天候不順の折り、如何お過ごしですか。体調には十分気を付けて下さいね。
さて、小説執筆状況の方は仮題『愛の万華鏡』のプロット表を完成させ、本文を10頁程書き進んで中断中です。その理由は次に示します様に、既存作品を電子出版化しているからです。
『ホンニナル出版』サイトhttp://www.honninaru.com/web_order/publish/に現在9作品が無料で紹介されており、合計約50冊ご購読頂き、読者の方に厚く御礼申し上げます。紹介掲載が1年以内(好評な場合は延長可)で削除されるとの事だったので、その後は電子出版の安価な閲覧にしようと考えていました。リピーターの方もおられると思い、著者別一覧の作成を要望し、実施されました。現在1年以上経過した作品も削除されず、著者別の棚に入っています。キーワード検索で『高木徳一(たかぎとくいち)』と漢字入力すると、覗けます。
製本しますと手元に置き、何時でも、何歳になっても読み返しが出来ますし、また家族や友人にも読んで貰え、輪が広がります。送料、手数料などを含めますと1冊1500円から2000円前後になってしまいます。3000円以上では送料の無料、またクレジットカードの支払いでは手数料の無料の特典はありますが。
一人でも多くの方に私の人生64年から得た恋愛観、死生観、人生観、倫理観、世界観などを読んで頂き、いささかでも皆様の心の安らぎ、希望に繋がれば、作家冥利に尽きます。そこで、『電子出版、無料出版』で検索した結果、サイト利用無料の2社が見付かりました。そこに、ネット作家デビュー1周年を記念しまして『ネガの絆ー歌咲くクラス仲間ー』を無料公開致しました。私の書きっぷりと筆力を見て頂き、評価頂ければ幸いです。残り8作品について100円から300円位での閲覧を希望致します。思い起こせば、55年前の小学生の時、近所の貸し本屋さんから冒険もの、チャンバラ、漫画などを確か10円前後で借りて読み、夢中になったものでした。
参加した電子出版ネットは『物書きネット』で、アドレスはhttp://monokaki.net/
です。これをクリックし、案内文を読んで1棟目の008号室『小説家徳さん』を覗くと、書庫にこの作品と『著者経歴と自著小説一覧』の作品が無料で読めます。無料で読める他の作家さんの作品も多く有ります。
それでは、連載の『旅愁散文詩』26作目をご鑑賞下さい。
二十六. 静岡県天城山系(富士の雪化粧)
昭和四十二年四月
我らカニ族、三人連れ、修善寺下車し、バスに乗り、スタート地点の船原峠着。なだらかな細道、続く急坂、登り詰め、振り返ると視界開け。出し惜しみをしている様に、雲間からぼんやりと見える富士の山。暫しの疲れ休み、目の保養。
七五三メートルの棚場山目指し、熊笹に身体を触られ、馬酔木に挨拶を交わし、字の如く、棚の姿が前方に。富士は未だ恥じらいのまま雲に隠れている。南無妙峠を越え去りし。
枝だが根だか判らぬが、曲がりくねって絡んでる。隣の樹にもちょっかいを。背を屈め、這い付く様に潜り抜け、二十三の若者もさすがに足腰疲れし。これは根っこかな、猫越(ねっこ)峠とはこれ如何に。
確か、時針は五、分針は十であったっけ。シュラーフと共に寒さを感じ、目が覚めた。テントの外布に氷が張り付いている、どうりで。下方からの微かな水音、聞き分けし友、水汲みに。腹ごしらえ、上々だ。熊笹を分け出でし、雉を撃つ。
にこやかな太陽、雲がふんわり二つ三つ。恥らいつつも本能か、見せたい願望、意を決した後の度胸あるこの姿。青空バックに従えし、枝葉を右手前に配置させ、入念な雪化粧。我ら山男を圧倒するど迫力。富士は日本の誇り、自然の崇高な恵み。
下り上りを一歩ずつ。小さき草花下向きに、大きな木々には上向きに、話掛けたるこの私。厳しい自然に文句を言わず、旅人の心と身体の疲れを癒してくれて有難う。
遂に来た、天城峠よ、トンネルよ。伊豆の踊り子、何処(いづく)にや。