女の子は
自分の腕を見ました。
雨がちの庭で知らない間に蚊に刺されて
ぷっくりと腫れていました。
ある人がニコニコ笑いながら
痒みをとめるお薬をスッと塗ってくれました。
女の子は小さな頃から
そんなことをしてもらったことがありませんでした。
いつも自分の爪でバッテンして
痛みで痒みを抑えていました。
何となく
涙が出そうでした。
その後
気をつけなさい
危ない所には行かないように
安全でいなさいと彼女に言いました。
今日はお絵描きでもしていなさいと言いました。
彼女はそんな事も言われたことがなかったので
胸が詰まるようになりました。
涙がつ~っと流れました。
彼女の持っているスケッチブックに
涙がぽつんと落ちました。
そしたらそこから水色のしみが広がっていき
それが虹のような色となり
無数のお花が咲き始めました。
どこからか風が吹いてきて
お花たちは風に揺れながら歌い始めました。
それは今まで聴いたことのない歌でした。
愛情や優しさはお花になるのねえ
と、彼女はつぶやきました。
蚊に刺された腕をじっと見つめながら
彼女は空を見て笑いました。
ああ
こんなおるごーるも作っているのです。
彼女の世界を作っているのです。
泣きながら。
作りながら涙がいっぱいいっぱい出てくるのです。
おかしな作家ですね。
想像の世界の中では
無限に物語は生まれてきます。
そんな物語生まれてくると
不思議なんですけど
泣けてくる時あるんです。
意味もないけど。
あ
青空見えてきた。
不思議だなあ。
よくわからないけど
やっぱり青い空見ると涙が出てきます。
どんな雲の上にだって
おひさまは輝いてるし
青空だって広がってるものなあ。
物語作ろう