を維持しつつ、アクセルを踏んで通過する技術は、初心者は有していないと考えられます。流して走った時に感じたことがそれにあたり、コーナーを探る癖のある方や、ペースノートを使いこなせていない方、アクセルを踏んでコーナーを回れないレベルの方に対しては、路面の接地追従による上下動を拾うばかりに、とっ散らかってしまう可能性がありますので、注意が必要といえます。
今回私のセットは、ターマックセッティングですが、林道は得てしてうねりがあり、このような特徴を把握できたのはとても興味深く感じられたとともに、グラベル仕様への関心も高まってきました。
最後に、最大の欠点は、話にも出ましたが、パンタジャッキで気軽にタイヤが上がらないことかもしれません。今回、木端を持っていなかったこともあり、車高のチェックや減衰調整はできませんでした(泣)。
これからは、EMIGEARと、ムーミン谷の近所に生えていて堅い木である、白樺の木端とセット販売をしてください。