テルミンのピッチ(音程)コントロールはとても難しい。なにしろ、3次元空間で手(うで、ひじ、手首、指のどこか、または全部)を動かして~止めて音程を決めるのだから、考えただけでも、ぴったりいくわけがない。
でも、ある程度ぴったり音程とその変化が決められないと、譜面に書かれた音楽を演奏することはできない。
最初はめちゃくちゃな音程も経験を重ねているうちに、それなりに聞けるようにはなってくる。でも、2~3分の曲を演奏するなかでは、かならず音程に不満なところが出てくる。ひどい場合は大はずしして、がっくりくることもしばしばである。
先生の場合、私が聞いている限り、ほとんどきっちりとピッチの決まった演奏で、「さすがプロ」という感じ。鍛錬を積めばあの域に達するのか、と練習意欲が湧く。だが、先生ご本人としては、ちょっとのズレが耐え難いらしく、クビをひねっておられることもよくある。アマチュアとのレベルの差であろう。
このピッチのズレは楽器の性格上、皆無にはできないものである。そこをどこまで追い込むか、ということと、ズレをどこまで許容し、精神的にも折り合いをつけていくか、は結構大事な問題である。これが最後まで気になって許せなくなると、テルミンの演奏そのものを受け入れられなくなってしまうと思う。
多少のずれがあっても、それを上回る音楽性を出していければよい、と考える必要があるだろう。
先生もレッスンでよく発言しておられる、「思い切って、失敗を恐れず、いさぎよく音程跳躍させよ。」と。「聴衆はそのようなきっぱりとした演奏を期待している」と。
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